2016-01-01から1年間の記事一覧

『米欧回覧実記1アメリカ編』(久米 邦武、慶應義塾大学出版会、2008年6月刊)

1871年(明治4年)12月から1873年9月まで1年10ヶ月に渡る世界一周視察旅行の記録である。第一巻は米国である。サンフランシスコに上陸し、しばらく滞在(12月6日〜21日)。カリフォルニア鉄道、ロッキー鉄道と乗り継いで大陸を横断。その間、ソルトレーク、…

『応仁の乱』(呉座 勇一著、中公新書、2016年10月)

応仁の乱の前から応仁の乱の後までをカバーする。興福寺の僧である経覚、尋尊の日記を中心に据えているのが面白い。応仁の乱の前から権力争いがあり、権力者の移り変わりに応じて抗争の組み合わせの様相が変わっていったことが分かる。元々は畠山義就と畠山…

『ドイツ公使の見た明治維新』(M.v.ブラント著、新人物往来社、1987年)

日本の歴史の中で、一番興味深いのは明治維新、第2は太平洋戦争または第二次世界大戦、第3は戦国時代だろう。戦国時代については、織田信長を初め、どちらかといえば歴史小説の世界である。明治維新については、司馬遼太郎の本を面白いが、アーネストサトウ…

『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国ロシア」』(小泉 悠、東京堂出版、2016年10月)

ロシア・プーチンというと、まず、資源・エネルギーという印象があったが、軍事や紛争、クレムリンの権力争い、宗教、宇宙まで踏み込んで解説する意欲的な書である。著者は30代前半であるがロシアの軍事や宇宙戦略を研究する専門家がいると言うことにも少し…

『コピペと捏造 どこまで許されるのか 表現世界の多様性を探る』(時実象一著、樹村房、2016年11月)

本書はコピペ、パクリ、捏造、改竄などの主に著作権関連で豊富な事例が掲載されているのでありがたい。検察の捏造や改竄は、単純な正義感から行われるものかもしれないが、極めて危険なことは確かである。著者が指摘するように、①デジタル編集ができるように…

『習近平はいったい何を考えているのか』(丹羽 宇一郎著、PHP新書、2016年10月)

中国が経済大国になったのは紛れもない事実であり、良かれ悪かれ、今後の世界は中国の状況に大きな影響を受ける。中国から米国への留学生の数が、日本より圧倒的に多い現状では、知らない間に米国が中国に対してより親近感をもつ国になるかもしれない。日本…

『ウィロビー回顧録 知られざる日本占領』(C・A・ウィロビー、番長書房、1973年)

G2とGSの対立の部分は赤裸々な記述があって面白い。G2の責任者ウィロビー将軍は吉田びいきであり、GSのホイットニー将軍と対立していたことは知られていることだが、それにしてもいろいろはっきりと書いていて三文小説より面白い。ホイットニー将軍の部下で…

『世界をつくった6つの革命の物語』(スティーブン・ジョンソン著、大 直子訳、朝日新聞出版、2016年8月)

革命といっても武器を持った戦いではない。ガラス、冷たさ、音、清潔、時間、光という人間の生活にとって基本的な6つの要素に関わる発明の歴史を新しい観点から説明する。着眼点が面白い。発明のためのいろいろな前提条件が揃っていることが必要であり、同…

『問題は英国ではない、EUなのだ』(エマニュエル・トッド、堀茂樹訳、文春新書、2016年9月)

面白い!・グローバリゼーションに行き過ぎ対する国家主義の台頭。ネイションの再建。Brexitは英国のネイション再建の一環。・2030年の世界。米国、ロシアは安定化。欧州、中国は不安定化。ドイツの大量移民受け入れは危険。日本はロシアを相手にせよ。・中…

『「イスラム国」最終戦争』(国枝 昌樹、朝日新聞出版、2016年6月)

2016年2月27日 米ロ主導でシリア政府と反政府軍の間で停戦。但し、ヌスラ戦線、イスラム国のようなテロリストは停戦の対象ではない。2016年4月13日ジュネーブ和平協議の再開の時期あたりまでのこと。イスラム国包囲網が実効をあげてきている、との判断。イス…

『イスラーム国の黒旗のもとに』(サーミー・ムバイヤド、青土社、2016年9月)

シリア人歴史研究家によるイランの内戦の経過とISISイスラーム国の誕生、ISISに参加する外国人、女性達、そして最近のアフリカ、EUなどへのISISの展開について。情報収集と取材による内幕情報はすごい。ISISがいにしえのイスラーム・カリフ制復活を目指して…

『1945年以後 上・下』(タッド・シュルツ、文藝春秋、1991年5月)

上巻を古本屋で見つけて100円で買い、読んでみて面白かった。下巻を読みたいと思ってアマゾンで買った。アマゾンでは無料・郵送料負担のみである。アマゾンで買った古本は、もしかすると20数年前に印刷されたまま一度も読まれなかったものかもしれない。第二…

『デジタル・ジャーナリズムは稼げるか』(ジェフ・ジャービス、東洋経済新報社、2016年6月)

この人が言っていることは、表現はなかなか過激である。しかし、おそらく正しい。「新聞社や雑誌社は、できるだけ早く、印刷媒体の維持が不可能になるのは(また、少なくとも主たる収益源でなくなるのは)いつかを予測すべきだ。「何年何月何日とはっきり日…

『ルポ 電王戦』(松本 博文、NHK出版、2015年1月第2刷)

AI

1990年12月 第一回コンピュータ将棋選手権、将棋会館にて 6ソフト参加 永世名人が優勝読み=探索と局面評価2005年6月 激指 アマチュア竜王戦に特別参加 Bonanza 登場 保木邦仁 全幅探索、機械学習 評価項目 駒の損得、玉の安全度、駒の価値 評価項目をコンピ…

秋葉原のメモ

秋葉原は電気街というのは既に古い。いまの秋葉原は、コミック・アイドル・アニメの世界である。コミックショップ コミック本(紙)を集めて販売している店アニメ(DVDなど)を販売している店メイドカフェ、コスプレ系カフェ:21 お酒を出す店〜恐らく高校生…

『本の透視図』(菅原 孝雄、国書刊行会) 

『本の透視図』(菅原 孝雄、国書刊行会、2012年12月刊)を斜めよみする。全体として、ばらばらでまとまりがない印象があるが、ひとつひとつの文章はそれなりに新鮮である。どんな経歴の方なのだろうと不思議に思ったが、著者の略歴が、後の方に「編集者の極…

『デジタル書物学事始め』(安形麻里、勉誠出版、2010年)

『デジタル書物学事始め』(安形麻里、勉誠出版、2010年)をざっと読む。グーテンベルク聖書についてなかなか興味深い研究など。文章は読み易く、良く書けている。分析書誌学とは、紙の本についての「モノ」の観点からの考古学的研究とのこと。