『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』(能勢 博著、ブルーバックス、2019年10月発行)

インターバル速歩とは、本人がややきついと感じる早歩きと、ゆっくり歩きを3分間ずつ交互に繰り返すというウォーキング方法である。それを1日5セット、週4回以上繰り返すと、5か月間で体力が20%向上する。(「はじめに」より)

具体的にインターバル速歩は次のように実践する。
・軽い運動のできる服装で底が柔らかく踵にクッション性のある靴を選ぶ。
・視線は25m先に向けて、背筋を伸ばした姿勢で歩く。
・できるだけ大股であるく。腕を振ると良い。
・スピードは「ややきつい」と感じる程度。5分間あるけば息が弾み、動悸がする程度。
・速歩の時間は3分を基準とする。
これを週4回以上繰り返す。一週合計で速歩きの時間が60分以上になるようにする。これを5か月繰り返せば効果がでる。(pp.97-98)

30歳を過ぎると男女を問わず体力が少しずつ低下する。これは、加齢による筋力の低下が原因である。(pp.27-28)

最近は、体力の低下が高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病の原因になると考えられるようになった。生活習慣病にとどまらず、認知症やがんに至るまで、中高年特有の疾患の根本原因は、加齢性筋減少症に伴う体力の低下である可能性が高い(p.28)。

体力低下は加齢によるミトコンドリアの機能低下が原因ではないか? 

持久力を表す指標:最高酸素消費量(最大酸素摂取量) ミトコンドリアブドウ糖脂肪酸を燃やしてアデノシン三リン酸(ATP)を生成する能力。加齢で低減する。加齢による筋力の低下が原因。

筋力とは筋収縮力と筋持久力。筋収縮力はー速筋ー太く速く白い、およびー遅筋ー細く遅く赤い、がある。

運動強度と速度によってエネルギー源が適宜変更になる。運動時のエネルギー源は最大酸素消費量の50%以下だと糖質:脂質=4:6、60%で6:4、100%で100:0となる。

体力の低下を防ぐために、1日1万歩歩くというような方法が勧められているが、松本市の「松本市熟年体育大学」事業に著者が協力した中で、その効果の検証を行ったところ、体力の向上はほとんど見られなかった。これはおそらく、普通に歩くだけでは運動の強度が弱すぎるためだろう。(pp.51-52)

一般には持久力と筋力の2種類のトレーニングがあるが、それらは、アスリートや若者向けに考えられているものが多い。インターバル速歩は持久力系だが、持久力と筋力のトレーニングどちらでも最高酸素消費量があがるので中高年は二つを区別する必要はないだろう。また、マシンを使ったトレーニングは効果があるが、時間の制約やコストが大きすぎてゆとりのない人には採用しにくい。(pp.59-62)

著者たちが考え出した「インターバル速歩」は実践しやすいのが特徴である。例えば、きつい速足を30分間やってほしいというとみな逃げてしまい、継続できない。(p.211)

それに対してインターバル速歩は定着率が高い。つまり、継続してやれるのである。(pp.113-116)

インターバル速歩を実践した結果として、最高酸素消費量などの指標でみる体力が上がる。体力が上がると生活習慣病の指数が下がる。生活習慣病は体力強化で予防できるだろう。(p.74)

 

f:id:anone200909:20191225131801j:plain