『富士山噴火と南海トラフ』(鎌田 浩毅著、講談社ブルーバックス、2019年5月20日発行)

2004年富士山防災マップが公表された。この分かりやすい紹介として『富士山噴火 ハザードマップで読み解く「Xデー」』が発行された。

その後、2011年3月11日の東日本大震災で富士山をめぐる状況は一変した。本書は上記の本の全面改訂版である。

富士山は、ユーラシアプレート、北米プレートとフィリピン海プレートの会合点の近くにあり、フィリピン海プレートが沈み込むところの上にある。富士山は日本で一番大きい火山であるが、放出してきたマグマの量も多い。

富士山の噴火の歴史は長い。先小御岳火山、小御岳火山、小富士火山新富士火山の4階建てになっている。新富士火山は1万1千年前から活動。

ステージ1:1万1千年前から8000年前。例えば三島溶岩。

ステージ2:8000年前から4500年前。火山灰を大量に出した。

ステージ3:4500年前から3200年前。溶岩を大量に噴出。

ステージ4:3200年前から2200年前。爆発的な噴火。2900年前御殿場岩雪崩。2200年前に最後の山頂火口噴火。

ステージ5:2200年前から現在まで。2200年間で少なくとも42回噴火した。

延暦噴火(800~802年)では東海道の足柄路が遮断され、箱根路ができた。

平安時代中期の貞観噴火(864~866年)

・江戸時代中期1707年の宝永噴火は、宝永大地震と連動している。白い軽石と黒いスコリア(二酸化珪素の少ない黒っぽい軽石)、火山灰を大量に出した。

 

火山の爆発でおきることいろいろ。

・火山灰が降る。

・溶岩流。貞観噴火で青木ヶ原溶岩が噴出。

・噴石(火口を埋めていた溶岩が破壊された)、火山弾(柔らかいマグマ)

火砕流(マグマの破片、ガス、石片など)は時速100キロ以上、火砕サージ(薄い)

・泥流は積もった火砕流が雨などで流れる。堆積物が鉄砲水の原因となる。時速数十キロ

・山体崩壊。セントへレンズ火山の噴火で岩雪崩が起きた。時速250キロ。富士山の山体の確率は小さいが起きると破壊的。直下型地震で起きる可能性がある。

・ブラスト。水蒸気を含む爆風。

 

南海トラフ巨大地震が2030年代に起きることは確実視されている。南海トラフ巨大地震と富士山噴火が連動する可能性は大きい。南海トラフ巨大地震の被害総額は220兆円。