『ウクライナ戦争』(小泉 悠著、ちくま新書、2022年12月10日発行)

ロシアのウクライナ侵攻が始まったのは2022年2月24日午前5時。プーチンは当初首都キーウを短時間で制圧、ゼレンシキ―を追放、傀儡政権を樹立して、ウクライナを傀儡国家をするつもりだったようだ。そういえば、これは、旧ソ連のアフガン侵攻、旧関東軍満州事変と結構にているなあ。それにしても100年近く経っても軍事パワーを使う奴の手法があまり変わっていないことは驚きだ。

著者は、特別軍事作戦とやらが始まるまで、戦争の開始は読めていなかったと本文中で告白している。しかし、米国には概ね読めていたのはなかなかスゴイ。

本書は、開戦から半年以上過ぎた時点でのまとめだが、プーチンが行っていることは全く理解できないが、簡単にウクライナに傀儡政権を作ってコントロールできると想定していたとすれば、理解できないこともない。それ以前、2014年のクリミア半島の併合や、東部ドンパス地方の支配が比較的スムーズに行ったことから、2022年も同じことを再現できると期待したのも理解できる。

当初は簡単に敗北すると予想されたウクライナ軍が持ちこたえ、夏過ぎには逆に攻勢にでて9月にはハルキウ方面でロシア軍に占拠された地域を大規模に回復している。このあたり、予想外だったのだろうが、予想外の事態に直面して、プーチンには事態の収拾ができないというところなのだろう。

さてどうなることやらだ。これからどうなるかは依然として確実なところはわからない。おそらくウクライナは徹底的に戦うだろうから、プーチン政権=ロシア政府が崩壊するまで戦争は終わらないのではないだろうか。ロシアが核を使うかどうかも予測できないし。ウクライナ戦争が2023年最大の不確実要素であることはまちがいない。

ところであとがきの日付が2020年9月になっているが、もちろん誤りでしょう。しかし、本を書き上げてから発行するまでの時間がちょっと長すぎるんでは?