『民主主義の死に方 二極化が招く独裁への道』(スティーブン・レビッキー他著、新潮社、2018年9月発行)

アメリカにおいて共和党民主党の対立が先鋭化してきており、特に共和党で手段を選ばず勝つという方法をとるようになってきている。トランプが共和党の大統領候補となり、結局、大統領になったのはその流れに載っているものとも言える。

著者二人は世界各国の民主主義の崩壊を研究してきたが、米国においてもその兆候が現れている。特にトランプは、独裁者になるための条件をすべて備えているという。

アメリカの民主主義は優れた憲法がベースになっていると言われているが、実際にはむしろ、不文律・規範や相互の寛容の精神、妥協によってうまく運営されてきた。

これに対して制度が認めるぎりぎりのところまで攻めるようになると対立が厳しくなりライバルが危険な脅威となる。

現在のアメリカでは、民主党は多民族、マイナーな人種の支持を得ている。それに対して共和党は白人に偏っている。民主党共和党の対立は人種間の対立になってきた。

均質な共和党vs多様化する民主党

白人プロテスタント共和党。縮小している。アメリカが消えていくという感覚をもっている。主に共和党が強硬化した:

ギングリッチ共和党)の戦争としての政治手法1980年代~

一切妥協しない、憲法違反ぎりぎりの強硬手段1990年代

選挙区の区割りを自党有利に変更する。右派メディアの台頭。2000年代

ティーパーティの組織。オバマの大統領資格に疑問を投げかける。2008年

世界中の民主主義を破壊する要因は党派闘争である。p.214

トランプの就任の下地ができていた。

トランプ:審判への敵意、審判への攻撃、メディアへの圧力、投票者ID法、投票抑制、