『アルツハイマー征服』(下山 進著、株式会社KADOKAWA、2021年1月18日発行)

家族性アルツハイマーの家系の話がイントロと最後に出てくるが、これを読むと人生が運に左右されていることを痛感する。運が良い人と運が悪い人がいるが、アルツハイマー家系に生まれた人たちも、そうでない人達と同じように幸せに生きる権利がある。

アルツハイマーの原因究明にいたる研究、研究に基づく医薬品の開発は非常に難しいということもよく分かる。研究者が研究の成果を上げられるか、医薬品の治験に成功するかどうかもまたかなりの部分で運が良いかどうかにかかっている。

本書の構想をスタートしたのは2002年であり、ちょうどそのころは研究の現場にはアルツハイマーは治る病気という熱気があった。その後、治療法が簡単ではないということがわかって本にまとめることができなかった。そして、2018年頃に見通しがついてきたという。本書は15年以上に渡る調査と取材に基づいているという。お手軽な出版の多い中で、本書は格別に重厚なノンフィクションである。

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