2021-01-01から1年間の記事一覧

『破綻の戦略 私のアフガニスタン現代史』(髙橋 博史著、白水社、2021年12月発行)

アフガニスタンの紛争について、主に1970年代から2001年頃までの状況である。 最初は、1978年4月のダウード大統領政権に対する軍事クーデター。人民民主党が政権を取る。1979年12月27日ソ連がアフガンに軍事介入。その前からソ連介入を避けようと努力して処…

『現代ロシアの軍事戦略』(小泉 悠著、ちくま新書、2021年5月10日発行)

ロシアは欧米に比べて経済力でも、技術力でも劣勢なので対抗策を考えている。 ロシア連邦軍は2021年定数101万人、実勢90万人。徴兵25万人、職業軍人21万人、契約軍人40万人他。 現在はポスト・ポスト冷戦時代だ。 NATOの拡大 1999年NATO第一次東方拡大でチェ…

『頼朝と義時 武家政権の誕生』(呉座 勇一著、講談社現代新書、2021年11月20日発行)

鎌倉幕府を創立した源頼朝を中心として、源氏、鎌倉幕府の功労者を書き、頼朝の妻正子の一族である北条が鎌倉幕府を支配するに至る経過を書く。両者の概要である。 頼朝が鎌倉幕府成立の功臣を次々に誅殺するのは、まるで漢の高祖そっくり。狡兎死して走狗煮…

『米中戦争 「台湾危機」驚愕のシナリオ』(宮家 邦彦著、朝日新書、2021年10月30日発行)

米中戦争は台湾に関連して起こる可能性が大きいとして、どのようなケースでどのような危機が起きるかを分析している。 抽象的な議論であまり面白くはないが、こういう検討も必要かしれない。 なお、本書を読んで初めて知ったことがいくつかある。 まず、台湾…

『歴史とはなにか 新しい「世界史」を求めて』(鈴木 董、岡本 隆司著、山川出版社、2021年8月20日発行)

明治維新=体制そのものの変革・ご破算、清朝の西洋化改革は体制内改革と。 西欧中心のグローバルという考え方に反対しているようだ。 鈴木さんは、イスラム特にオスマン帝国史が専門のようだ。 岡本さんは、中国近代史が専門ということで、日本史専門の先生…

『地球46億年気候大変動』(横山 祐典著、講談社ブルーバックス、2018年10月20日発行)

二酸化炭素の濃度が地球全体の気温の変動に与える影響について。 地球の大気組成・地上付近:窒素78.1%、酸素20.9%、アルゴン0.93%、二酸化炭素0.035%。二酸化炭素は強い温室効果をもつ。 グリーンランド氷床6m、南極氷床70m海面を上昇させる淡水を蓄えてい…

『最悪の予感 パンディックとの戦い』(マイケル・ルイス著、早川書房、2021年7月15日発行)

アメリカの新型コロナウィルスへの対処についての物語である。いくつかのストーリー、あるいはケーススタディと言っても良いが、を連ねて描いているためどの程度の代表性があるのかが分かりにくいという点が気になる。それを割り引いてもが、アメリカが新型…

『古文書の面白さ』(北小路 健著、新潮選書、1984年11月20日発行)

古文書研究者としての道を志しながら、満州事変・満州国設立から志那事変へと続く戦争のただ中で満州に渡り、終戦時に書物をソ連兵に焼き捨てられるまでの経緯、新京から大連への決死行など日中戦争の前後の時代の話が面白い。今のような落ち着いた時代とは…

『新賢明なる投資家 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 下』(ベンジャミン・グレアム&ジェイソン・ツバイク著、パンローリング、2005年4月3日発行)

成長株は過去および現在の収益からすると大幅な高値で売られている。これを説明するための数学的な価値判断基準が提供される。しかし、株式の分野はこうした数学はもっとも当てはまらない分野である、という指摘は本書で何回も繰り返されている。 アナリスト…

『信長の夢「安土城」発掘』(NHKスペシャル 安土城プロジェクト著、NHK出版、2001年7月30日発行)

安土城の発掘でわかる、城に現れた信長の思想という触れ込み。ある程度は真実だろうが、ちょっと想像に過ぎるところもある。 とりあえず、斜め読みで足りそうな本といえる。

『文字と組織の世界史 新しい「比較文明史」のスケッチ』(鈴木 董著、山川出版社、2018年8月20日発行)

従来の世界史は、ギリシャ・ローマ世界とその宗教的精神を継承した西欧の歴史の進展を中心として文明の歴史をとらえる傾向があった。 本書はこれに対して新しい世界史を提唱しようとする。その方法としては文字の生まれと変遷をキーとする。 メソポタミア、…

『戦争はいかに終結したか 二度の大戦からベトナム、イラクまで』(千々和 泰明著、中公新書、2021年7月25日発行)

戦争の終結の形態は一方の極に「紛争原因の根本的解決」、他方の極に「妥協的和平」があり、それをめぐって「現在の犠牲」と「未来の危険」のジレンマとどう評価する結果に依存するという。 1.第一次世界大戦 仏・英を中心とする連合国はロシア革命でロシ…

投資資料(海外株式ETF)

株式インデックス 株式インデックス投資、何が良いか-先進国株、新興国株、米国株と日本株、どれを選ぶ? |ニッセイ基礎研究所 【2021年 最新版】「インデックスファンド」コスト比較ランキング!信託報酬・実質コストがもっとも安いファンドは?|投資信託…

『富士山噴火と南海トラフ』(鎌田 浩毅著、講談社ブルーバックス、2019年5月20日発行)

2004年富士山防災マップが公表された。この分かりやすい紹介として『富士山噴火 ハザードマップで読み解く「Xデー」』が発行された。 その後、2011年3月11日の東日本大震災で富士山をめぐる状況は一変した。本書は上記の本の全面改訂版である。 富士山は、ユ…

『新賢明なる投資家 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 上』(ベンジャミン・グレアム&ジェイソン・ツバイク著、パンローリング、2005年4月3日発行)

投資と投機を区別すること。投資とは次の3つの条件を満たす。 1.詳細な分析に基づいたものであり 2.元本の安全性を守りつつ 3.適正な収益を得るような行動である。 この条件を満たさない売買を投機的行動であるという。 普通株の売買においてはリスク…

『チャイニーズ・タイプライター 漢字と技術の近代史』(トーマス・S・マラニー著、中央公論新社、2021年5月25日発行)

近代中国における情報技術史で1840年代から1950年代までを扱う。饒舌すぎる。 アルファベット、音素文字、音節文字 vs 漢字=密義的文字 漢字の音、義、形の三要素に対し、技術言語学を提案する。 例えば、1890年代に作られたタイ語タイプライターは、スミス…

『貯金40万円が株式投資で4億円』(かぶ1000著、ダイヤモンド社、2021年1月12日発行)

バリュー株投資 ・会社が保有する現金や不動産、有価証券といった資産を評価して投資する。 ・企業買収のプロの観点の事業家的企業価値に注目する。 ・現在価値と株価のギャップに対して投資する。 ・資産バリュー株投資と収益バリュー株投資がある。 ・収益…

『ライブドア監査人の告白』(田中慎一著、ダイヤモンド社、2006年5月25日発行)

ライブドアの監査は、港陽監査法人が手掛けた。著者は2004年7月港陽監査法人に入り、2005年9月期の第2四半期からライブドアの監査報告書に署名している。 2006年1月16日ライブドアへ強制捜査、1月23日堀江逮捕、風説の流布と偽計取引の容疑で2月13日起訴。2…

『監査難民』(種村 大基著、講談社、2007年9月25日発行)

1990年日本はトーマツ、中央青山、新日本、あずさの四大監査法人体制となる。 中央青山監査法人はずさんという評判。1997年9月会社更生法適用のヤオハンジャパンの粉飾決算を見逃したとして、大蔵省から2000年6月に戒告処分を受ける。2004年アソシエント・テ…

『米中対立 アメリカの戦略転換と分断される世界』(佐橋 亮著、中公新書、2021年7月25日発行)

第1章から第4章までは、米中対立について、歴代の政権・政府を中心とするアメリカ側の中国への姿勢の変化を中心に分析した報告である。 中華人民共和国が成立後、米中は朝鮮戦争で銃火を交え、その後長く敵対関係となる。 1960年代にソ連への牽制、ベトナム…

『麻薬と人間 100年の物語』(ヨハン・ハリ著、作品社、2021年2月10日発行)

現在の常識になっている麻薬取締の枠組みは、米国の連邦麻薬局長となってハリー・アンスリンガーが中心になって作り出し、国連を通じて国際的に広まったものという。日本でもGHQの占領時代にそれまでは自由であった大麻(マリファナ)が非合法化された。 麻…

『サブスクリプション・マーケティング』(アン・H・フィッシャー著、英治出版、2017年11月30日初版)

サブスクリプションとは定額・継続契約販売方式である。ソフトウェア界でもサブスクリプション化への動きは激しい。 継続を阻害する要因:チャーン(churn:解約、離脱)、企業向けサービスは年率26%、消費者向けは同35%。 人材紹介ビジネスの成功報酬から…

『ファンダメンタル投資の教科書(改訂版)』(足立 武志著、ダイヤモンド社、2009年1月発行)

本書(4章まで)はベーシックなことを説明している。まさに初心者向けの教科書といえる。但し、後ろの方、特に第5章大失敗しないための買い方・売り方はチャートのテクニカル分析である。 ・情報源の見方:会社四季報、決算短信、有価証券報告書 四季報 今季…

『わが青春の台湾 わが青春の香港』(邱永漢著、中公文庫、2021年5月25日発行)

あくまでも邱永漢氏の体験を通じてであるが、大正から昭和の前半にかけて日本がどのように台湾を支配していたか、そして戦争が終わって蒋介石が台湾に逃げ込んだときの状況、台湾が国民党支配の国になるまでの状態を理解できる。 日本人の側ではなく、台湾人…

『沖縄返還とは何だったのか』(我部 政明著、NHKブックス、2000年6月30日)

沖縄返還交渉の過程と、交渉内容、密約などについてまとめた本である。 占領下の日本で総選挙を実施するため、連合国最高司令官の名で1946年1月29日にhン政府の権限の及ぶ範囲に関する覚書が出された。それによって、満州などの旧植民地とともに北緯30度以南…

『株の鬼100則』(石井勝利著、明日香出版社、2019年6月27日初版発行)

本書の著者は、概ねチャートをチェックして株を売買するタイミングをつかもうという考え方のようだ。 この本に書いてあるような売買重視、タイミング重視の株式投資はハイリスクになりがちだと思う。 実際のところ、チャートをチェックして売り買いのタイミ…

『沖縄密約』(西山太吉著、岩波新書、2007年5月22日発行)

1950年代米軍は沖縄基地の強化を図り、アジア太平洋からインド洋までの南方戦略拠点として沖縄を”自由使用”していた。池田内閣は沖縄問題に取り組まず。佐藤政権(1964年11月から72年7月)は沖縄に始まり沖縄に終わる。 1965年8月19日佐藤首相初の沖縄訪問 1…

『転換期の日本へ 「パックス・アメリカーナ」か「パックス・アジア」か』(ジョン・W・ダワー、ガバン・マコーマック著、NHK出版新書、2014年1月10日発行)

サンフランシスコ体制とは、1951年9月8日、サンフランシスコで第2次世界大戦中に日本と交戦関係のあった48の連合国が署名した多国間の対日講和条約、および日米の二国間安全保障条約の二つの条約である。両条約は1952年4月28日発効し、その日、日本での占領…

『本当にわかる 債券と金利』(大槻 奈那・松川 忠著、日本実業出版社、2017年2月1日発行)

本書では、2013年4月4日日銀の異次元緩和、それに続く2016年1月29日のマイナス金利が話題の中心なのだが、日銀のマイナス金利政策は「銀行が日銀に預けている準備預金の一部に適用される金利をマイナスにする」というもの。 マイナス金利によって国債の金利…

『マチュピチュ探検記』(マークアダムス著、青土社、2013年7月10日発行)

マーク・アダムスは、ニューヨークでアドベンチャー・トラベル・マガジンの編集者として働いている。ペルー人の奥さんをもち、子供は三人。ペルーにほとんど毎年のように出かけていた。ハイラム・ビンガムの名前をニュースで見て、彼が発見したとされるマチ…