『核戦争の瀬戸際で』(ウィリアム・J・ペリー著、東京堂出版、2018年1月発行)

核の脅威は冷戦後一時的に減ったようだが、最近はまた高まっているのはなんとなく感じていたが、本書を読むとそのことが具体的に分かりやすく書かれている。

特に白眉は、ソ連崩壊後に、ウクライナなどにあった核弾頭やICBMを廃棄処理したプロジェクトの紹介である。こうした核兵器削減に関する活動がうまくいっていた事情がよく分かった。

現在の問題は、ロシアの核拡張戦略、北朝鮮の核開発、パキスタンやインドの核などである。

自分だけのことを考えずに、相手のことも考えるようになれば、核兵器の削減に向けての同意がえられないはずはないと思えるのだが、しかし、核を減らすと言うことに対して必ずしも賛成しない人達がいて、対立してしまうためになかなか一つの方向に進みにくいようだ。