『世界の起源ー人類を決定づけた地球の歴史ー』(ルイス・ダートネル著、河出書房新社、2019年11月30日発行)

科学者が書いた人類の歴史である。本書は地球という星の地学的変動と人類の活動を関連づけて説明している。大気などの地球環境の物理的な特性、陸の成り立ち、大陸の移動などによって人類の歴史が決定付けられているという視点が斬新である。地球の変動は億年単位の古さで人類は長く見ても万年の単位という桁違いなのが、この両者の関係を語るという点が著者の着想の妙といえる。

人類は東アフリカの地溝帯で生まれ、現代でも最大の都市の一部は断層の上に築かれている。人類が猿の仲間からなぜ分離したのか。東アフリカ地溝帯で人類の祖先が生まれた。ホミニンの最古の種は、エチオピアのアワッシュ川流域の森で440万年前に生活していた。樹上で生活するが2足歩行ができる。森林が減少してサバンナになるにつれて2足歩行が優位となった。200万年前のホモ・エレクトスで脳が発達した。石器による狩猟をした。地溝帯と地球の気候変動がホミニンの進化に影響を与えた。古代文明はプレート境界に生まれた。断層の水源、プレート境界の山から削り出された豊かな土壌などがその要因であり、人類はプレートテクトロニクスの申し子である。

現在は完新世間氷期で比較的暖かい状況にある。しかし、過去260万年は寒く、氷期間氷期の繰り返しだった。この周期は、地球の軌道の離心率の変化:10万年周期、地軸の傾きの変化:4万年周期、地軸の歳差運動:2万6千年周期、の組み合わせ。

第6章の金属についてでは、銅、錫、鉄、その他の多様な金属が地球の歴史の中でどのようにして作られたか、その結果、地表ではどの地域に存在するか、人類がどのような経緯でそれを活用したかを簡単にまとめている。とりわけ青銅で反映し、ティーラ火山(サントリーニ)の大噴火を機に滅亡したらしいミノア文明が面白い。

第9章エネルギーでは、人類が木炭をエネルギーとした時代から、石炭エネルギーになって工業生産が活発になったが、その石炭の層がどのようにしてできたかを説明する。石炭紀超大陸パンゲアの構築期であり、南極のゴンドワナ大陸の周りには大きな氷塊があった。植物が枯れても分解されず二酸化炭素が泥炭として固定化されたこともあり、地球の温度は寒冷であった。また、大陸の移動により泥炭を作る低湿地ができ、その湿地が沈み込むことで石炭層ができた。石油はテチス海で1億55百万年前を1億年前にプランクトンの死骸からできる頁岩を経過して作られた。白亜紀パンゲアは分裂、暖かい海水、海底の酸素不足。