株式投資の基本的考え方について(メモ)

株式投資をするには、株主にとっての企業の価値は何か? をまず理解するのが良い。

支配株主またはオーナー的な考え方

長い目で見れば、株の価格は企業価値により決まるはずだ。ここでいう、企業価値とはつまり企業のもつ資源(人、技術、資本)を結集して、利益を生み出す力であり、その力を最大限に発揮して、企業価値を高めるのが会社の経営といえる。

株価とは企業価値を貨幣価値に換算したものである。企業は年に一度決算を行うことが法律で義務つけられており、決算書は企業の価値のスナップショットである。このような考えに基づくのであれば、株価は年に一回算定すれば十分であろう。

決算書を基準に株主にとっての価値評価基準を求めるとすると、一株当たり純資産の伸びが重要だろう。

毎年の伸び(年成長率)が継続したとき、5年・10年でどのくらい増えるか(複利)は、次の表のとおりである。 

成長率 5年 10年 15年 20年
5% 1.22 1.55 1.98 2.53
7% 1.31 1.84 2.58 3.62
10% 1.46 2.36 3.80 6.12
15% 1.75 3.52 7.08 14.23
20% 2.07 5.16 12.84 31.95

上の考え方は、長期的な企業価値を基準とする考え方である。

『ファンダメンタル分析の手法と実例』は少数株主はトータルリターンを重視すべきという。考えてみれば確かにその通りで、純資産を重視するのはどうやら支配株主(オーナー)の立場からの考え方といえる。

純資産が多ければ会社の経営を安定させやすい。純資産が多ければ事業が一時的にうまくいかなくなっても、持ちこたえることができる。シャープのように身売りする必要はない。東芝のように解体もされにくいだろうし。

トータルリターンで考える

では実際のところはどうかというと、株式市場においては株価は毎日変動する。これは企業の本質的な価値の変動とは関係なく、需要と供給の関係による変動である。需要は株を買いたいという数であり、供給は株を売りたいという数である。買いたい・売りたいは投資家の実需に加えて、思惑にも左右される。業績低下が予想される場合、全体として売り込まれる。もっとも、リーマンショック、新型コロナウィルスショックなどの経験からみると全体として売り込まれた場合は短期的に回復するようだ。

では、こうしたことを踏まえて利益を出すにはどうするか? 米国株のように右肩上がりが多ければ、長期保有で十分成り立つ。しかし、日本株を10年位のスパンでみて右肩上がりを続けている銘柄は少なく、上下変動している銘柄が多い。そういう株では長期保有ではなくて、短期的な売買も重要になる。

短期的(1~2年)では企業の業績が悪ければ株価が下がり、業績が良ければ株価が上がる。また、業績が悪くなると皆が思えば株価が下がり、業績が良くなると皆が思えば株価があがる。株価が安いときに買い、株価が高いときに売るためには、こうして、業績に対する予想が非常に重要となる。

日本株への投資で利益を得るには、会社の価値を基本にして、それに加えて、企業の短期的な業績を予想して売り買いをすることが必要と考える。

配当を基本に考える

『ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の心理』バーキン・マルキール)には、株は一回かったらずっと持ち続ける(バイアンドホールド)という考え方が紹介されている。極論を言えば、自分が死ぬまで持っていて、死んだら相続するわけだ。この考えは、一方の極であるが、この場合は配当のみが評価の基準となる。

インデックス投資

いままで多くの株式投資の本を読んだが、共通しているのは、素人はインデックス投資をするのが一番良いという意見である。実際のところ、インデックス投資を上回る成績を上げ続ける株式アクティブ運用ファンドは少ないようだ。

『株式投資2022 賢い資産作りに挑む新常識』など、アクティブ運用はインデックス投資に勝てない理由として手数料や運用コストを上げる向きが多い。もちろんそういう事実もあるが、むしろ重要なのはインデックス投資に内在するメカニズムであろう。

つまり、インデックス投資をする人が増えるとインデックス投資を運用するファンドにお金が集まり、インデックスに採用されている銘柄が自動的に買われる。その結果として、インデックスが上がる。つまり「インデックス投資が良い」という評判がインデックスを上げる原因になる。評判が自己実現的になるわけだ。これを計量的に示すのは難しいが、こう考えると、初心者にインデックス投資を推奨するのは理にかなっている。

しかし、行き過ぎるとインデックスバブルになる可能性がある。

インデックス投資は売買ではなくお金を貯めて資産を増やしていく、という目的になる。それに対して、個別株の投資は配当と売買とのトータルリターンで評価することになる。なので少し性格が違うだろう。

株の売買・損切

株式投資家はバリュー(割安株)投資家とグロース(成長株)投資家がいる。バリュー投資は株を買うときは安ければ安いほど良いので、損切という概念は当てはまらないのではないだろうか。

ところで、バリュー株とは何かの定義もあまり明確ではないようだ。例えば、「バリュー株投資は、会社が保有する現金や不動産、有価証券といった現時点で会社が保有する資産を評価して投資します」という定義がある。(『貯金40万円が株式投資で4億円』(かぶ1000著、ダイヤモンド社、2021年1月12日発行) - anone200909’s diaryこの定義は少しばかり極端ではないか? 保有する資産はキャッシュを生み出さないし会社の本質的価値とはかなり違うだろう。