『オスマン帝国の崩壊』(ユージン・ローガン著、白水社、2017年10月10日発行)

第一次世界大戦を主にオスマン帝国とイギリス軍の戦いを中心にして記述した本である。

オスマン帝国との戦いは、ガリポリ戦線、エジプトの戦い、イラクでの戦い、アラブの反乱(地中海沿岸)など中東で激しく繰り広げられたのであるが、それを細かく記述していると言って良い。

但し、戦いの描写が多くて、対極の説明がやや不足しているような気がした。

アラブの反乱というとアラビアのロレンスの話が多いし、映画や本も読んだのだが、それらと比べるとロレンスの活躍はほとんど無視、あるいはロレンスの失敗の例の方が多い。同じことでも見方によって評価の相違が大きいことがよく分かる。

後書きを読むと、この著者は『アラブ500年史』の著者でもあるという。『アラブ500年史』は結構面白く感じたのだが、本書は淡々と事実を書いているためか、あまり面白いとは感じなかった。著者と訳者が両方とも同じペアなのになぜなんだろう?