『ハプスブルクとオスマン帝国』(河野 淳著、講談社メチエ) 近代政治の誕生

近代政治とはなにか?

著者の見方が興味深い。

近代に行なわれた政治 vs 近代的な特長をもつ政治

国家身体論:中世ヨーロッパでは、「人体」のアナロジーとしての国家(王国)があった。(p.176)

人体としての国家の頭と手足。体全体に対する四肢の貢献。頭による体の統制、というアナロジーで国王や国民各層の役割を考える。

ハプスブルク帝国は、現実論に即しての政治で対応した。実証主義政治といえる。(p.202)

近代政治論の多くは、近代に行なわれた政治という捕らえ方が主体である。立憲政治は近代政治の完成形を見られているが、近代的な特徴を備えていない。(p.204)

実証主義政治が見落とされてきたのは、それが思想のない政治であるが故である。(p.205)

政治思想史では思想を扱うのが目的だから、思想のない政治が見落とされてきたのである。(p.205)

国家、近代は、世界大戦に帰結したため、知識人から見ると国家と近代は眉をひそめてみるものとなった。(p.220)

しかし、今日の世界は「国家」の働きを無視できない。