『イングランド銀行公式 経済がよくわかる10章』(イングランド銀行他著、すばる舎、2023年8月26日)

一般人に経済学の基礎的な話を説明しようという企画によって出版された本。日本ではなかなかこうはいかないかもしれない。 内容はあまり目新しいものはないが、いろいろ逸話がのっているのが楽しい。一番かわいそうな例はイスラエスに住む女性が母親にマット…

『21世紀の財政政策』(オリヴィエ・ブランシャール著、日本経済新聞出版、2023年3月17日発行)

数式が多く難解だが、r-g<0(実質経済成長率より実質安全金利が小さい)なら債務は償還されなくても、新たな債務が発行されなければ、生産に対する債務の比率は低下する、という箇所が印象に残る。 日本語版への序文に本書執筆の動機は日本経済の経験の研究…

『関東軍ー満州支配への独走と崩壊』(及川 琢英著、中公新書、2023年5月25日発行)

日本の現代史・昭和史の中で、大きな影響力をもったものが関東軍と満州事変だろう。本書は、その関東軍について成立から消滅まで詳しく(初心者には詳しすぎるともいえるが)解説する。なかなか読みごたえがある。 関東軍を象徴する人物といえば、やはり石原…

『柴田勝家 織田軍の「総司令官」』(和田 裕弘著、中公新書、2023年6月25日発行)

柴田勝家といえば、瓶割柴田の異名をとる猛蒋としか記憶がないが、織田軍の中核として、戦いに明け暮れた様子がわかる。 本能寺の変の後は、完全に秀吉にやられてしまったという印象だが、本書は比較的丹念に戦いの足跡を追っている。 やはり一番印象に残る…

『人体最強の臓器 皮膚の不思議』(椛島 健治著、ブルーバックス、2022年12月20日発行)

相当に難しい。 一般人が読むには難しすぎるだろう。 皮膚の老化=加齢による皮膚の老化+光老化 光老化とは紫外線を原因とする皮膚老化 紫外線には波長により、UVA、UVB、UVCの3種類がある。地球上に届くのはUBAとUVBの2種類。最も波長の長いUVAが95%を占…

『本当にわかる株式相場』(土屋 敦子著、日本実業出版社、2017年2月1日発行)

個人投資家向けPTS(Proprietary Trading System)は縮小した。現在は大口投資家向けのダークプールが増えている。 株式注文成立ルールには価格優先原則(成り行き優先)と時間優先原則がある。 株価決定は板寄せとザラ場寄せがある。板寄せは前場開始(寄付…

『琵琶法師 〈異界〉を語る人びと』(兵藤 裕己著、岩波新書、2009年4月21日発行)

ラフカディオ・ハーン(小泉 八雲)の耳なし芳一の話から始まる琵琶法師談。 なかなかついていけない。

『現代経済学の直観的方法』(長沼 伸一郎著、講談社、2020年4月8日発行)

なかなか面白い本だが、まるで平家物語を読んでいるようだ。著者はまるで琵琶法師のように経済学を語る。 鉄道の登場で、戦争は近代兵器による物量の戦いとなる。資本主義社会では金融システムが鉄道に、銀行家や財務マンが鉄道網を掌握する参謀本部にあたる…

『日本銀行 虚像と実像 検証25年緩和』(河浪 武史著、日経BP、日本経済出版発行、2023年6月23日発行)

1998年から2023年3月黒田総裁退任までの25年間の日銀の金融政策の点検。中心は2013年から2023年の黒田大規模緩和。新聞記者の書いた本なので経済理論・分析というよりも人間に関する記録の面が強い。 インフレの方が借金は返しやすい、経済活動への投資はや…

『バブルの世界史 ブーム・アンド・バストの法則と教訓』(ウィリアム・クイン、ジョン・D・ターナー著、日経BP・日本経済新聞社出版、2023年3月24日発行)

バブルは、市場性、通貨・信用、投機の3要素が揃ったとき何らかの火花で発生するという仮説。 歴史上の12バブルの概要。株と不動産、住宅がバブル資産。株には鉄道熱、自転車熱、ITなど、新技術が関係するものもある。 1719年-20年のミシシッピバブルと南海…

『エルサレムの歴史と文化』(浅野 和生著、中公新書、2023年5月25日発行)

エルサレムの観光案内のような本だ。

『綿の帝国 グローバル資本主義はいかに生まれたか』(スヴェン・ベッカート著、紀伊国屋書店、2022年12月28日発行)

5000年ほど前、インド、ペルーで綿の繊維から糸を作れることが発見された。その後、西アフリカなどでも。5000年前から19世紀までインド亜大陸が綿製品製造で世界のトップだった。インドの綿はジャワからローマ帝国迄広く交易された。ヨーロッパでは12世紀イ…

欧州と米国銀行の動向 2023~2024

2024/2/24 ブルームバーク:フォートレス・インベストメント・グループのジョシュア・パックCEO談、既に15億ドルのオフィス向け正常債権を1ドルあたり50-69セントで取得した。金融機関の債権損切に対応。 米地銀株が軒並み下落、NYCBの赤字決算と減配受…

『The World for Sale 世界を動かすコモディテー・ビジネスの興亡』(ハビアー・ブラス、ジャック・ファーキー著、日経BP、2022年10月20日発行)

コモディテー・トレーダーと商社の興亡について 1950年~2020年頃までの石油、金属、農作物のトレーディングに係る主要人物、会社の興亡の物語である。

『金利と経済』(翁 邦雄著、ダイヤモンド社、2017年2月16日発行)

高度成長期規制金利、その中核は公定歩合。固定相場、少ない外貨準備。国際収支均衡重視、1973年には崩壊。 1970年代米国グレートインフレーション。1979ボルカ―の引き締め。 名目金利+物価上昇率=実質金利。お金の貸し借りでは予想金利が重要。 実質金利…

『毒の水 PFAS汚染に立ち向ったある弁護士の20年』(ロバート・ピロット著、花伝社、2023年4月5日)

1998年10月ウィルバー・アール・テナントという農場主からの依頼で始まった。32歳。 1999年6月デュポンへの訴訟開始。2000年中ごろ初公判予定。2001年1月に延期。2000年8月、開示資料から環境保護庁からの手紙。APFOを使用しているか?という質問を見つける…

『試練と挑戦の戦後金融経済史』(鈴木 淑夫著、岩波書店、2016年5月26日発行)

日銀の金融政策について割と歯に衣着せぬ記述が多く、面白い。 1971年8月15日第26回目日本降伏記念日に、ニクソンが金とドルの兌換を停止。12月スミソニアン会議で1ドル360円から308円に切り上げ。73年2~3月先進国は次々に変動相場制に移行し、プレトンウッ…

『ナポレオン戦争 十八世紀の危機から世界大戦へ』(マイク・ラポート著、白水社、2020年7月5日発行)

ナポレオン戦争という書名にも関わらず、ナポレオン自身のことにはあまり触れられていない。ナポレオンが如何に戦ったかもあまりない。 イギリス、フランス、プロイセン王国、オーストリア、ロシアの5大国の対立。神聖ローマ帝国は365のドイツの主要な領邦で…

『地銀と中小企業の運命』(橋本 卓典著、文春新書、2023年3月20日発行)

コロナ支援 2020年3月からの実質無利子無担保融資の実績は40兆円。3年間利払いなし、元本返済最大5年間の据え置き。セロゼロ融資は赤字補填資金であり、国の有事措置として始まった。最終的には公費負担となる。1~2割の返済不能で4~8兆円の公的負担が生…

『海のアルメニア商人―アジア離散交易の歴史』(重松 伸司著、集英社新書、2023年4月22日発行)

アルメニア商人の歴史を辿った異色の書。 アルメニアはギリシャ・ローマ時代から登場する。紀元前400~300年に自治・独立し、紀元前80年頃に最大版図を得る。その後は大国のはざまで分断。 近世で独立国になったのは1991年。カスピ海と黒海の間の山岳地帯に…

『コンテナから読む世界経済』(松田 琢磨著、KADOKAWA、2023年3月29日発行)

大豆輸送でみるとばら積み船では出発港と到着港にサイロ設備があって船積する。コンテナ輸送では、バンニング施設でコンテナ詰めする。輸送運賃はばら積み船がコンテナの数分の1。しかし、ばら積みでは数千トン~数万トン単位の量を必要とし、さまざまな生産…

『日の丸コンテナ会社 ONEはなぜ成功したのか?』(幡野武彦・松田琢磨著、日経BP、2023年2月13日発行)

2017年7月川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社がONEを設立。共同持ち株会社は、郵船38%、川崎汽船31%、商船三井31%の割合で出資、その100%出資の事業運営会社がOcean Network Express Pte. Ltd(シンガポール本社)。 約200隻のコンテナ船を運航、170万本…

『ベネズエラ ―溶解する民主主義、破綻する経済』(坂口 安紀著、中公選書、2021年1月10日発行)

ベネズエラは、世界最大の石油の確認埋蔵量を誇る。1990年代までは比較的治安が良く、石油大国であった。2大政党制のもとで安定した民主体制が30年以上継続していた。 1998年12月大統領選でウーゴ・チャベスが当選、1999年に大統領となる。新憲法を制定。国…

『政府債務』(森田 長太郎著、東洋経済新報社、2022年12月8日発行)

政府債務について真正面から取り組んで考察した書。 2000年から20年ほどは日本が近未来において破綻することにリアリティを感じた人が少なくなかった。 IMFや世銀の想定する破綻は対外債務返済能力。従来は小規模国家のみであった。2012年ギリシャの実質デフ…

『軍と兵士のローマ帝国』(井上 文則著、岩波新書、2023年3月17日発行)

ローマ帝国は、紀元前27年から476年まで続いたが、その歴史は、大きく前期と後期に分けられる。 ローマは紀元前753年に都市国家として建国。前509年から前27年まで共和制。前272年イタリア半島を統一。カルタゴとのポエニ戦争を経て、地中海全域に支配を広げ…

『国債リスク 金利が上昇するとき』(森田 長太郎著、東洋経済新報社、2014年2月13日発行)

2013年4月4日金融政策決定会合で「異次元の金融緩和」を決定。「2年程度で前年比2%の物価上昇率を達成する」ことを目的とする。 年平均利回り=((満期償還額-現在の時価)/残存年数+利率)÷現在の時価×100 日本経済の問題点は資金の需要がないこと。金…

『日本銀行 我が国に迫る危機』(河村 小百合著、講談社現代新書、2023年3月20日発行)

2022年10月1ドル151円、32年振りの円安。 2013年から10年近く異次元緩和が続き、超低金利状態。2020年春のコロナ対応の財政出動は目立った負担増なし。 2021年から世界の主要国は物価が急上昇。消費者物価上昇は英国・ユーロは前年比10%超え、米国は10%弱…

『記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方』(池谷 祐二著、ブルーバックス、2001年1月20日発行)

人の脳には約1000億個の神経細胞がある。神経細胞の数は誕生したばかりの時が一番多い。使われていない神経細胞が選ばれて1日数万個減っている。脳は70歳になるまでの5%軽くなる。 但し、海馬だけは使うと増殖する。玩具を入れた環境で育てたネズミは海馬が…

『野生化するイノベーション 日本経済「失われた20年」を超える』(清水 洋著、新潮選書、2019年8月発行)

書名が面白い。 イノベーションの経営学的な研究成果のまとめ。イノベーションとは経済的な価値をもたらす新しいものごと。経済的な成長の源泉。 イノベーションはビジネスチャンスの方に移動する。 イノベーションは飼いならせない。管理できない。 イノベ…

『天変地異の地球学』(藤岡 換太郎著、講談社ブルーバックス、2022年8月20日発行)

天変地異が周期的に一緒にやってくるという主題について、短い周期のものから長い周期のものまでを概観する。 台風、エルニーニョ、ラニャーニャ、竜巻、豪雨、干ばつなど気象災害、火山、地震など固体としての地球によるもの、パンデミックのような生物に起…