2023年日本の経常収支は21兆3810億円だったが、それは第一次所得収支が34兆9240億円と史上最大だったため。貿易サービス収支は大きな赤字。
第一次所得収支は大部分が投資収益である。2022年でみると第一次所得収支の受取50.0兆円で、その内訳は証券投資収益18.6兆円(利子と配当金)、直接投資収益27.5兆円(再投資収益、配当金、利子所得など)、その他投資収益3.9兆円。
第一次所得収支は大部分が現地で再投資されるのではないか?
貿易サービス収支は▲9兆4167億円と過去4番目の赤字であった。2022年は▲21兆665億円で2年足すと30兆円のマイナス。2023年の赤字の中で、貿易収支は▲6兆5009億円だったが、サービス収支も▲2兆9158億円だった。
サービス収支は旅行収支、輸送収支、その他サービス収支の3項目からなる。旅行収支はインバウンドで3兆6313億円だったが、一方でその他サービス収支が▲5兆9040億円だった。その他サービス収支の通信・コンピュータ・情報サービスが2023年は▲1兆6149億円と25年で6倍となった。これはデジタル赤字とも呼ばれる。専門・経営コンサルティングサービスが▲2兆1246億円。これにはインターネット広告が含まれる。また研究開発サービスが▲1兆6779億円、著作権使用料を含む。
こうしてみると、キャッシュフローでは大きな赤字(円売り、ドル買い要因)になる。このため構造的にみると円安から円高には戻らない。
こうした構造変化は2013年頃から始まっている。
円安をキャッシュフローで説明するのはなかなか良い着眼点だと思う。実際の経験からも納得できる。自社でも米国法人から送金されたドルを円転しないでドルのまま運用することが増えている。