2017-01-01から1年間の記事一覧

『江戸古地図物語』(南 和夫・北島 正元著、毎日新聞社、1975年10月発行)

江戸の町作り、町方の生活、江戸っ子の遊びの3パートから構成される。 江戸の町作りは家康の入国当時から始まって、振袖火事、本所・深川の町作り、江戸の膨張=内藤新宿や目黒不動への広がりの話し。町方は奉行の紹介に加えて、与力・同心のお勤めから岡っ…

『江戸はこうして造られた』(鈴木 理生著、ちくま学芸文庫、2000年1月6日発行)

徳川家康が江戸入りする前の、頼朝の江戸入りから、太田道灌、北条支配の時代を、江戸前島という地域に焦点を当てて、軽く説明する。前徳川時代の江戸前島は鎌倉の円覚寺所領だったとのこと。徳川家康が、秀吉の指示で江戸入りしたのは1590年8月。天正18年。…

『マッド・マネー カジノ資本主義の現段階』(スーザン・ストレンジ著、岩波現代文庫、2009年1月発行)

20世紀の後半から金融が国際化し、国境を越えて一つの国家では管理しきれなくなってきた。こうした国際金融活動は経済的なものであると同時に政治的な対処が必要となる。本書は、1984・85年頃に書かれた『カジノ資本主義』の続編とも言える本である。『カジ…

『アメリカ 暴力の世紀』(ジョン・W.ダワー著、岩波書店、2017年11月発行)

第2次世界大戦後のアメリカの戦争、他国への介入、暴力の仕様についての書である。アメリカの巨大な軍事力による世界支配は、狙いとは逆の混沌を作り出してしまっている、というのが著者の一貫した主張のようだ。実際のところ、それは第三者的な傍観者でも直…

『次の震災について本当のことを話してみよう』(福和 伸夫、時事通信社、2017年11月発行)

本書は防災の観点から地震対策を中心に書いている。多くの人に、地震の可能性を指摘し、防災の準備をしてもらおうという趣旨の本である。なので、あまり技術的なことは書いてない。著者が建築設計家であることから、建築物の倒壊や揺れに関する話が多い。身…

『富士山大爆発のすべて』(島村 英紀著、花伝社、2016年発行)

2007年に導入された噴火警戒レベルは、良くても経験と勘に頼ったもの、経験がなければ感だけに頼ったもの。p.26気象庁以外は、噴火の予知情報を出すことは禁止された。2007年の気象業務法。2007年で第一線の研究者を後に下がらせた。p.30富士山には気象庁の…

『日本の地下で何が起きているのか』(鎌田 浩毅著、岩波科学ライブラリー、2017年発行)

2011年3月11日発生した東日本大震災によって日本の地下に大きなひずみができ、日本の地盤は「大地変動の時代」に入ってしまい、これから数十年に渡って、地震や火山活動が続く。熊本地震は布田川断層帯と日奈久断層帯の横ずれ断層で生まれた。これは豊肥火山…

『チャーチル・ファクター たった一人で歴史と世界を変える力』(ボリス・ジョンソン著、プレジデント社、2016年4月発行)

完全なチャーチル賛歌である。途中まで読んで嫌になって放棄する。本を読むのを途中で放棄するのはめずらしいことだが、どうにもつまらない。

『ロンドン』(小池 滋著、中公新書、1978年発行)

19世紀のロンドンを、ディケンズを中心とする作家の筆によって探訪する。なかなか趣があって面白い。 コベットがロンドンを大きなできものという。都市は、地方の農村から流れてきた人達の集まり。 ディケンズ一家は父親がお金のやりくりに失敗してロンドン…

『江戸の海外情報ネットワーク』(岩下 哲典著、吉川弘文館、2014年第2刷発行)

江戸時代鎖国にかかわらず、日本人の一部には海外情報を収集する人がいた。その窓口としては、長崎、松前藩、薩摩藩・琉球王国、幕府は朝鮮とは国交があった。中でも長崎は中核で、オランダ、中国との貿易が行われていた大きな窓口であった。ペリーの来航は…

『中欧の崩壊』(加藤 雅彦著、中公新書、1983年発行)

ウイーンとベルリンという二つの都市を中心として取り上げて、近代の中欧の歴史を語る。ハプスブルグ家の支配する神聖ローマ帝国−オーストリアの中心都市であったウィーン、プロイセン王国−統一ドイツ−ワイマール共和国−ナチスドイツのベルリンの19世紀〜20…

『新版 地球進化論』(松井 孝典著、岩波現代文庫、2008年10月刊)

神田古本祭りで新しい本なのに100円で購入。読んでみて! 最近読んだ本の中では一番面白かった。地球がどのように進化したか科学としての研究に基づいて解説されている。宇宙ロケットにより、ここ数十年で、月や太陽系を観測できるようになった。そのことによ…

『第三帝国の興亡 5』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

いよいよラスト ナチドイツの滅亡の巻である。新秩序の章は、ユダヤ人の虐殺を中心とするナチの暴虐の限りの話で、あまりにもおぞましく、読むに堪えない。一人ではなく、集団でこのような行為がなされるということが恐ろしい。集団がリーダー次第でどうにで…

『第三帝国の興亡 4』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

1940年5月10日ベルギー、オランダ侵攻。六週間戦争で終わる。 フランス侵攻。用意周到さ、機動戦であっというまにフランスを制圧する。6月14日パリ占領。6月21日コンピューニの森で休戦協定に調印。思うにこのあたりまでが、ヒトラーの大成功の頂点である。…

『国語辞典のゆくえ』(飯間 浩明著、NHK出版、2017年7月)

NHKラジオのカルチャー講座テキストです。明治に入って英語の辞書をモデルに発展し始めた国語辞典の歴史が面白い。辞書を1つ作るのは10年、20年かかる一生の仕事になり、それは家業となる場合もある。情念と執念の仕事であった。日本語辞書は、戦後長らく紙…

『中央銀行が終わる日』(岩村 充著、新潮選書、2016年3月)

難しい本である。まず、ビットコインの説明については、技術的な話が多いのだが、マイナーがビットコインを取得する方法は良いとして、ビットコインをマイナー以外の人が取得する方法が書いていないので、あまりよく分からない。※他の本も読み、2回目に読ん…

『第三帝国の興亡 3』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

チェコの解体のあとは、ポーランドである。第一次世界大戦の敗北の結果として、ドイツは東プロイセンが分割され、ダンチヒがポーランドの都市とされていた。1938年10月ヒトラーの要求は、ダンチヒの回復とドイツから東プロイセンへの自動車道路と鉄道の建設…

『第三帝国の興亡 2』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

第2巻の中心は、戦争への道1934年から1938年である。1936年ラインランド占領はフランスの影に怯えながら、ライン川を渡り、非武装地帯を占領する。1938年オーストリア併合は1937年に準備を開始した。ヒトラーは1937年には戦争に乗り出す決意を固める。1938年…

『第三帝国の興亡 1』(ウイリアム・シャイラー著、東京創元社、1961年刊)

第三帝国はナチスの時代である。全5巻の大著である。本書・第1巻は、ヒトラーのナチが台頭し、ヒンデンブルグの後を次いで首相兼総統として権力を固めるまでを描く。著者の強みは、同時代・場所で取材を重ねた経験と、同時に戦後の押収された資料を閲覧でき…

『歴史の逆襲』(ジェニファー・ウエルシュ著、朝日新聞出版、2017年5月)

本書はもちろんアメリカの政治学者フランシス福山『歴史の終わり』に対するアンチテーゼである。『歴史の終わり』は東西冷戦の終結により、共産主義に対して自由民主主義が勝利したことは人類の歴史が自由民主体制へむかって収束しつつあること、それ以外の…

『シャーロック・ホームズの紫烟』(長沼 弘毅著、文藝春秋、1966年発行)

シャーロッキアンが書いた本を読むのは初めてだが、なかなか洒脱な趣があって良い。大学、コカイン、たばこ、タイヤ、引退後の4章からなる。たばこの章が一番長いが、たばことパイプを扱う。よく調べたものだ。読まねばならない本、ということではないが、読…

『道元[曹洞宗]』(百瀬 明治著、淡交社、2015年12月発行)

道元についてはあまり知らなかったが、本書を読んで概略は分かった。法然や親鸞の念仏が他力本願なのに対して、禅が自力で修行する、ということは初めて知った。この違いは大きい。どっちを志向するかは、人それぞれだろうけれども。それにしても、道元は、…

『フランス史10講』(柴田 三千雄著、岩波新書、2006年5月19日発行)

『ドイツ史10講』、『イギリス史10講』と並ぶ10講シリーズの一つ。フランスという国はなかなか階級間闘争の激しい国だ。三冊のシリーズを通読すると、それぞれのお国柄が比較できて楽しい。近代の政変についてみると、イギリスが、うまく民主主義まで立ち至…

『人工知能の核心』(羽生 善治・NHKスペシャル取材班著、NHK出版新書、2017年3月)

AI

人工知能の開発最前線に関する本としてはできが良い。人工知能について良く思考されたポイントが指摘されており参考になる。アルファ碁が強くなった理由はアルファ碁同士でとてつもない数の対局をこなし、何十万局のデータを短時間で積み重ねたこと。特に誤…

『イギリス史10講』(近藤 和彦著、岩波新書、2013年12月発行)

後書きを見て仰天、最初の企画会議が1997年7月とのこと。出版まで16年かかっているのだ。ローマ以前の時代から現代に近いところまでを簡潔にまとめた力の入った本という印象である。『ドイツ史10講』とともに読む価値のある本といえる。特に、ビクトリア女王…

『ドイツ史10講』(坂井 滎八郎著、岩波新書、2003年2月発行)

簡潔で、大変分かりやすいドイツ史である。ゲルマン時代〜ワイマ−ル共和政を経て、ヒトラーのナチ時代、さらに統一ドイツまで。特にビスマルク時代、ビスマルクが退陣してからドイツ包囲網が結成さて、第一次大戦にいたるまで。第一次大戦の終結から、ワイマ…

『日本はなぜ開戦に踏み切ったか 両論併記と非決定』(森山 優、新潮選書、2012年6月)

昭和16年12月8日の対米英蘭戦争の開戦にいたる意思決定過程を分析した本である。戦前の大日本帝国憲法が、リーダーとなるべき存在を明確に定めない欠陥憲法であったこと。その穴を埋めるべく、大本営政府連絡会議・懇談会なる会議が運営されたが、その会議の…

『キャパ その死』(リチャード・ウィーラン著・沢木耕太郎訳、文藝春秋、1988年12月)

キャパがスペイン内戦で有名になってからの後半生を辿った伝記。1939年にアメリカに渡り、1954年5月インドシナにおいて40歳で地雷を踏んで死ぬまでの15年間のことである。キャパといえば、Dディの写真が一番最初に頭に浮かぶが、あまりにも戦場の前線で動き…

『ハプスブルグ帝国、最後の皇太子』(エーリッヒ・ファイグル著・北村 佳子訳、朝日新聞出版、2016年4月)

オーストリアは、第一次大戦を引き起こしたフランツ・ヨーゼフ皇帝の名前位しか知らなかった。フェルディナント大公が暗殺された後、甥のカール一世が即位していたのだ。本書はそのカール一世の息子達の物語である。カール一世は、1918年11月12日ハプスブル…

『HTML5&CSS3標準デザイン講座』(草野 あけみ著、翔泳社、2015年11月発行)

Web

CSSによるデザインの教科書であるが、いままで読んだ中では一番良い。基本的なことは少なく、中級レベルの実用的な解説が中心になっている。JavaScriptのことはほとんど出てこないで、HTML+CSSというクラシックなWebの作り方であるが、CSS3の説明も適度にあ…