『信長』(秋山 駿著、新潮社、1996年3月25日発行)

この本は小説ではない。信長という人物を解釈しようという解説書か? 人物評論あるいは評伝といったら良いか? 少しばかり変わった本である。 主に、『信長公記』を引いているが、それ以外に日本の書では、徳富蘇峰の『近世日本国民史』「織田信長」、新井白石『読史余論』など。外国の書ではフロイスの『フロイスの日本覚書』、『プルターク英雄伝』、スタンダール『ナポレオン』などの資料を駆使して信長の人物像を描こうとする。

日本の歴史の中で織田信長ほど面白い人物は他にいないのは同感だ。それを表すのは長公記にみられる桶狭間の戦い前夜の信長の行動の記述だが、本書でもその点を取り上げている。

あとは、信長自身の人物像ではないが、荒木村重の謀反は謎が多い。謀反の動機がさっぱり分からないが、本書の著者も同じ印象を受けているようだ。

明智光秀の反乱の動機も良く分からない。