『オリバー・ストーン オン プーチン』(オリバー・ストーン、文藝春秋、2018年1月15日)

プーチンは悪の親玉だとを持っていたが、このインタビューを読むと全く異なる世界が見えてくる。

プーチンは、1999年にエリツィンによって第一副首相に任命され、2000年の大統領選挙で大統領になる。インタービューではこの間の経緯が語られているが、これ自体興味深いし、エリツィンプーチンも清廉潔白だという印象を持たせる。

まず、プーチンは実に賢い。あまたの回転は速く、話すことは極めてロジカルである。知識は豊富で、表現力も豊かである。
経済・社会の仕組みが崩壊したロシアを立て直しただけでも偉大な業績だが、その業績は優れた知性によって実現されたことが分かる。

インタービューでは何回か同じことを問われているが、ほぼ完全に首尾一貫している。

例えば、オランダ航空撃墜事件が典型的だが、プーチンは決してロシアが悪いとは言わず、ウクライナ軍の地上ミサイルで落とされたのか、または、ウクライナ軍の軍用機が同じ時に飛んでいたのも分かったので、ウクライナ軍に責任があるのではないかという。このあたりは典型的に、西側で今まで言われていたこととは正反対である。

プーチンアメリカとパートナーになりたいと望んでいるがアメリカには何度も裏切られたという。本書を読むとさもありなんという気になってくる。

もちろん、ここに書かれたこと、プーチンの語ることは嘘の可能性もあるわけだが。しかし、プーチンを信じれば世界はかなり変って見えるのは確かである。