『街場の憂国会議』内田樹編、晶文社、2014/5/10発行

『街場の憂国会議』(内田樹編、晶文社、2014/5/10)を読みました。確かに安部内閣の強引な手法には危険性を感じます。想田和弘さん、孫崎亮さん論は個別の例示的な問題提起が面白かった。あと、小田嶋隆さん、高橋源一郎さんの二人は文章が面白い。できるだけ多くの人に読んでもらいたい本です。 ただし、平川克美さんや、内田樹さんの、株式会社や経済成長に関する理解が平板でステレオタイプなのは気になりました。例えば「世界史的な歴史の発展段階で生まれてきた株式会社というシステムは、成熟段階においては本質的には存在理由を失います。なぜなら、経済成長せず、株価が上がらないとすれば、誰も株に投資しなくなってしまい、株式会社というシステムの根本が崩れてしまいます・・・」(平川 p.240)なんてがっかりするほど経済への理解が足りない。経済成長ゼロでも、大きくなる会社は一杯ありますよ。倒産する会社も一杯あるし。平川さんは会社を経営しているはずなのに、どうしてこんな杜撰な発言するのだろうか? 不思議だ。

1.株には配当がありますので、配当を目標とした投資がありえます。ただ、上場企業では株価の変動が大きいので現実には配当を目標にした投資は成立しにくいと思います。非上場企業では株価を意図的に固定化して配当目的の投資を可能にする経営はできると思います。株価が上がるか、配当を出せるかの要は利益を出せるかどうかです。各個別企業の利益はマクロの経済成長の影響を受けますが、決定されるわけではありません。不況になりマクロはマイナス成長になっても、企業努力による黒字化は可能だからです。

2.経済成長とインデックス(集合的)株価は連動するかもしれませんね。しかし、仮に集合的に不況でも、個別企業でみれば成長して株価の上がっている会社もあります。だから仮に国全体でマイナス成長になっても株式会社というシステムが使えなくなるわけではないんです。そうでなかったら新しい株式会社は作れません。

3.個別企業でみても、成熟段階になって成長しにくいと判断したら、自社株を買って一株あたりの価値を高めることもできますし、配当性向を高めて株主に還元することもできます。株式会社というシステムをうまく使う方法はいくらでもあるだろうと思うのです。

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