2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『試練と挑戦の戦後金融経済史』(鈴木 淑夫著、岩波書店、2016年5月26日発行)

日銀の金融政策について割と歯に衣着せぬ記述が多く、面白い。 1971年8月15日第26回目日本降伏記念日に、ニクソンが金とドルの兌換を停止。12月スミソニアン会議で1ドル360円から308円に切り上げ。73年2~3月先進国は次々に変動相場制に移行し、プレトンウッ…

『ナポレオン戦争 十八世紀の危機から世界大戦へ』(マイク・ラポート著、白水社、2020年7月5日発行)

ナポレオン戦争という書名にも関わらず、ナポレオン自身のことにはあまり触れられていない。ナポレオンが如何に戦ったかもあまりない。 イギリス、フランス、プロイセン王国、オーストリア、ロシアの5大国の対立。神聖ローマ帝国は365のドイツの主要な領邦で…

『地銀と中小企業の運命』(橋本 卓典著、文春新書、2023年3月20日発行)

コロナ支援 2020年3月からの実質無利子無担保融資の実績は40兆円。3年間利払いなし、元本返済最大5年間の据え置き。セロゼロ融資は赤字補填資金であり、国の有事措置として始まった。最終的には公費負担となる。1~2割の返済不能で4~8兆円の公的負担が生…

『海のアルメニア商人―アジア離散交易の歴史』(重松 伸司著、集英社新書、2023年4月22日発行)

アルメニア商人の歴史を辿った異色の書。 アルメニアはギリシャ・ローマ時代から登場する。紀元前400~300年に自治・独立し、紀元前80年頃に最大版図を得る。その後は大国のはざまで分断。 近世で独立国になったのは1991年。カスピ海と黒海の間の山岳地帯に…

『コンテナから読む世界経済』(松田 琢磨著、KADOKAWA、2023年3月29日発行)

大豆輸送でみるとばら積み船では出発港と到着港にサイロ設備があって船積する。コンテナ輸送では、バンニング施設でコンテナ詰めする。輸送運賃はばら積み船がコンテナの数分の1。しかし、ばら積みでは数千トン~数万トン単位の量を必要とし、さまざまな生産…

『日の丸コンテナ会社 ONEはなぜ成功したのか?』(幡野武彦・松田琢磨著、日経BP、2023年2月13日発行)

2017年7月川崎汽船、商船三井、日本郵船の3社がONEを設立。共同持ち株会社は、郵船38%、川崎汽船31%、商船三井31%の割合で出資、その100%出資の事業運営会社がOcean Network Express Pte. Ltd(シンガポール本社)。 約200隻のコンテナ船を運航、170万本…

『ベネズエラ ―溶解する民主主義、破綻する経済』(坂口 安紀著、中公選書、2021年1月10日発行)

ベネズエラは、世界最大の石油の確認埋蔵量を誇る。1990年代までは比較的治安が良く、石油大国であった。2大政党制のもとで安定した民主体制が30年以上継続していた。 1998年12月大統領選でウーゴ・チャベスが当選、1999年に大統領となる。新憲法を制定。国…

『政府債務』(森田 長太郎著、東洋経済新報社、2022年12月8日発行)

政府債務について真正面から取り組んで考察した書。 2000年から20年ほどは日本が近未来において破綻することにリアリティを感じた人が少なくなかった。 IMFや世銀の想定する破綻は対外債務返済能力。従来は小規模国家のみであった。2012年ギリシャの実質デフ…