『新・日本の階級社会』(橋本 健二著、講談社現代新書、2018年1月発行)

三省堂書店の新書売上げNO.1ということで買ってみたが面白い。というか、日本の社会を社会調査データを使って鋭く分析している。

特に、第5章の女たちの階級社会は、実に的確に女性の階級を描いているように感じる。

昔のように皆が貧乏な状態から努力して豊かになった高度成長の時代とは違って、全体が停滞するなかで豊かな人々とそうでない人々の間の格差が拡大しているのは事実だろうと思う。

特に、本書ではアンダークラスとして命名されている、非正規雇用の労働者は929万人(パート主婦を除く)就業者全体の15%を占めるとされている。個人の年収が186万円・世帯年収で343万円。男性の66%は未婚。女性は100%未婚(定義上)。貧困率39%というのは大きな問題である。

こうした格差は社会的なロスを生むと言うことをもう少し説明して、格差解消論を推進しないといけない。

努力するのは必要だとしても、努力したからと言って必ずしも成功することはないし、生まれ出た最初から格差があるのだから必ずしも自己責任とは言えない。自己責任論はあまりにも身勝手な理屈だろう。