2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『重臣たちの昭和史 上』(勝田 龍夫著、文藝春秋、1981年5月発行)

なかなか面白い。元老西園寺が首相を決める役割を担う時代の政変。日本では首相の任期が短いことが多いが、これは戦前の帝国憲法の時代でも同じであった。この時代に軍部・特に陸軍の発言力が大きくなっていく様子が手に取るように描かれている。陸軍の発言…

『言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー』(小谷 太郎著、幻冬舎新書、2018年1月30日)

物理学は20世紀後半から60年くらいで急激に進歩したようだ。新しい発見が相次いでいるが、しかし、例えば宇宙の物質の5%しかわかっていなくて、ダークマターが20%、ダークエネルギーが75%あってそれが何なのかわかっていないらしい。ここで取り上げている…

『生命の起源はどこまでわかったか 深海と宇宙から迫る』(高井 研編、岩波書店、2018年3月)

深海と宇宙という2つの一見関係なさそうな分野で生命誕生の秘密を探る研究が進んでいる。深海については深海熱水活動域が世界の海に多数あり、そこで原始生物が生まれた可能性があるという。宇宙ではNASAの土星探査惑星「カッシーニ」の観測により、土星の惑…

『地球の履歴書』(大河内 直彦著、新潮選書、2015年9月発行)

地球科学読み物である。面白かったことをいくつか挙げる。南極の氷の下に湖があるということ。言われてみれば、圧力が掛かったところで地熱により氷が溶けている可能性はありそうだが。これは本の1ページにも満たない(p.117)。大陸移動説はウェゲナーが提…

『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国』(原 朗著、NHK出版新書、2014年10月10日発行)

歴史の真実が書いた人によって異なるはずはないと思うが、いままで読んだ本とはかなり異なることが書いてある。どこまでが真実なのか、また今後の研究によって変ってくるかはなかなか分からないが。日清戦争・日露戦争とも第1の目的が朝鮮半島の権益確保ある…

『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(杉田 弘毅著、新潮選書、2017年11月25日発行)

20世紀後半からつい最近まではグローバル時代と認識している。それ以前も移動手段の進展でグローバル化が進んできたのだが、20世紀後半は航空機の発展でグローバルな移動の大衆化が進み、さらには、1990年代後半からの20年はインターネットの発達で、どこに…

『陰謀の日本中世史』(呉座 勇一著、角川新書、2018年3月10日発行)

日本市場の著名な事件を取り挙げて、その陰謀論を整理批判した書である。ちょっと細かくて面白くない。陰謀論自体がさまざまにあるので、そのさわりをリストするとリストの項目が多くなってしまい、批判のピントが定まりにくく、議論が理解し難くなってしま…

『新・日本の階級社会』(橋本 健二著、講談社現代新書、2018年1月発行)

三省堂書店の新書売上げNO.1ということで買ってみたが面白い。というか、日本の社会を社会調査データを使って鋭く分析している。特に、第5章の女たちの階級社会は、実に的確に女性の階級を描いているように感じる。昔のように皆が貧乏な状態から努力して豊か…

『朝鮮戦争の謎と真実』(A・V・トルクノフ著、草思社、2001年11月発行)

1990年代になって公表されるようになったソ連の最高機密文書をもとに朝鮮戦争の経過を分析した本である。朝鮮戦争において、スターリンを始めとするソ連、毛沢東を始めとする中国、金日成を始めとする北朝鮮がどのように連携したかがはっきり分かる。朝鮮戦…