地球科学

『天変地異の地球学』(藤岡 換太郎著、講談社ブルーバックス、2022年8月20日発行)

天変地異が周期的に一緒にやってくるという主題について、短い周期のものから長い周期のものまでを概観する。 台風、エルニーニョ、ラニャーニャ、竜巻、豪雨、干ばつなど気象災害、火山、地震など固体としての地球によるもの、パンデミックのような生物に起…

『地球の中身 何があるのか、何が起きているのか』(廣瀬 敬著、講談社ブルーバックス、2022年1月20日発行)

地震波には横波と縦波があり、初期微動は縦波、主要動は横波。横波は液体中を伝わらない。マントルは横波を伝える。マグマは深いところから上がってくる。 地球の半径は6370km、地殻(厚さ6~30km)、地殻の下がマントル(地表から2890kmまで)、コア(外核…

『北極がなくなる日』(ピーター・ワダムズ著、原書房、2017年11月27日発行)

「北極がなくなる」というタイトルは正しくなく、北極の氷がなくなる日が正しいだろう。 1950年代と1960年代に南極とグリーンランドの氷床コアの採掘がはじまって、解析技術が進歩した。ここ40万年ほど気温と二酸化炭素・メタンガスの濃度を推定すると、氷期…

『大陸と海洋の起源』(アルフレッド・ウェゲナー著、講談社ブルーバックス、2020年4月20日発行)

ウェゲナーの大陸移動説最終版(1929年)の翻訳である。ウェゲナーは大陸移動説を1910年頃に着想、1912年1月6日の地質学会の席で初めて発表した。1915年本書初版を発行、1929年に第4版を発行した。 当時は地球収縮説、海洋底永久不変説(米国の地質学者間で…

『地球46億年気候大変動』(横山 祐典著、講談社ブルーバックス、2018年10月20日発行)

二酸化炭素の濃度が地球全体の気温の変動に与える影響について。 地球の大気組成・地上付近:窒素78.1%、酸素20.9%、アルゴン0.93%、二酸化炭素0.035%。二酸化炭素は強い温室効果をもつ。 グリーンランド氷床6m、南極氷床70m海面を上昇させる淡水を蓄えてい…

『富士山噴火と南海トラフ』(鎌田 浩毅著、講談社ブルーバックス、2019年5月20日発行)

2004年富士山防災マップが公表された。この分かりやすい紹介として『富士山噴火 ハザードマップで読み解く「Xデー」』が発行された。 その後、2011年3月11日の東日本大震災で富士山をめぐる状況は一変した。本書は上記の本の全面改訂版である。 富士山は、ユ…

『見えない絶景 深海底巨大地形』(藤岡 換太郎著、講談社ブルーバックス、2020年5月20日発行)

世界の海を仮想潜水艇で順番に潜航航海するという趣向は面白い。しかし、やはり海底の話はちょっと地味である。プレートテクトニクスの話はある程度知っているので再び感がある。冥王代という、46億年前に地球が生まれてから40億年前までの話は、個人的には…

『地球温暖化で雪は減るのか増えるのか問題』(川瀬 宏明著、ベレ出版、2019年12月25日発行)

本書の半分くらいは地球温暖化と関係なく、日本列島各地での雪の話である。そういう意味では、若干、タイトルに偽りありだ。 気になる地球温暖化の話は、後ろの方3分の1位であるが、気象庁のWebにあるデータを参考にしてほしいというような記述が目立つ。 …

『日本列島の下では何が起きているのか』(中島 淳一著、講談社ブルーバックス、2018年10月発行)

主にプレートの沈み込みを中心に日本列島の下で起きていることをまとめた力作。地震波の測定データから地震波トモグラフィーによって地下の断面図が得られるようになっており、そのデータを使いながら地下構造を推定していく。但し、地震波トモグラフィーの…

『フォッサマグナ』(藤岡換太觔著、講談社ブルーバックス、2018年8月発行)

いままで、中央構造線とフォッサマグナの違いをあまり理解していなかったが、本書でやっと理解した。フォッサマグナとは、東日本と西日本の間の大地溝帯なのだった。本書はこの大地溝帯がどのように形成されたか。そして長いこと形を保っている理由を名探偵…

『南海トラフ地震』(山岡 耕春著、岩波新書、2016年1月発行)

南海トラフ地震は、フィリピン海プレートが沈み込んでいる南海トラフで起きる地震である。地理上の場所は、駿河湾から四国沖らしい。別の首都直下地震と比べると、一つの原因で分類しているだけに概念的に分かりやすい。(首都直下地震は首都で起きるさまざ…

『首都直下地震』(平田 直著、岩波新書、2016年2月発行)

東京をはじめとする首都圏には人口が集中しすぎている。そこにもってきて日本の場合は首都圏で大きな地震が発生する確率がかなり大きい。こうした面から日本の震災に対する脆弱性は、他の国と比べてかなり高い結果になるのは明らかである。第二次大戦後もう8…

『地球の履歴書』(大河内 直彦著、新潮選書、2015年9月発行)

地球科学読み物である。面白かったことをいくつか挙げる。南極の氷の下に湖があるということ。言われてみれば、圧力が掛かったところで地熱により氷が溶けている可能性はありそうだが。これは本の1ページにも満たない(p.117)。大陸移動説はウェゲナーが提…

『気候変動で読む地球史 限界地帯の自然と植生から』(水野 一晴著、NHK出版、2016年8月25日発行)

アフリカの砂漠、高山における氷河のカール、などの限界地帯での自然と植生と気候変動に関する本である。第一章が1億年前の化石林と大陸移動、第二章が1万年前の気候変動、第三章1000年の気候変動、第四章100年の気候変動、第五章10年の気候変動、第六章1日…

『地球の教科書』(井田 喜明著、岩波書店、2014年発行)

太陽系の成立から始まって地球内部構造、プレートテクト二クス、地震、大気の流れまで全般を網羅する、まさに教科書である。太陽系は46億年前に誕生したという。また地球の内部構造については、他の書にないことも書かれている。プレートテクトニクスと地震…

『次の震災について本当のことを話してみよう』(福和 伸夫、時事通信社、2017年11月発行)

本書は防災の観点から地震対策を中心に書いている。多くの人に、地震の可能性を指摘し、防災の準備をしてもらおうという趣旨の本である。なので、あまり技術的なことは書いてない。著者が建築設計家であることから、建築物の倒壊や揺れに関する話が多い。身…

『富士山大爆発のすべて』(島村 英紀著、花伝社、2016年発行)

2007年に導入された噴火警戒レベルは、良くても経験と勘に頼ったもの、経験がなければ感だけに頼ったもの。p.26気象庁以外は、噴火の予知情報を出すことは禁止された。2007年の気象業務法。2007年で第一線の研究者を後に下がらせた。p.30富士山には気象庁の…

『日本の地下で何が起きているのか』(鎌田 浩毅著、岩波科学ライブラリー、2017年発行)

2011年3月11日発生した東日本大震災によって日本の地下に大きなひずみができ、日本の地盤は「大地変動の時代」に入ってしまい、これから数十年に渡って、地震や火山活動が続く。熊本地震は布田川断層帯と日奈久断層帯の横ずれ断層で生まれた。これは豊肥火山…

『新版 地球進化論』(松井 孝典著、岩波現代文庫、2008年10月刊)

神田古本祭りで新しい本なのに100円で購入。読んでみて! 最近読んだ本の中では一番面白かった。地球がどのように進化したか科学としての研究に基づいて解説されている。宇宙ロケットにより、ここ数十年で、月や太陽系を観測できるようになった。そのことによ…

これからも大地震が起きる可能性が大きい。地震のMの理論的最大値ってどのくらいなんだろ?

○東日本沖で起きた巨大地震について 静岡大学防災総合センター教授 小山真人http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/EastJM9.html