宇宙科学

『連星から見た宇宙』(鳴沢 真也著、講談社ブルーバックス、2020年12月20日発行)

宇宙の恒星の半分は連星。兵庫県立大学西はりま天文台「なゆた」望遠鏡。 全天で太陽以外に最も明るい星である「シリウス」(おおいぬ座)は、20天文単位離れた星の連星。天文単位とは太陽と地球の距離を1とする。 北極星「ポラリス」(こぐま座)は3重連星…

『なぜ宇宙は存在するのか はじめての現代宇宙論』(野村 泰紀著、講談社ブルーバックス、2022年4月20日発行)

とりあえず、ざっと見た。しかし、難解すぎて全く分からない。としか言いようがない。特にマルチバース理論なんて。読書メモを書く気にもならない。

『マルチメッセンジャー天文学が捉えた新しい宇宙の姿』(田中 雅臣著、講談社ブルーバックス、2021年12月20日発行)

宇宙からくるシグナルの観測は、光(19世紀)、赤外線、電波、X線(20世紀)、ニュートリノ、重力波(21世紀)に広がる。 長さスケール 距離の測定:地球公転の年周視差は1万光年まで⇒明るさの分かっている星(標準光源)の明るさを使う(セファイド型:5000…

『月はすごい 資源・開発・移住』(佐伯 和人著、中公新書、2019年9月25日発行)

月の資源開発、移住、他の惑星探査への基地という観点から月について解説する面白い書である。 月面には1ミリメートルよりも小さな隕石でも秒速10キロメートル以上の速度で落ちてくる。月面の岩石は隕石に砕かれてレゴリスという細かな砂になる。このため月…

『地球に月が2つあったころ』(エリック・アスフォーク著、柏書房、2021年1月8日発行)

タイトルからは地球に月が2つあったころの話をしていると思われるのだが、本文を読んでも、そのような内容の記述が出てこないのだが。読み方が悪いのだろうか? 地球にティアという隕石が衝突してはじきさされた塊が月になったという巨大衝突説が数回語られ…

『ダークマターの謎に迫る 見えない宇宙の正体』(鈴木 洋一郎著、講談社ブルーバックス、2020年11月20日)

宇宙にある物質とエネルギーで68%がダークエネルギー、27%はダークマターである。ダークマターは直接検出できていない。 結局のところ、ダークマターはあるのは確かとされて、観測の試みがいろいろなされているが、いまだに発見できていないといことのようだ…

『ブラックホールとの遭遇』(W・サリバン著、ブルーバックス、1980年11月20日発行)

1844年、一番明るい恒星シリウスの軌道はふらついている。伴星があるのではないか?(ベッセル)19年後伴星が発見された。高密度の予想。1930年チャンドラセカールは恒星はどこまでもつぶれるという論文を出した。 1915-1916年シュヴァルツシルトがアインシ…

『重力波で見える宇宙のはじまり』(ピエール・ビネトリュイ著、講談社ブルーバックス、2017年8月20日発行)

この本は恐ろしく難しくてほとんど理解できなかった。なぜ、難しいと思うか? 高度な話を比喩的な説明をしているからか? 説明が抽象的・飛躍し過ぎ? 本書はタイトルを見て、重力波の話がメイントピックになっているかと思ったが、実際に読んでみると、重力…

『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』(加藤 文元著、KADOKAWA、2019年4月発行)

京都大学の望月新一教授が2012年8月30日に発表した宇宙際タイヒミュラー理論(IUT理論)についての一般向けの本である。 IUT理論とそれによるABC予想の解決を主張する。「足し算と掛け算を分離する」という、まったく新しい新奇な思考方式に基づくので簡単に…

『宇宙はなぜ「暗い」のか』(津村 耕司著、ベレ出版、2017年1月25日発行)

宇宙に無数の星が存在すれば(無限の空間に無限の星が存在すれば)、その星からの光で夜空が明るくなるはず、を「オルバースのパラドックス」という。これがなぜ誤りかを主題とする。 しかし、そもそも無限の空間に無限の星が存在するという前提が誤っている…

『僕たちは、宇宙のことぜんぜんわからない』(ジョージ・チャム+ダニエル・ホワイトソン著、ダイヤモンド社、2018年11月発行)

まだ答えの出ていない大問題について纏めた本。 宇宙は何でできているのかが分からない。粒子では5%程度しか説明できない。27%のダークマター。68%は正体が不明。ダークエネルギーと呼ばれる。 ダークマターの存在は、宇宙の回転のスピードが星の数より速…

『宇宙最大の爆発天体ガンマ線バースト どこから来るのか、なぜ起こるのか』(村上 敏夫著、講談社ブルーバックス、2014年3月発行)

ガンマ線はX線よりもエネルギーが高く、透過力の強い電磁波。可視光は1電子ボルト(1eV)。X線は1万eV、ガンマ線は100万eV程度。地球の大気を通らないのでずっと観測できなかった。人工衛星で観測。ベラ衛星で、世界最初の報告は1967年7月2日。1973年に天文学…

『宇宙の謎に挑む ブレーンワールド』(白水 徹也著、化学同人、2009年9月発行)

超紐理論とか、膜宇宙論という恐ろしく難しいというか、ほとんど言葉の遊びとしか思えない話である。なんとなくそういう理論がありそうだという話は他の本にも紹介されているが。語り口がまた独特で読者の理解を求めてないような。まあ、本書を買って読むこ…

『「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」』(櫻井武著、講談社ブルーバックス、2018年10月20日)

本書は、ちょっと固いが、内容は面白い。もう少し柔らかく書かれているとなお良かっただろう。本書に掲載されている、ラッドの実験などを通じてみると、人間と他の動物の心の働きはかなり似ているようだ。深部のところでは、動物の心に組み込まれたのと同じ…

『重力波とはなにか 「時空のさざなみ」が拓く新たな宇宙論』(安東 正樹著、講談社ブルーバックス、2016年9月発行)

重力波についてあまたある書の中ではかなり良い。類書の中ではトップ2,3位と言える。それにしても重力波の本は結構増えているものだ。ちょっと難しげに見えるが、かなり子細な説明があるので、重力波とはなにかも良く理解できそうな気がする。重力波を計測す…

『宇宙の「果て」になにがあるのか』(戸谷 友則著、講談社ブルーバックス、2018年7月)

ちょっとテーマが大きすぎて、現在の技術ではあまりまともな回答ができないのではないだろうか。全体的に抽象的な話が多かった。著者が理論派であることも関係しているのかもしれないが。こんな難しいテーマを、分かりやすく具体的に解説せよという方が無理…

『偉大なる宇宙の物語』(ローレンス・クラウス著、青土社、2018年1月発行)

タイトルは宇宙の物語だけど、本文の内容は、光、電磁気からはじまり大半は量子論、素粒子の話である。著者は理論物理学が専門のようだ。物理学は、いろいろな物理学者が登場して、さまざまな理論を提唱し、一方で、実験装置で理論が予測した結果を検証する…

『ハッブル宇宙望遠鏡が見た宇宙』(野本 晴代、R.ウイリアムズ著、岩波新書、1997年発行)

ハッブル宇宙望遠鏡はNASAの大きな成果の1つといえる。それにしても、打ち上げるまでに掛かった日数(計画遅延)と費用にはびっくり。さらには、レンズの球面収差で画像がぼけてしまい、それを宇宙飛行士のミッションで修理するとは。知らなかったけどすごい…

『巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る』(本間 希樹著、講談社ブルーバックス、2017年4月発行)

巨大ブラックホールは、超大質量ブラックホールのこと。ブラックホールにもいろんな種類があるって、『ブラックホールをのぞいてみたら』で初めて知ったのだが、そう言う意味では超大質量ブラックホールに特化したテーマでこんな本ができるということ自体、…

『ブラックホールをのぞいてみたら』(大須賀 健著、角川書店、2017年7月発行)

ブラックホールに特化した入門編。易しく書いてあってなかなか面白い。それにしても、宇宙論の本は面白いものが多い。書き手が易しく、分かり易く書こうと工夫しているのも良いと思う。ブラックホールの面積は大きいと思っていたのだけれど、小さいというこ…

『この空のかなた』(須藤靖著、亜紀書房、2018年7月発行)

新聞連載の記事をもとにしただけあって、分かりやすくてとても面白かった。宇宙の壮大さ、美しさもさることながらびっくりすることが多い。最近の話では重力波の観測が一番ロマンティックですが、本書の著者も大学院の最初の2年間は重力波の研究を行っていた…

『ニュートリノってナンダ? やさしく知る素粒子・ニュートリノ・重力波』(荒舩 良孝著、誠文堂新光社、2017年12月発行)

素粒子の概要について比較的分かりやすくまとめられている。原子は、原子核と電子からなる。原子核は陽子は中性子とからなる。陽子はアップクオーク2つとダウンクオークからなる。中性子は、ダウンクオーク2つとアップクオークからなる。 ダウンクオーク、…

『ホーキング、ブラックホールを語る』(スティーヴン・W・ホーキング著、早川書房、2017年6月20日発行)

ブラックホールについてのかなり新しい話を含めた講話。 前半はホーキング以前の話で、ブラックホールがどのようにできるか、誰も信じなかったブラックホールが、1963年のクエーサーの発見によって、重力崩壊が見つかった。(クエーサーからの電波はブラック…

『重力で宇宙を見る 重力波と重力レンズが明かす、宇宙はじまりの謎』(二間瀬 敏史著、河出書房新社、2017年10月発行)

重力波の本は、三冊目だが、この本はその道の専門家が書いている割には分かりやすい。好著だと思う。ブラックホールや一般相対性理論の説明もいろいろ絵があって良い。例えば、連星パルサーで重力波が発見された話は、既にシリングの本で知っていたが、より…

『重力波 発見! 新しい天文学の扉を開く黄金の力』(高橋 真理子著、新潮選書、2017年9月発行)

重力波に関する本としては、2冊目なんだかあまり面白くない。ホヴァート・シリングの本と比べると雲泥の差だ。なぜ、面白くないか考えてみるに、まず、取材が足りないのではないか? どこかの文書や本を読んでまとめたかのように見えてしまう。新鮮味、ある…

『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』(ホヴァート・シリング著、化学同人、2017年12月26日発行)

重力波は、2015年9月に初めて直接観測された。電荷を加速すると電磁気が発生する。それと同じように、重力のあるものを加速すると重力波が発生するかもしれない、と考えられた。重力波が存在するかどうかは、一般相対性理論から予測できそうだが計算が難しい…

『言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー』(小谷 太郎著、幻冬舎新書、2018年1月30日)

物理学は20世紀後半から60年くらいで急激に進歩したようだ。新しい発見が相次いでいるが、しかし、例えば宇宙の物質の5%しかわかっていなくて、ダークマターが20%、ダークエネルギーが75%あってそれが何なのかわかっていないらしい。ここで取り上げている…

『生命の起源はどこまでわかったか 深海と宇宙から迫る』(高井 研編、岩波書店、2018年3月)

深海と宇宙という2つの一見関係なさそうな分野で生命誕生の秘密を探る研究が進んでいる。深海については深海熱水活動域が世界の海に多数あり、そこで原始生物が生まれた可能性があるという。宇宙ではNASAの土星探査惑星「カッシーニ」の観測により、土星の惑…

『ビッグバンの発見』(佐藤 文隆著、NHKブックス、1983年3月発行)

本書の中で面白いのは、第二章ビッグバンの発見である。1929年に、ハッブルらが銀河が後退していること、遠ければ遠いほど速度が大きいというハッブル則を見つけた。これは、天体の距離を測定する技術の進歩により可能となった。ガモフが1940年代の後半に、…

『宇宙探査機はるかなる旅路へ』(山川 宏著、化学同人発行、2013年6月30日)

宇宙探査機の設計から飛行計画、軌道計算、主な探査機など全てが分かる本である。かなり専門的ではあるが、分からないというほどではない。ほどよい難しさである。特に飛行計画におけるスイングバイは面白い。また、イオンエンジンなど新しいエンジンの話も…