『ドイツ公使の見た明治維新』(M.v.ブラント著、新人物往来社、1987年)

日本の歴史の中で、一番興味深いのは明治維新、第2は太平洋戦争または第二次世界大戦、第3は戦国時代だろう。

戦国時代については、織田信長を初め、どちらかといえば歴史小説の世界である。明治維新については、司馬遼太郎の本を面白いが、アーネストサトウの日記をまとめた「遠い崖」がかなり事実に近いような印象があり面白い。

本書は、それらと比べると地味であるが、それなりに興味深い。それにしても結構いろんなところを歩き回っているものだ。蝦夷の探検は、命がけだろうに。蝦夷については、ちょろっとドイツが占領するなら蝦夷が良いというような記述が出てくる(「この土地はヨーロッパ人の植民地として格別に適している」p.194)ので、日本の奥地を訪ねてあるいたのは、侵略に適した日本の地域を探査せよというような密命があったのかもしれない。