日本史

『徳川家康の決断 桶狭間から関ケ原、大坂の陣まで10の選択』(本多 隆成著、中公新書、2022年10月25日発行)

日本史研究はもう進展の余地が少ないのかと考えていたが、本書を読むとそうでもないようだ。例えば桶狭間の合戦。信長は2000人の動員で、今川の2万5千人とも言われる大軍との戦い。従来は迂回奇襲説が信じられてきたが、しかし正面攻撃説が受け入れられるよ…

『韓国併合 大韓帝国の成立から崩壊まで』(森 万佑子著、中公新書、2022年8月25日発行)

朝鮮王朝 1392年李成桂が建国、1897年に大韓帝国になる。明が政治制度のモデル。 最後の第26代高宗は11歳で即位。大院君(高宗の父)が取り仕切る。1868年以降の日本の明治維新政府樹立の書契を受け取り拒否など、排外政策堅持。 高宗新政は1873年から、日韓…

『頼朝と義時 武家政権の誕生』(呉座 勇一著、講談社現代新書、2021年11月20日発行)

鎌倉幕府を創立した源頼朝を中心として、源氏、鎌倉幕府の功労者を書き、頼朝の妻正子の一族である北条が鎌倉幕府を支配するに至る経過を書く。両者の概要である。 頼朝が鎌倉幕府成立の功臣を次々に誅殺するのは、まるで漢の高祖そっくり。狡兎死して走狗煮…

『信長の夢「安土城」発掘』(NHKスペシャル 安土城プロジェクト著、NHK出版、2001年7月30日発行)

安土城の発掘でわかる、城に現れた信長の思想という触れ込み。ある程度は真実だろうが、ちょっと想像に過ぎるところもある。 とりあえず、斜め読みで足りそうな本といえる。

『満州と岸信介ー巨魁を生んだ幻の帝国』(太田 尚樹著、KADOKAWA、2015年9月25日発行)

岸信介を主に満州国をキーワードとして描いた書。 満州国は昭和6年(1931)9月18日奉天郊外柳条湖満鉄路線爆破で満州事変が始まる。満州国で建国にあたっては日本の官庁から多くの人材が登用された。第一陣の出発は1932年6月らしい。岸信介は日本で産業開発…

『明智光秀 織田政権の司令塔』(福島 克彦著、中公新書、2020年12月25日発行)

明智光秀の事業について新しく判明した文書などに基づいて丹念に説明している好著。 血なまぐさい戦いのことはあまり具体的に触れていない。むしろ坂本城の構築、京都での代官政務、丹波攻略、丹後・細川藤孝との関係、連歌師、などとの関係など、実務家的な…

『明智光秀 正統を護った武将』(井尻 千男著、海竜社、2010年6月2日発行)

信長をニヒリストとして位置づける。正親町天皇に退位を迫りつつ、新しい幕府を開こうとしない信長のやっていることを見ると、安土に城を築いたのちは都を移して専制独裁統治を企んでいたということになり、これは保守主義者である光秀らにとっては看過でき…

『信長』(秋山 駿著、新潮社、1996年3月25日発行)

この本は小説ではない。信長という人物を解釈しようという解説書か? 人物評論あるいは評伝といったら良いか? 少しばかり変わった本である。 主に、『信長公記』を引いているが、それ以外に日本の書では、徳富蘇峰の『近世日本国民史』「織田信長」、新井白…

『オランダ商館長が見た 江戸の災害』(フレデリック・クレインス著、講談社現代新書、2019年12月20日発行)

江戸時代、オランダとの貿易の為、長崎の出島にオランダ人が駐在していた。そのオランダ商館長は毎年1回交代するとともに、江戸まで来て将軍に拝謁していた。本書は、その商館長の公務日記に記載された日本の災害に関する記録をピックアップして編集したもの…

『現代語版 信長公記』(太田牛一著・中川太古訳、KADOKAWA、2019年9月)

かの有名な信長公記の現代語訳である。大半はすでにいろいろな本で読んで知っていたことだが、いろいろな本に書かれていることがほとんどこの本が原典なのだろうと思う。つまり、本書に書かれていることでいままで知っていたことと違うことがほとんどない。…

『信長公記―戦国覇者の一級資料―』(和田 裕弘著、中公新書、2018年8月発行)

太田牛一(うしかつ)の信長公記から主立ったところをピックアップして解説する。比較的生の文にちかいだけ、生々しさと身近さを感じるところが良い。 信長像の大半は信長公記から得られると言っても良いようだ。戦国時代の信長像が現在になってもなまなまし…

『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』(本郷 和人著、朝日新聞出版、2018年12月発行)

全般的にちょっと細切れな話が一杯出ている。面白い味方が随所に紹介されてはいるが、独語の充実感が足りない。 例としては、秀吉の戦争に対する取り組みが独創的であるという話の中に、鳥取城の兵糧攻めの話が出てくる。これ自体は面白い話であるが、トピッ…

『平成の重大事件 日本はどこで失敗したのか』(猪瀬直樹・田原総一朗著、朝日新聞出版、2018年6月発行)

あと、11ヵ月弱で平成が終り、新しい年号となる。最近、平成を振り返る企画がちょくちょく出てきている。その1つということで、なんとなく過去を振り返ってみようかと言う気持ちになる。振り返ってみれば、会社や仕事が起動に乗り始めたのは昭和の最後の方だ…

『後醍醐天皇』(兵頭 裕己著、岩波新書、2018年4月発行)

南北朝という日本史の特異な一時期を起こした後醍醐天皇の時代について語っている。楠正成とか足利尊氏とか新田義貞とか歴史に名を残す武士のみでなく、僧侶とか地方の南朝に参加した人の名前がいろいろでてくる。立花隆の本によると、歴史の記録に残ってい…

『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国』(原 朗著、NHK出版新書、2014年10月10日発行)

歴史の真実が書いた人によって異なるはずはないと思うが、いままで読んだ本とはかなり異なることが書いてある。どこまでが真実なのか、また今後の研究によって変ってくるかはなかなか分からないが。日清戦争・日露戦争とも第1の目的が朝鮮半島の権益確保ある…

『陰謀の日本中世史』(呉座 勇一著、角川新書、2018年3月10日発行)

日本市場の著名な事件を取り挙げて、その陰謀論を整理批判した書である。ちょっと細かくて面白くない。陰謀論自体がさまざまにあるので、そのさわりをリストするとリストの項目が多くなってしまい、批判のピントが定まりにくく、議論が理解し難くなってしま…

『江戸古地図物語』(南 和夫・北島 正元著、毎日新聞社、1975年10月発行)

江戸の町作り、町方の生活、江戸っ子の遊びの3パートから構成される。 江戸の町作りは家康の入国当時から始まって、振袖火事、本所・深川の町作り、江戸の膨張=内藤新宿や目黒不動への広がりの話し。町方は奉行の紹介に加えて、与力・同心のお勤めから岡っ…

『江戸はこうして造られた』(鈴木 理生著、ちくま学芸文庫、2000年1月6日発行)

徳川家康が江戸入りする前の、頼朝の江戸入りから、太田道灌、北条支配の時代を、江戸前島という地域に焦点を当てて、軽く説明する。前徳川時代の江戸前島は鎌倉の円覚寺所領だったとのこと。徳川家康が、秀吉の指示で江戸入りしたのは1590年8月。天正18年。…

『江戸の海外情報ネットワーク』(岩下 哲典著、吉川弘文館、2014年第2刷発行)

江戸時代鎖国にかかわらず、日本人の一部には海外情報を収集する人がいた。その窓口としては、長崎、松前藩、薩摩藩・琉球王国、幕府は朝鮮とは国交があった。中でも長崎は中核で、オランダ、中国との貿易が行われていた大きな窓口であった。ペリーの来航は…

『戦争の日本中世史』(呉座 勇一著、新潮選書、2017年4月発行第6刷)

蒙古襲来から応仁の乱までの200年間の武士を中心とする戦いの話。鎌倉幕府成立から多少の時間を経て、平和ぼけしていた武士に襲いかかった蒙古襲来の話。悪党論南北朝時代南北朝の終戦後足利義満の治世〜応仁の乱まで。過去の研究を**史観として規定してそ…

『絵草紙屋 江戸の浮世絵ショップ』(鈴木 俊幸著、平凡社、2010年発行)

江戸の終わり頃から明治の初めに掛けての、絵草紙を流通(版元、絵草紙屋)の状況をから見た本である。書籍が人生・社会にとって不変の価値を持つものであり、姿勢を正して紐解くものなのに対して、絵草紙は無駄で自由気ままなもの。行ってみればいまのコミ…

『応仁の乱』(呉座 勇一著、中公新書、2016年10月)

応仁の乱の前から応仁の乱の後までをカバーする。興福寺の僧である経覚、尋尊の日記を中心に据えているのが面白い。応仁の乱の前から権力争いがあり、権力者の移り変わりに応じて抗争の組み合わせの様相が変わっていったことが分かる。元々は畠山義就と畠山…

『ドイツ公使の見た明治維新』(M.v.ブラント著、新人物往来社、1987年)

日本の歴史の中で、一番興味深いのは明治維新、第2は太平洋戦争または第二次世界大戦、第3は戦国時代だろう。戦国時代については、織田信長を初め、どちらかといえば歴史小説の世界である。明治維新については、司馬遼太郎の本を面白いが、アーネストサトウ…

本能寺の変のこと、フロイス

本能寺の変 「明智憲三郎的世界 天下布文!」 http://blog.goo.ne.jp/akechikenzaburotekisekai

「室町幕府論」(早島 大祐著、講談社選書メチエ、2010年12月10日)を読む(メモ)

足利 尊氏・義詮の南北朝時代(1336年〜)。後醍醐天皇との戦いの始末で幕府の財政は苦しい中で、後醍醐天皇の供養のために天龍寺を造営。 足利 義満の時代(1367年〜)。最初は後円融天皇との蜜月。後期は対立。相国寺の創建。義満の力が強くなる。南北朝の…