『真贋ものがたり』(三杉 隆敏著、岩波新書、1996年6月発行)

期待していなかったが、内容は面白い。
立ち読みではなかなか真価は分からないものだ。

中国製の磁器は、長いこと中国でしか作ることができない貴重な輸出品であって、その偽物はペルシャなどでは国王のプロジェクトで進められて失敗したなど。

こうした話は偽物云々と言うよりも、現在の製造業の輸出競争のような技術競争の面もありそうだ。いずれにしても真似はまず進歩の第1段階だもの。

中で一番面白い(といっては申し訳ないが)永仁壺事件である。この本にあることを見る限り、かなり悪質だ。加藤唐九郎はずいぶんな山師といえそうだが。本当のところはどうだったか?