『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(ジョセフ・E・スティグリッツ著、徳間書店、2002年5月31日発行)

ワシントンでは経済政策が、権力者の利害、信念、イデオロギーによって決定される場面が多い。

IMFの政策は市場がおのずと効率的な結果を生む、という仮定を根拠にしている。

1999年WTOシアトル大会での抗議行動以来、抗議運動が激化している。

グローバリゼーションを支配している三つの主要機関:IMF世界銀行世界貿易機関WTO)はワシントンを本拠とするアメリカ式モデルである。IMFは世界各国の中央銀行財務省に報告する。主要先進国が取り仕切っており有効な拒否権は米国のみ。IMFは市場はしばしば有効に機能しないという信念で設立されたが、いまは、市場至上主義になっている。

GATTに代えてWTOは1995年発足。

先進工業国の多くは、自国の産業を保護しながら経済を発展させてから、外国企業との競争に入った。しかし、ワシントンコンセンサスは1980年代の自由至上主義に基づいている。発展途上国に市場開放を迫り、競争力のない国内産業を、強力な外国製品と競争させている。IMF発展途上国に金融引き締めを迫る。金利の上昇でセーフティネットのないところで失業者が生まれる。金融システムがほとんど機能していない発展途上国に資本市場の開放を迫るのはリスクが大きい。

1997年のアジア通貨危機ではIMFがタイとインドネシアの危機を悪化させた。2001年のアルゼンチンの崩壊もIMFの失敗の例である。