『イスラーム国の脅威とイラク』(吉岡・山尾、岩波書店、2014年12月25日発行)

酒井啓子さんの第8章「イスラーム国」が浮き彫りにする国際政治の闇が一番簡潔だけど腑に落ちる。

但し、イスラーム国がなぜ生まれたかということはこれでは理解できない。

例えば、幕末に外国からの圧力(?)があって、明治維新の後押しとなったが、明治維新を実際に行ったのは、薩長土肥の人たちだ。

イスラム国への国際政治という観点は、その海外圧力を分析することに相当するわけだ。それはそれで影響はあるのだが、「イスラーム国」が生まれる内在原理ではない。

一方で、イスラム教の宗派対立を強調している章(研究者)もいるが、本当に宗派対立で「イスラーム国」が生まれたのだろうか?

イラクやシリアが国として、国民を収めることができていない、ということも確かではある。

まあとにかくまだよくわからん。

この本は、現代中東・アジア諸国の体制維持における軍の役割(
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/24241080.ja.html)
という科研費に基づくシンポジウムの成果らしい。