『ハプスブルグ帝国、最後の皇太子』(エーリッヒ・ファイグル著・北村 佳子訳、朝日新聞出版、2016年4月)

オーストリアは、第一次大戦を引き起こしたフランツ・ヨーゼフ皇帝の名前位しか知らなかった。フェルディナント大公が暗殺された後、甥のカール一世が即位していたのだ。本書はそのカール一世の息子達の物語である。

カール一世は、1918年11月12日ハプスブルグ家法で国外追放と財産没収とされ、ウィーンを追れて1922年亡命先のポルトガル領マディラで客死。

オーストリアは、ナチスドイツにより1938年にドイツに併合されて国が消滅したが、第二次大戦の終戦に際して再建された。

主に長兄オットーによるオーストリアの再建、ヨーロッパの再生を目指す活動の記録は生々しい手紙やメモに満ちている。

オーストリアの歴史についてあまり知らなかったが、その背景も含めて理解が進んだ。興味深い本である。