2025-01-01から1年間の記事一覧

『日本の経済政策 「失われた30年をいかに克服するか」(小林 慶一郎著、中公新書、2024年1月25日発行)』

日本がなぜ長期停滞に陥ったかということをマクロ経済学的に説明しようしている。結局は、日本の金融・経済政策にかなりの誤りがあったということになるだろう。言っていることはもっともに見える。 しかし、マクロ経済学の分析は、現実データよりモデル重視…

『第三帝国の愛人 ヒトラーと対峙したアメリカ大使一家』(エリック・ラーソン著、中公文庫、2024年9月25日発行)

ナチが台頭する時期。米国大統領ローズベルトの指名により米国のベルリン駐在大使となったトッド一家。 トッドがドイツについたのは1933年7月13日、1937年12月29日ドイツを出発した。 1934年6月30日ヒトラーの突撃隊レーム粛清。本書の物語の中心は最初の1年…

『ニッポンの移民―増え続ける外国人とどう向き合うか』(是川 夕著、ちくま新書、2025年10月10日発行)

排外主義が広がっている中で、日本にとって外国からの移民の重要性を訴えている。 国際移住は、経済成長すると増えるというのは分かる。上昇志向の強い、優秀な人たちが海外で活路を求めて移民を選択する。 日本は、国際的にみてリベラルで開放的な労働移民…

『経済危機の100年』(田中琢二著、東洋経済新報社、2024年6月11日発行)

大恐慌からパンディックまでの経済危機へのIMFの対応を中心に整理している。 2022年になって、2021年春以降のインフレ率上昇が一時的であると見誤ったという見方が増えてきた。この誤りの原因としては、過去のグレートモデレーションの記憶が大きかったので…

『福音派 ―終末論に引き裂かれるアメリカ社会』(加藤 喜之著、中公新書、2025年9月25日発行)

原理主義は復員派の起源。1920年代。進化論は神の介入を否定する。高等批評は聖書の成立過程を批判的に分析する分析学的研究。高等批評を踏まえると聖書を神の言葉と見なせなくなる。原理主義者とは神学におけるモダニズムを否定する保守的プロテスタントを…

『日本経済の死角―収奪的システムを解き明かす』(河野龍太郎著、ちくま新書、2025年2月10日発行)

日本の時間あたり生産性は25年で30%以上、上がっている。全体としての所得も増えているが家計に分配されてこなかった。所得全体では人口減少は十分補っている。 大企業では毎年2%程度の定期昇給があるので、属人ベースでは実質賃金は25年で1.7倍くらいには…

『JATSがわかる 学術情報XML作成の実際』(学術情報XML推進協議会[編]、印刷学会出版部、2025年2月28日発行)

JATSの概要と多様な作成方法を解説した本。XMLのいろいろな作成方法が紹介されていて、なかなか面白い。 しかし、昔から有名だったeXtylesが販売終了になったのは少々驚き。XML関係の会社はなかなか成長できないから創業者がいなくなったら売却されて手じま…

『ローマ帝国とアフリカ カルタゴ滅亡からイスラーム台頭までの800年史』(大清水 裕著、岩波新書、2025年8月25日発行)

ローマ帝国というと古代からカエサルからアントニウス、オクタビアヌス頃まで(やはり古代?)の共和制の時代しか知識がなく、ましてやアフリカという観点で考えたことがなかったが、本書を読むと、ローマ帝国は地中海をぐるっと抑えた帝国だったということ…

『ドキュメント ヴェトナム戦争全史』(小倉 貞男著、岩波現代文庫、2005年4月15日発行)

日本軍が戦争に敗れて、ハノイでヴェトミンがクーデターを起こすところから書き出される。ヴェトナム戦争が始まったいきさつから、サイゴンの陥落までのベトナム戦争について記録である。著者は1966年にサイゴンに入り、本書は1992年に発行されたものなので…

『本の索引の作り方』(藤田 節子著、地人書館、2019年10月28日発行)

索引の作り方について良く調べてまとめている良書。

『索引 作成の理論と実際』(G.ノーマン・ナイト編、日外アソシエーツ、1981年4月25日発行)

イギリス索引家協会が行った訓練コースの講演記録。 3.アルファベット順排列 の項がなかなか面白い。アルファベットの配列は難しいものではないと考えていたが、かなり複雑な問題があるようだ。 『アルファベット順排列』(イギリス基準1749)があるとのこ…

『20世紀アメリカの夢 世紀転換期から1970年代』(中野 耕太郎著、岩波新書、2019年10月18日発行)

シリーズ アメリカ合衆国史の第3巻である。第4巻の『グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀』(古矢 旬著、岩波新書、2020年8月20日発行)が面白かったので買ったのだが、残念ながら本書は面白くなかった。読むのがつらい位だったが、なぜなのかはち…

『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』(ジョセフ・E・スティグリッツ著、徳間書店、2002年5月31日発行)

ワシントンでは経済政策が、権力者の利害、信念、イデオロギーによって決定される場面が多い。 IMFの政策は市場がおのずと効率的な結果を生む、という仮定を根拠にしている。 1999年WTOシアトル大会での抗議行動以来、抗議運動が激化している。 グローバリゼ…

『グローバル時代のアメリカ 冷戦時代から21世紀』(古矢 旬著、岩波新書、2020年8月20日発行)

1970年代から2020年までをカバーする。戦後1970年代まで政府支出のGDP比が増え続けた。大きな政府を誰が支えるかという問題が続いている。 1970年代スタグフレーション。欧州と日本の追い上げで米国製造業の国際競争力は低下。1971年貿易収支が赤字に転化し…

『迷走するボーイング 魂を奪われた技術屋集団』(ピーター・ロビソン著、並木書房、2024年11月15日発行)

ボーイング737:1万機製造された名機 737MAX8燃費向上大型エンジン 2018年10月29日ライオンエア(アジア発の737MAX導入航空会社)610便AOAセンサーの確度が21度ずれていた。離陸後13分で墜落。 MCASが昇降舵の制御を開始したため。 2019年3月10日エチオピア…

『世界大恐慌 1929年に何が起こったか』(秋元 英一著、講談社学術文庫、2009年2月10日発行)

1920年代大衆資本主義。T型フォード。自動車販売台数は1929年にピーク。電化製品の普及。株式ブーム。マイホームは年収の3倍。分割払い・販売金融会社。債務が増えた。1928年から金融引き締め。住宅建築が勢いを失い、建築産業の被雇用者数は1927年160万人で…

『アメリカ 危機の省察』(本田浩邦著、大月書店、2025年4月20日発行)

MAGAファシズム=権威主義的ナショナリズムと呼ぶ。行政権限を最大限に拡張し、それを土台にアメリカの社会体制、国際機関のリベラルな諸要素を根こそぎにする思想と運動。啓蒙的リベラリズムへの総攻撃。 2024年7月1日連邦最高裁が大統領の「公的行為」につ…

『索引~の歴史 書物史を変えた大発明』(デニス・ダンカン著、光文社、2023年8月30日発行)

エジプト・アレクサンドリア図書館での索引、巻子本の索引などの話から始まり、グーグル検索まで幅広く索引について物語る。実用的な本ではない。

『大恐慌のアメリカ』(林 敏彦著、岩波新書、1988年9月20日発行)

『大恐慌のアメリカ』(林 敏彦著、岩波新書、1988年9月20日発行)フーヴァー大統領とルーズベルト大統領の政策描写と、経済学者の分析が面白い。著者は筆力があり、読ませる。大恐慌の経過やまとめを含めて、入門者にも分かりやすく書かれていて良い本とい…

『株式投資 第6版』(ジェレミー・シーゲル他著、株式会社日経BP、2025年3月10日発行)

面白いデータ満載 19世紀から20世紀初頭金本位制の時代には、通貨供給量が制限されていたので物価水準は安定していた。管理通貨性になって物価の安定は中央銀行に依存するようになった。金本位制では経済危機に硬直的。(p.29) 1960年代ランダムウォーク理…

『バブルリゾートの現在地 区分所有という迷宮』(吉川 祐介著、角川新書、2025年3月10日発行)

発行日に読み終えた。いろいろ調査・取材して書いている苦労は分かる。しかし失敗事例ばかりなので明るい気持ちになれない。金儲け優先の売り手と楽に運用したい投資家の組み合わせは最悪ということ。

『滅びの遺伝子 山一証券興亡百年史』(鈴木 隆著、文藝春秋社、2005年6月10日発行)

山一証券の起源は甲府柳町の商家出身の小池国三が明治30年兜町で興した小池国三商店。国三は甲州財閥若尾逸平の秘書からスタート。当時の成長産業は電力、鉄道。甲州人が顧客となる。明治40年小池合資。明治42年国三は三か月の米国視察に。日本のモルガンを…

『大暴落の夜に長期投資家が考えていること』(ろくすけ著、星海社新書、2025年1月27日発行)

1999年から2006年頃まで積み立て投資を行う。2006年頃の不動産市況にバブルを感じて現金化(センス良い!) 2008年頃から個別株投資を開始。成功のポイント: ・株価急落、暴落の場面では「狼狽売り」などの衝動的な行動は絶対に慎むこと。 ・自分なりに見積…

『トランプのアメリカに住む』(吉見 俊哉著、岩波新書、2018年9月20日発行)

第一期トランプ政権時代にアメリカに住んだ時の話が多い。今になってはちょっと古いが、昔の騒ぎを思い出した。 ポスト真実化という切り口は面白い。 ロシア疑惑、ロシアの諜報工作と2016年大統領選。 フェイクニュース。マケドニア中部のヴェレスの若者によ…

『リーマンの牢獄』(斎藤 栄功著、講談社、2024年5月16日発行)

山一証券自主廃業、破綻の原因となった営業特金契約営業、三塚博関連口座の運用の話から始まる。 新井将敬衆院議員の秘書募集、都民信組での金融商品の運用、メリルリンチ転職(3年半在職)を経て、診療報酬債権の流動化スキームのアイデアを得る。2002年三…

『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす』(飯田 洋介著、NHKブックス、2021年1月25日発行)

ビスマルクは、1862年ナポレオン戦争後の国際秩序「ウィーン体制」でドイツ連邦=国際的君主同盟のプロイセン首相兼外相となる。 1852年12月皇帝ナポレオン三世となる。クリミア戦争の講和を巡りパリ講和会議の主導権、アロー戦争で清朝中国に進出、1858年日…

『大収縮 1929-1933 米国金融史第7章』(ミルトン・フリードマン他著、日経BP社、2009年9月29日発行)

金為替本位制:1929年の時点。欧米諸国の大半は通貨準備を金そのものではなく、米ドルや英ポンドなど、固定された相場で金と兌換できる他の通貨として保有した。 固定相場制だと異なる国々の物価や所得が密接に関連する。このため1929年以降世界規模で所得と…

『Y=男の悲劇』(黒岩 麻里著、朝日新聞出版、2024年5月30日発行)

Y染色体に男性の性決定遺伝子が存在する。胎児のときに性決定遺伝子のスイッチが入り男性化が始まる。ホルモンも重要。 DNAはヌクレオチド分子が二重らせん構造で数珠つなぎになっている(1953年ワトソンら)。その中に遺伝情報を持つ部分があり、これを遺伝…

『貨幣進化論』(岩村 充著、新潮選書、2010年9月25日発行)

金本位制 イングランド銀行券は請求があれば金貨を払い戻します。このルールが金本位制の本質である。銀行券を金貨に交換することを兌換という。イングランド銀行は金を準備するが、その金をまた貸ししているかもしれない。 1797年ナポリタン戦争時に金兌換…

『基軸通貨 ドルと円のゆくえを問い直す』(土田 陽介著、筑摩書房、2024年11月15日発行)

1971年のニクソンショックでプレトンウッズ体制は名実ともに崩壊した。米ドルは金という実物資産の裏付けを持たなくなった代わりに、米国債を裏付けに発行される通貨になった。 ★(国債本位制)という言葉は適切なんだろうか? 管理通貨制度(国債本位制)(…