日本経済
第二次安倍政権は2012年から2020年まで。この間のアベノミクスについて、同じ著者による三部作の最後。アベノミクスは大規模金融緩和により、円安、株価上昇、GDP成長がプラス化などの経済復調をもたらした。しかし物価上昇は2%に届かず。2%の達成目標に…
2008年のリーマンショックを契機として不況が発生し、世界が低インフレとなった。グローバリゼーション、少子高齢化、技術革新の頭打ちが要因として挙げられている。 ウクライナ侵攻前の2021年から高インフレが始まっている。戦争が主な原因ではない。2022年…
コラムなのでトピックがばらばらだが、雑な知識を仕入れるのには良い。 なにしろ、時代が変わりつつあることを実感できる。 社員の平均年齢が高いと株価上昇率が低いというのは身につまされる。 図表6-20、図表6-21
1974年は消費者物価指数CPIが前年比23%増加し、「狂乱物価」と名付けられた。このときはガソリンなど石油関連製品の値段が上がり、CPIも上がった。インフレの原因は原油高と信じられているが、その後の分析では原油高とCPIに因果関係がないことが示されてい…
1990年日本はトーマツ、中央青山、新日本、あずさの四大監査法人体制となる。 中央青山監査法人はずさんという評判。1997年9月会社更生法適用のヤオハンジャパンの粉飾決算を見逃したとして、大蔵省から2000年6月に戒告処分を受ける。2004年アソシエント・テ…
第1章松下時代 1996~1998年 1997年6月11日成立。「憲法第65条 行政権は、内閣に属する。」と日銀の独立性をめぐる闘争部分が一番面白い。1997年10月末から頭の三洋証券会社更生法、コール市場でのデフォルト、北海道拓殖銀行の破綻、山一破綻と続き、各地で…
バブルの末期に住友銀行とイトマンであったできごとの裏話。 住友銀行の天皇といわれた磯田一郎会長が辞任するまでのいきさつ、磯田の腹心でイトマンに送り込まれた河村良彦社長が伊藤寿永光に取り込まれて不動産事業にのめりこむ。また、絵画取引では許永中…
1998年破綻処理・国有化された日本長期信用銀行(長銀)の誕生から破綻処理により国有化、そして国有化からリップルウッドに買われて新生銀行として再上場するまでの物語である。 長銀は、1952年池田勇人内閣の長期信用銀行法にもとずく金融計画に沿って設立…
2018年ワシントンDCの世帯年収中央値は10万2千ドル、ニューヨークは7万8千ドル、シアトルは8万7千ドル、ロスアンゼルスは7万3千ドル。日本では平均値約550万円、中央値は423万円。日本と米国では2倍程度の開きがある。 大卒初任給は米国500~600万円。日本…
主にバブルが崩壊した後の1992年から1995年までの金融行政についてまとめた本である。前著の『検証 経済迷走』、『検証 経済失政』に至る前史にあたる。 〇寺村銀行局長の時代 1992年6月~1994年6月 主な課題は次の通り。 ・銀行の決算対策 ・貸し渋り問題 …
主に1998年の金融危機について、金融システムの安定化をめぐる迷走の報告である。後書きにいうように、98年の危機は官から政治に主導権が移った年のようだ。大きな要因は、大蔵省の解体と金融監督庁の誕生にある。自公与野党協議で金融再生法の成立。金融監…
1996年11月7日第二次橋本内閣三塚大蔵大臣。翌日の初仕事は大阪府三福信用組合への業務停止命令への対応だった。 1996年11月11日橋本は三塚に金融ビッグバンを指示する。橋本行革路線。大蔵はビッグバンで銀行・金融システムが大変になるという認識が欠けて…
経済学の資産価格はその資産が将来にわたって生み出す収益の現在価値(ファンダメンタルズモデル)。ファンダメンタル価格との乖離が経済学的なバブル。バブルを防ぐのは個々の経済主体のリスク管理に尽きる。 1985年が転換点。その前後、大阪本社の企業が雪…
本書はかなりの部分が日銀の金利政策の話になっている。日銀は当時は大蔵省や政治からの独立性が低かった。 1985年9月22日プラザ合意。円やマルクを上げて、世界貿易の不均衡を調整する。1986年4月19日、米国の公定歩合0.5%引き下げに協調して日本も公定歩合…
1990年1月に株式バブルが崩壊したメカニズムを探求する書である。1980年後半のバブル経済をほとんど株式市場だけから見ているという制約があるので、日本経済のバブル崩壊の全体像との関係に説明不足感があるが、株式バブルについていえば、本書の分析はなか…
中国バブル崩壊に備えよ、というのが本書のメッセージである。確かに現在の世界経済において中国の占めるウェイトは大きい。本書では、現在、中国経済は成長の限界にきており、今後、中国経済が大失速すれば、ドイツを始めとするEU、日本経済はかなり大きな…
中小企業の生産性は大企業よりも低い。中小企業で働く人の多い国は国レベルの生産性が低い、というのは横断的国際比較としては、大雑把に見て正しいだろう。米国の生産性が高いのは大企業で働く人の割合が多いからかもしれない。但し、これはある時点で切っ…
第1章はバブル発生前史。概ね70年代、80年代。 運輸省の海運集約に刃向かった三光汽船。いち早く日本国籍でない船舶に外国人船員中心の運行体制。三光汽船がジャパンラインの株を買い占め。カルテル体制に刃向かう。三光社長の河本敏夫、ジャパンライン社長…
FinTech分野のさまざまなキーワードを簡単に解説する。わかりやすくて良い書。 それにしても、カード分野には日本独自の仕様が多くて、グローバル経済に反してガラパゴス化しているのはびっくり。 交通系非接触カード分野で大成功を収めたFeliCaは、NFC-F仕…
2007年夏からの金融危機以後、各国の中央銀行は、為替市場への無制限介入、量的緩和、フォワードガイダンスによる期待への働きかけなどの非伝統的金融政策を取り始めた。本書の論点の第1は非伝統的金融政策が効果があったかどうかについてである。文章が入…
この人はリフレ論者であり、金融緩和を為替レート、あるいは為替相場への投資の観点でみているようだ。全体的に相関関係を因果関係と見做す論理展開が多い。例えば、デフレと自殺者に因果関係があると見做している。(p.88) また、出来事を為替レート中心…
「モノやサービスの物価がじわじわと下がる現象を、デフレと呼んでいます。」p.12(※そうなのか? 急激に下がったらデフレではないのか?) 景気と賃金格差の話をしたい。 低所得層は消費性向が高い80%~高所得は低い70%⇒低所得の人達は景気回復への貢献度…
失われた20年は日銀が失わせた20年である。 中央銀行の金融政策を論じる。 バブル崩壊で日本経済の風景は一変した。バブル崩壊は株価の暴落から土地価格の低下に繋がる現象。 1991年2月景気のピーク~1993年10月まで32ヶ月下降。 2002年1月から2008年2月まで…
リフレ政策とは、デフレによる弊害を解消するため、金融政策によって物価を上昇させる政策である。 第1章 リフレ政策でこんなに変わった を読みはじめ、随分と乱暴な論理展開が多い気がする。学者の論ではなくて、暴力団の論だ。 「先進国のインフレ率は2%…
マクロ経済学者的な論である。この間読んだ、『平成金融史』で、如何に銀行が守られているかを見たら、この金融批判論にもかなり同意できる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー グローバリゼーションとはアメリカの金融・農業・製造業の貿易自由化を核と…
実に良く取材している。平成のバブル崩壊とその対策の素晴らしい整理である。現在行われている黒田バズーカ異時元緩和の結果はまだどうなるか分からない。しかし、いままでの整理のみでいうならば、小手先の対策と先送りで傷を深くした印象がある。では直ち…
『証券価格と利子率・1874~1975』(一橋大学経済研究所・日本経済統計文献センター、1977年刊) 株価の形成は産業の発達と密接な関係がある。 1945年3月10日東京大空襲で各地の証券取引所が閉鎖となる。 1946年2月17日金融緊急措置令。預金封鎖。しかし、株…
新書なのでやむを得ない部分もあるが、雑ぱくな議論が多い。そもそもジムロジャースが雑ぱくな議論が持ち味のような気もする。また、いろいろなしがらみを外して、大きな目でみると方向性は正しいように感じる。長期投資の観点で考えると正しいかもしれない…
本書は、『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)の続編のようだ。前書では、階級社会の全体像を示したところだが、本書はアンダークラスに焦点をあてて、分析している。アンダークラスとは、パート主婦を除く非正規労働者(但し、管理・専門職を除く)と…
本書は、インターネット・テクノロジーの民主主義への脅威を警告する。具体的な例としては、第3章 ビッグデータと大統領選が一番だ。2016年のアメリカ大統領選の「プロジェクト・アラモ」にはびっくりだ。選挙の投票行動に影響を与えられそうな人を選んで、…