『幻の黒船カレーを追え』(水野 仁輔著、小学館、2017年8月発行)

黒船によってイギリスから日本にもたらされたブリティッシュカレーを「黒船カレー」と名付けてそのルーツを追い求めた記録。結論はカレーパウダーが伝えられ、それを日本で改良したものであるということのようだ。

カレーという点では、いろいろ面白いエピソードが多い。暇なときに探して行ってみるお店もいくつか紹介されている。これは専門の本を探すと良いかな。しかし、カレーはディナーのような、じっくり食事したいときに選ぶにはちょっと向いてないように思う。ネタとしては面白みに欠ける。

フランスにもドイツにも米と一緒に食べるカレーはなく、カレーパウダーをフレーバーとして使っているというのは面白い。しかし、フランスのクーポールに名物のラムカレーがあるが、それはインド人のコックがいたからたまたま生まれた名物料理であって、広く広がったものではないとか。

世間の常識として成立している過去の歴史を掘り起こす難しさといえる。

それにしてもカレー研究家で40冊の本を書いた人物というのは面白い。世の中にこういう人物がいる、ということは知っていても良いことだ。しかし、文章はちょっと地味かな・・・