『大暴落1929』(ジョン・K・ガルブレイス著、日経BPクラシックス、2008年9月29日初版発行)

1929年10月の大暴落について書き留めた書。筆致が面白いので人気があるのだろう。

1927年から上げ相場が始まる。

1928年大統領選挙ではフーバーが圧勝。フーバーの胸の内は投機は「人殺しよりも悪質な犯罪であり、犯人を告発し罰しなければならない」と考えていた。

1928年個別株の値上がり、信用取引の膨張。ブローカーズローン(またはコールローン)の残高で分かる。残高:26年初め25億ドル、27年末34億8千万ドル、28年末60億ドル近くに膨張。年末の金利は12%。企業が余剰資金をウオール街に貸し付けるようになる。FRB公定歩合5%。

1929年3月26日コールローン金利20%。8月FRB公定歩合6%に引き上げ。

20年代の企業統合は、地域の違う企業の統合による効率化。公益企業は特殊持ち株会社で管理統制集中化。百貨店、スーパーなど日常生活分野ではチェーン店化。投機のための会社型投資信託。英国では1880年代からあった。米国では1921年から関心が高まる。1928年1年で186社の会社型投信が組織された。29年には年間265社。会社型投信が発行した有価証券の評価額は、ポートフォリオに組み込まれた株や債券の市場価格を上回ることが多かった。レバレッジを効かせた発行をした。

1929年に株式見通しの悲観論を主張する人は少なかった。

1929年アメリカの証券取引所の会員証券会社の顧客数は約155万人(人口は1億2千万)。株式市場が過熱し、株価が企業の将来性のバロメーターでなくなった。

1929年9月3日で1920年代の強気相場は終わった。

9月から10月に株価は下がり気味だった。10月19日(土)大きく下げ、土曜日の取引終了後にかなりの数の追証が発行された。10月21日(月)は下げ相場で速報が大幅に遅れた。23日(水)大幅下落。24日(木)歴史的には2029年の恐慌相場が始まった日。買い手が現れない。前場で激しい恐怖に襲われパニックとなる。後場は買い支えで戻す。

1929年の恐慌相場では最悪の瞬間が最悪ではなくさらに悪化した。28日月、29日火と落ちる。会社型投信が最悪。一週目は一般的投資家、二週目は大口投資家が売りを出したようだ。

11月半ば指数が半値に落ちて下げ止まった。

しかし、その後2年間にわたり株価水準が悪化した。32年6月には29年11月半ばの1/4になった。特に会社型投信は紙くずに近くなった。