世界史

『鉄のカーテン 東欧の壊滅1944-56 上巻』(アン・アプルボーム著、白水社、2019年3月発行)

第二次大戦の終了で、ソ連(赤軍)の占領地帯となった東欧でどのように全体主義化が進んだかのレポートである。東欧の中で、ドイツ、ポーランド、ハンガリーの3国に焦点を当てている。スターリンは、人間の性格は教育で作り替えることができて、それは遺伝す…

『マルヌの会戦 第一次世界大戦の序曲■1914年秋』(アンリ・イスラン著、中央公論新社、2014年1月10日発行)

1914年夏の第一次大戦の冒頭、ドイツ軍の大軍団は、シェフェーリン計画に従ってフランス国内に殺到する。8月2日ドイツ軍はリュクセンベルグ大公国に侵入、ベルギー政府に通過の自由を要求する。4日にベルギーに戦線布告。8月24日までの時点でフランス軍の北…

『アラビアのロレンス 世界史の十二の出来事 権力の偉大と悲惨 中野好夫集 Ⅶ』(中野好夫著、筑摩書房、1984年2月刊)

たった35年前に刊行された本だが、文章が如何にも古色蒼然、大時代風だ。もちろん古典のような文章ではないが。内容も今風ではない。何が違うかというと、SNSに毒された現在あるいは今風の文章では、タメグチ、短文主体なのだが、中野好夫の文章は語り下し風…

『敗北者達 第一次世界大戦はなぜ終わりそこねたのか 1917-1923』(ローベルト・ゲルヴァルト著、みすず書房、2019年2月発行)

本書を読むと、20世紀の前半は世界中で清算な暴力の嵐が吹き荒れた時代であったという印象が強くなる。特に、第一次大戦で戦争が総力戦となり、大がかりな殺戮の場所となった。一方、戦争の間の期間について、これまでは、第一次大戦と第二次大戦の間に、つ…

『オスマン帝国』(小笠原 弘幸著、中公新書、2018年12月25日発行)

オスマン帝国の成立から滅亡までの通史である。歴代の全ての国王(帝王というべきか)の肖像写真を掲載するという面白い試みもある。あとがきには、意図的に全ての国王に言及したとある。その一方でざっと流した解説はやや突っ込み不足という感もある。しか…

『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(ジェイミー・バートレット著、草思社、2018年9月発行)

本書は、インターネット・テクノロジーの民主主義への脅威を警告する。具体的な例としては、第3章 ビッグデータと大統領選が一番だ。2016年のアメリカ大統領選の「プロジェクト・アラモ」にはびっくりだ。選挙の投票行動に影響を与えられそうな人を選んで、…

『カエサル 下』(エルドリアン・ゴールズワーシー著、白水社、2012年発行)

ブリテン島遠征。ガリアを平定してから、ルビコン川を渡るようになったきっかけ、そしてポンペイウスとの戦い。ポンペイウスの死とアフリカでの、クレオパトラとの出会い。イタリアにもどり、さらにアフリカにてポンペイウス派残党との戦い。不利な状況であ…

『カエサル 上』(エルドリアン・ゴールズワーシー著、白水社、2012年発行)

古代ローマのユリウス・カエサルの少年時代からガリア戦初期まで(上巻)。紀元前の話とあって、あまり詳細のことはなく、かなり大雑把ではあるが面白い。古代ローマの政治は民主的ではあったのかもしれないが、選挙もかなり乱暴な(例えば、買収や暴力はあ…

『イスラーム 書物の歴史』(小杉泰・林佳世子編、名古屋大学出版会、2014年)

書物の歴史というと活版で印刷した本のことを思い浮かべるが、それはアラビアでは歴史的には短いようだ。アラビア文字の世界で印刷が始まったのは、キリスト教の聖書などマイノリティの分野(p.353-358)。ムスリムの支配層による印刷は18世紀、19世紀には官…

『物語 アラビアの歴史』(蔀 勇造、中公新書、2018年7月発行)

アラビア半島地域を中心に、紀元前から現代までの歴史を物語る意欲的な本だ。一読する価値はある。しかし、いろいろ似たような名前が山ほど出てきて区別が付かないので困るし、読むのに結構時間がかかってしまったが。彼らは家系を大変重視しているようだが…

『第二次世界大戦アメリカの敗北 米国を操ったソ連スパイ』(渡辺 惣樹著、文春新書、2018年6月)

立花隆の紹介文で本書を見たのだが、発行されたばかりだった。内容的にはなかなか面白い。フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領の時代に第二次世界大戦開戦となり、そしてIMFと国連の設立の準備ができたのだが、この間に、FDLの配下の重要人物がソ連ス…

『バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史』(マーク・マゾワー著、中公新書、2017年6月発行)

本書は2000年に発行された本の翻訳である。オスマン帝国時代、19世紀、20世紀の第一次戦争前、第二次世界大戦後=ギリシャ以外は共産圏の時代、最後はソ連崩壊後の話(少し)である。バルカンという地域は理解するのが難しい。オスマン時代はヨーロッパより…

『平成の重大事件 日本はどこで失敗したのか』(猪瀬直樹・田原総一朗著、朝日新聞出版、2018年6月発行)

あと、11ヵ月弱で平成が終り、新しい年号となる。最近、平成を振り返る企画がちょくちょく出てきている。その1つということで、なんとなく過去を振り返ってみようかと言う気持ちになる。振り返ってみれば、会社や仕事が起動に乗り始めたのは昭和の最後の方だ…

『B.C. 1177 古代グローバル文明の崩壊』(エリック・H・クライン著、筑摩書房、2018年3月)

B.C. 1177(頃)に後期青銅器時代に属するエジプトから、東地中海沿岸、トルコ、ギリシャ、キプロスあたりの古代文明が滅びたという。従来は、海の民に原因が着せられていたが、必ずしもそれだけではなく、さまざまな原因が重なり合っていた。特に、貿易で相…

『核戦争の瀬戸際で』(ウィリアム・J・ペリー著、東京堂出版、2018年1月発行)

核の脅威は冷戦後一時的に減ったようだが、最近はまた高まっているのはなんとなく感じていたが、本書を読むとそのことが具体的に分かりやすく書かれている。特に白眉は、ソ連崩壊後に、ウクライナなどにあった核弾頭やICBMを廃棄処理したプロジェクトの紹介…

『朝鮮戦争の謎と真実』(A・V・トルクノフ著、草思社、2001年11月発行)

1990年代になって公表されるようになったソ連の最高機密文書をもとに朝鮮戦争の経過を分析した本である。朝鮮戦争において、スターリンを始めとするソ連、毛沢東を始めとする中国、金日成を始めとする北朝鮮がどのように連携したかがはっきり分かる。朝鮮戦…

『オスマン帝国の崩壊』(ユージン・ローガン著、白水社、2017年10月10日発行)

第一次世界大戦を主にオスマン帝国とイギリス軍の戦いを中心にして記述した本である。オスマン帝国との戦いは、ガリポリ戦線、エジプトの戦い、イラクでの戦い、アラブの反乱(地中海沿岸)など中東で激しく繰り広げられたのであるが、それを細かく記述して…

『チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力』(ボリス・ジョンソン著、プレジデント社、2016年4月発行)

完全なチャーチル賛歌である。途中まで読んで嫌になって放棄する。本を読むのを途中で放棄するのはめずらしいことだが、どうにもつまらない。

『ロンドン』(小池 滋著、中公新書、1978年発行)

19世紀のロンドンを、ディケンズを中心とする作家の筆によって探訪する。なかなか趣があって面白い。 コベットがロンドンを大きなできものという。都市は、地方の農村から流れてきた人達の集まり。 ディケンズ一家は父親がお金のやりくりに失敗してロンドン…

『中欧の崩壊』(加藤 雅彦著、中公新書、1983年発行)

ウイーンとベルリンという二つの都市を中心として取り上げて、近代の中欧の歴史を語る。ハプスブルグ家の支配する神聖ローマ帝国−オーストリアの中心都市であったウィーン、プロイセン王国−統一ドイツ−ワイマール共和国−ナチスドイツのベルリンの19世紀〜20…

『第三帝国の興亡 5』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

いよいよラスト ナチドイツの滅亡の巻である。新秩序の章は、ユダヤ人の虐殺を中心とするナチの暴虐の限りの話で、あまりにもおぞましく、読むに堪えない。一人ではなく、集団でこのような行為がなされるということが恐ろしい。集団がリーダー次第でどうにで…

『第三帝国の興亡 4』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

1940年5月10日ベルギー、オランダ侵攻。六週間戦争で終わる。 フランス侵攻。用意周到さ、機動戦であっというまにフランスを制圧する。6月14日パリ占領。6月21日コンピューニの森で休戦協定に調印。思うにこのあたりまでが、ヒトラーの大成功の頂点である。…

『第三帝国の興亡 3』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

チェコの解体のあとは、ポーランドである。第一次世界大戦の敗北の結果として、ドイツは東プロイセンが分割され、ダンチヒがポーランドの都市とされていた。1938年10月ヒトラーの要求は、ダンチヒの回復とドイツから東プロイセンへの自動車道路と鉄道の建設…

『第三帝国の興亡 2』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

第2巻の中心は、戦争への道1934年から1938年である。1936年ラインランド占領はフランスの影に怯えながら、ライン川を渡り、非武装地帯を占領する。1938年オーストリア併合は1937年に準備を開始した。ヒトラーは1937年には戦争に乗り出す決意を固める。1938年…

『第三帝国の興亡 1』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

第三帝国はナチスの時代である。全5巻の大著である。本書・第1巻は、ヒトラーのナチが台頭し、ヒンデンブルグの後を次いで首相兼総統として権力を固めるまでを描く。著者の強みは、同時代・場所で取材を重ねた経験と、同時に戦後の押収された資料を閲覧でき…

『フランス史10講』(柴田 三千雄著、岩波新書、2006年5月19日発行)

『ドイツ史10講』、『イギリス史10講』と並ぶ10講シリーズの一つ。フランスという国はなかなか階級間闘争の激しい国だ。三冊のシリーズを通読すると、それぞれのお国柄が比較できて楽しい。近代の政変についてみると、イギリスが、うまく民主主義まで立ち至…

『イギリス史10講』(近藤 和彦著、岩波新書、2013年12月発行)

後書きを見て仰天、最初の企画会議が1997年7月とのこと。出版まで16年かかっているのだ。ローマ以前の時代から現代に近いところまでを簡潔にまとめた力の入った本という印象である。『ドイツ史10講』とともに読む価値のある本といえる。特に、ビクトリア女王…

『ドイツ史10講』(坂井 滎八郎著、岩波新書、2003年2月発行)

簡潔で、大変分かりやすいドイツ史である。ゲルマン時代〜ワイマ−ル共和政を経て、ヒトラーのナチ時代、さらに統一ドイツまで。特にビスマルク時代、ビスマルクが退陣してからドイツ包囲網が結成さて、第一次大戦にいたるまで。第一次大戦の終結から、ワイマ…

『ハプスブルグ帝国、最後の皇太子』(エーリッヒ・ファイグル著・北村 佳子訳、朝日新聞出版、2016年4月)

オーストリアは、第一次大戦を引き起こしたフランツ・ヨーゼフ皇帝の名前位しか知らなかった。フェルディナント大公が暗殺された後、甥のカール一世が即位していたのだ。本書はそのカール一世の息子達の物語である。カール一世は、1918年11月12日ハプスブル…

『物語 ストラスブールの歴史』(内田 日出海著、中公新書、2009年10月25日発行)

ストラスブールは、フランスとドイツの国境地帯 アルザスの都市である。ライン川の支流のイル川の三角州の中に作られた。ローマ時代よりも前、ケルト人がその元を作ったのだが、川と川に囲まれた領域は、見知らぬものからの攻撃を避けるのに都合が良いという…