ワープロなどで横書した普通の英数字混じりの文章(英数字をWindowsIMEの半角英数で入力したもの)を、従来のアプリケーション(Officeソフトなど)で縦組で表示すると英数字は皆横倒しになります。これは、どのようにしてそうなったかの経過はわかりませんが、いわば、現在のデファクトスタンダードと言えます。
いま、Webや電子書籍で縦書きができるようになりつつあります。このままですと、一般の人が普通に書いた横書きのページをWebで縦書き表示すると英数字は皆寝てしまうことになりそうです。
このことは、印刷・出版・制作業界のプロは皆知っていますが、一般の人には意外に知られていません。
青空文庫という、主に著作権の切れた書籍をWebで誰でも使えるようにしているボランティア活動があります。
青空文庫を表示できるいろいろがリーダがあります。日本人の作ったさまざまな青空文庫リーダは、青空文庫の書籍を表示するとき、文字が寝てしまう問題を、それぞれ独自の方法で自動的に方向を設定して解決しようとしています。
その結果、青空文庫の同じ内容を表示してもリーダによって文字の方向が異なり http://twitpic.com/9yvsif のようなばらばらな状態になります。(画像は @PORKPEEK2011さんによるものです。)
UnicodeのUTR#50という仕様案が現在提案されており、縦書き時の文字の既定値(なにも指定していないとき)の方向を仕様として決めようとしています。現在のUTR#50の案では英数字について従来のデファクトの通りになりそうです。
上の図の中で、UTR#50の現行案と同じのがAIR草紙です。他のリーダはすべてUTR#50の現行案とは異なります。ですので、UTR#50が今の案のままで決まると、AIR草紙以外は標準非準拠となります。
印刷や書籍業界の専門家は、いままでと同じだから別に困らないでしょう。彼らが使っている組版ソフト(DTP)では文字の方向をいかようにも設定でき、設定結果をPDF→紙に出すからです。また、プロなら電子書籍もなんとかできます。そういう意味で業界の専門家はそれほど困らないでしょう。
しかし、普通の文書を書く人達、例えば縦組ブロガー(これから出てくるとして)などや、ブログやオフィスで横書きで書いた内容を自分自身で縦組の本にしようという人は戸惑うと思います。また、原稿の書き直しが大変になるのでしょうね。
この解決策は、新しい仕様の制定を機会に、英数字を立ててしまうことなのですが、現状、この案を定義しているのは日本では私一人といわれています。