『金融政策に未来はあるか』(岩村充著、岩波新書、2018年6月20日発行)

失われた20年は日銀が失わせた20年である。

中央銀行の金融政策を論じる。

 

バブル崩壊で日本経済の風景は一変した。バブル崩壊は株価の暴落から土地価格の低下に繋がる現象。

1991年2月景気のピーク~1993年10月まで32ヶ月下降。

2002年1月から2008年2月まで73ヶ月景気拡大。

1993年~2007年で所得水準下位9割層の実質所得は28%減少した。

大多数の日本人の所得が減った(格差広がる)

 

物価が継続的に下がり続ける減少はデフレ。しかし、インフレは望ましいのか? インフレになれば景気は良くなるのか? (景気が良くなればインフレになるというのは実感だが、その逆は?)

 

2013年5月異次元緩和が始まる。

フィッシャー方程式:(1+名目金利)=(1+自然利子率)×(1+物価上昇期待)

名目金利中央銀行の金融政策で動かせる。

自然利子率とは、現在の豊かさで測った将来の豊かさの市場価格であり、一人あたりGDPの伸び率に対する見方で決まる。金融政策では動かせない。

日本では自然利子率が1990年から1997/8年頃に大幅に低下し、その後戻っていない。(パネル2-6 p.71)

 

BEI:ブレーク・イーブン・インフレ率 物価連動国債で先行きインフレ率を測定する

マイナス金利(2016/10)は失敗。インフレ期待を冷やした。

 

金融緩和出口への不安=国債の価値低下⇒対策は国債を変動利付き国債に変更すると良い。

リカード=バローの等価定理」:国債増発による景気刺激策は、将来における増税を予想した人々の防衛的行動によってキャンセルされ、長期的には無効である」

FTLPは統合政府のバランスシートで理解する。⇒物価水準は財政できまる。

物価=((ベースマネー)+(市中保有国債))/政府債務償還財源

日銀が躍起になってデフレ脱却の旗を振っても物価が付いてこない。これは従来の経済理論では説明できない。平成デフレをもたらしたのは、バブル崩壊後の自然利子率の大幅な低下ではないか?

 

 銀行券は金利ゼロである。銀行券を発行する片方で、当座預金に銀行券のコスト程度以上のマイナス金利を付けるのは無理がある。

マイナス金利を実現するには銀行券を廃止するのが良い。⇒高額紙幣廃止論が出てきている。