日本経済

『金融政策に未来はあるか』(岩村充著、岩波新書、2018年6月20日発行)

失われた20年は日銀が失わせた20年である。 中央銀行の金融政策を論じる。 バブル崩壊で日本経済の風景は一変した。バブル崩壊は株価の暴落から土地価格の低下に繋がる現象。 1991年2月景気のピーク~1993年10月まで32ヶ月下降。 2002年1月から2008年2月まで…

『日本を救ったリフレ派経済学』(原田泰著、日経プレミアシリーズ、2014年11月10日)

リフレ政策とは、デフレによる弊害を解消するため、金融政策によって物価を上昇させる政策である。 第1章 リフレ政策でこんなに変わった を読みはじめ、随分と乱暴な論理展開が多い気がする。学者の論ではなくて、暴力団の論だ。 「先進国のインフレ率は2%…

『平成不況の本質』(大瀧雅之著、岩波新書、2011年12月発行)

マクロ経済学者的な論である。この間読んだ、『平成金融史』で、如何に銀行が守られているかを見たら、この金融批判論にもかなり同意できる。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー グローバリゼーションとはアメリカの金融・農業・製造業の貿易自由化を核と…

『平成金融史 バブル崩壊からアベノミクスまで』(西野智彦著、中公新書、2019年4月発行)

実に良く取材している。平成のバブル崩壊とその対策の素晴らしい整理である。現在行われている黒田バズーカ異時元緩和の結果はまだどうなるか分からない。しかし、いままでの整理のみでいうならば、小手先の対策と先送りで傷を深くした印象がある。では直ち…

『戦後兜町事件史 日本の政治経済50年の歩み 上』(水沢 溪著、三一書房、1995年6月30日発行)

『証券価格と利子率・1874~1975』(一橋大学経済研究所・日本経済統計文献センター、1977年刊) 株価の形成は産業の発達と密接な関係がある。 1945年3月10日東京大空襲で各地の証券取引所が閉鎖となる。 1946年2月17日金融緊急措置令。預金封鎖。しかし、株…

『お金の流れで読む日本と世界の未来』(ジムロジャース著、PHP新書、2019年1月発行)

新書なのでやむを得ない部分もあるが、雑ぱくな議論が多い。そもそもジムロジャースが雑ぱくな議論が持ち味のような気もする。また、いろいろなしがらみを外して、大きな目でみると方向性は正しいように感じる。長期投資の観点で考えると正しいかもしれない…

『アンダークラス−新たな下層階級の出現』(橋本健二, ちくま新書, 2018年12月発行)

本書は、『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)の続編のようだ。前書では、階級社会の全体像を示したところだが、本書はアンダークラスに焦点をあてて、分析している。アンダークラスとは、パート主婦を除く非正規労働者(但し、管理・専門職を除く)と…

『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(ジェイミー・バートレット著、草思社、2018年9月発行)

本書は、インターネット・テクノロジーの民主主義への脅威を警告する。具体的な例としては、第3章 ビッグデータと大統領選が一番だ。2016年のアメリカ大統領選の「プロジェクト・アラモ」にはびっくりだ。選挙の投票行動に影響を与えられそうな人を選んで、…

『平成の重大事件 日本はどこで失敗したのか』(猪瀬直樹・田原総一朗著、朝日新聞出版、2018年6月発行)

あと、11ヵ月弱で平成が終り、新しい年号となる。最近、平成を振り返る企画がちょくちょく出てきている。その1つということで、なんとなく過去を振り返ってみようかと言う気持ちになる。振り返ってみれば、会社や仕事が起動に乗り始めたのは昭和の最後の方だ…

『日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業』(中原 圭介著、講談社現代新書、2018年4月発行)

全体的に真っ暗な将来の話が多くて読むのがつらい位である。日本の国民生活には大きな問題が多すぎる。一番大きな問題は、人口の高齢化と減少ということで、高齢者の介護や援助のために、社会保障費がめちゃくちゃ多くなると言う見通しにある。しかし、これ…

『新・日本の階級社会』(橋本 健二著、講談社現代新書、2018年1月発行)

三省堂書店の新書売上げNO.1ということで買ってみたが面白い。というか、日本の社会を社会調査データを使って鋭く分析している。特に、第5章の女たちの階級社会は、実に的確に女性の階級を描いているように感じる。昔のように皆が貧乏な状態から努力して豊か…

『人手不足なのになぜ賃金が上がらないのか』(玄田有史編、慶應大学出版会、2017年4月発行)

なかなか素晴らしい企画だと思う。第3章のバス運転手の例は、規制緩和の悲劇とも言える。路線バスや高速バスの規制緩和があったことで、事業者が増え、競争が厳しくなった。運賃が安くなることで利用者には良いが、しかし、事業者にとっては利益を上げにくく…

日本は2015年頃を境に経済のエンジンが冷える時代に入る。シュリンクする時代に生き延びる企業をどのように作るか?

1月25日(金)は久しぶりに面白い講演を聞いた。元週刊ダイヤモンド編集長で、その後ダイヤモンド社の社長、会長を務めた岩佐豊氏による「これからの10年、勝ち残る企業の条件」という講演です。3時間たっぷり岩佐節炸裂でした。大よそ次のような話です。■…