2018-01-01から1年間の記事一覧

『重力波とはなにか 「時空のさざなみ」が拓く新たな宇宙論』(安東 正樹著、講談社ブルーバックス、2016年9月発行)

重力波についてあまたある書の中ではかなり良い。類書の中ではトップ2,3位と言える。それにしても重力波の本は結構増えているものだ。ちょっと難しげに見えるが、かなり子細な説明があるので、重力波とはなにかも良く理解できそうな気がする。重力波を計測す…

『宇宙の「果て」になにがあるのか』(戸谷 友則著、講談社ブルーバックス、2018年7月)

ちょっとテーマが大きすぎて、現在の技術ではあまりまともな回答ができないのではないだろうか。全体的に抽象的な話が多かった。著者が理論派であることも関係しているのかもしれないが。こんな難しいテーマを、分かりやすく具体的に解説せよという方が無理…

『アンダークラス−新たな下層階級の出現』(橋本健二, ちくま新書, 2018年12月発行)

本書は、『新・日本の階級社会』(講談社現代新書)の続編のようだ。前書では、階級社会の全体像を示したところだが、本書はアンダークラスに焦点をあてて、分析している。アンダークラスとは、パート主婦を除く非正規労働者(但し、管理・専門職を除く)と…

『ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること 「すごい会社」の見つけ方』(苦瓜 達郎著、幻冬舎新書、2017年11月発行)

PER(一株あたりの当期純利益)を見て買う。成長性や減益のリスクを考慮する。 PER 15倍が基準。例外的な高成長企業は50倍(Max)。基準株価を出しておき、基準株価との乖離を見て買う。四半期毎に判断する。基準株価より安いときに買い、上昇したら売る。予…

『幻の黒船カレーを追え』(水野 仁輔著、小学館、2017年8月発行)

黒船によってイギリスから日本にもたらされたブリティッシュカレーを「黒船カレー」と名付けてそのルーツを追い求めた記録。結論はカレーパウダーが伝えられ、それを日本で改良したものであるということのようだ。カレーという点では、いろいろ面白いエピソ…

『日本列島の下では何が起きているのか』(中島 淳一著、講談社ブルーバックス、2018年10月発行)

主にプレートの沈み込みを中心に日本列島の下で起きていることをまとめた力作。地震波の測定データから地震波トモグラフィーによって地下の断面図が得られるようになっており、そのデータを使いながら地下構造を推定していく。但し、地震波トモグラフィーの…

『サルたちの狂宴 下』(アントニオ・ガルシア・マルティネス著、早川書房、2018年6月発行)

下巻は、著者がfacebookに入社してから担当したプロジェクトの話を軸にして、facabookの経営陣の人となり、あるいは組織運営、IPOの話と盛り沢山である。読むにつれて面白いのだが、著者が力をいれて開発しスタートしたFBXの説明などはあまりよく理解できな…

『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』(伊藤 公一朗著、光文社新書、2017年4月)

AI

この本はビジネスマンにとっては重要な本だと思う。何かを変化させた結果として何かが起きたとしても、それが因果関係によっているとは言えない。因果関係を示すには、原因となる要因だけが変化していると言うことを確認(保証)する必要がある。本書は、そ…

『サルたちの狂宴 上』(アントニオ・ガルシア・マルティネス著、早川書房、2018年6月発行)

本書は上下巻に分かれていて、上巻は、著者がニューヨークのゴールドマン・サックスを離れて、シリコンバレーのアドケミー社に移り、さらには、アドケミー社を離れてスタートアップを起こし、スタートアップをM&Aで売却するところまで。この間数年だと思う…

『操られる民主主義 デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』(ジェイミー・バートレット著、草思社、2018年9月発行)

本書は、インターネット・テクノロジーの民主主義への脅威を警告する。具体的な例としては、第3章 ビッグデータと大統領選が一番だ。2016年のアメリカ大統領選の「プロジェクト・アラモ」にはびっくりだ。選挙の投票行動に影響を与えられそうな人を選んで、…

バンコク旅行メモ

1日目空港に付いたのは、大体定刻で5時前。鉄道ルートでホテルに向かう。ホテルに着いたのは7時頃なので、2時間位掛かった。慣れれば1時間以内で着くのだろう。スワンナプーム国際空港〜マッカサン駅:5つめ。35バーツ。 マッカサン駅〜シーロム駅:5つめ。…

『偉大なる宇宙の物語』(ローレンス・クラウス著、青土社、2018年1月発行)

タイトルは宇宙の物語だけど、本文の内容は、光、電磁気からはじまり大半は量子論、素粒子の話である。著者は理論物理学が専門のようだ。物理学は、いろいろな物理学者が登場して、さまざまな理論を提唱し、一方で、実験装置で理論が予測した結果を検証する…

『物語 タイの歴史』(柿崎 一郎著、中央公論社・中公新書、2007年9月25日発行)

あとがきを見ると本書は2007年1月執筆開始とあり、2007年9月発行なので、ものすごく速いペースで書いているようだ。タイの古代〜21世紀初頭までの歴史を外観した書であるが、どちらかというと20世紀からの話が多いかという印象がある。日本でいうと大正・昭…

『フォッサマグナ』(藤岡換太觔著、講談社ブルーバックス、2018年8月発行)

いままで、中央構造線とフォッサマグナの違いをあまり理解していなかったが、本書でやっと理解した。フォッサマグナとは、東日本と西日本の間の大地溝帯なのだった。本書はこの大地溝帯がどのように形成されたか。そして長いこと形を保っている理由を名探偵…

『カエサル 下』(エルドリアン・ゴールズワーシー著、白水社、2012年発行)

ブリテン島遠征。ガリアを平定してから、ルビコン川を渡るようになったきっかけ、そしてポンペイウスとの戦い。ポンペイウスの死とアフリカでの、クレオパトラとの出会い。イタリアにもどり、さらにアフリカにてポンペイウス派残党との戦い。不利な状況であ…

『カエサル 上』(エルドリアン・ゴールズワーシー著、白水社、2012年発行)

古代ローマのユリウス・カエサルの少年時代からガリア戦初期まで(上巻)。紀元前の話とあって、あまり詳細のことはなく、かなり大雑把ではあるが面白い。古代ローマの政治は民主的ではあったのかもしれないが、選挙もかなり乱暴な(例えば、買収や暴力はあ…

『岡田啓介回顧録』(岡田啓介著、中公文庫、1987年発行)

古本屋で見つけて購入したのだが、読み進めるにつれて面白すぎてやめられず、直ちに読み終える。2.26事件で首相官邸で九死一生を得るところが生々しい。松尾義弟が誤認されなければ、官邸捜索で見つかってしまっただろうし、兵隊に見られても上官に報告され…

『ふたつのアメリカ史[南部人からみた真実のアメリカ]』(ジェームス・M・バーダマン著、東京書籍、2003年発行)

アメリカの歴史を、入植者の集団の違い、地域特性の違いなどから南部、北部に分けて説明する。我々は、アメリカという国を一枚岩の連邦政府として理解しがちだが、実は南部と北部は全く違う特性をもっているということを主張している。南部は、第二次大戦ま…

シンガポール〜バンコク マレー鉄道

http://chiekuro.minibird.jp/2016/09/16/%E3%83%9E%E3%83%AC%E3%83%BC%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%AE%E4%BA%88%E7%B4%84%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%A8%E6%96%99%E9%87%91%EF%BD%9C%E3%83%9E%E3%83%AC%E3%83%BC%E9%89%84%E9%81%93%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AC/h…

『ハッブル宇宙望遠鏡が見た宇宙』(野本 晴代、R.ウイリアムズ著、岩波新書、1997年発行)

ハッブル宇宙望遠鏡はNASAの大きな成果の1つといえる。それにしても、打ち上げるまでに掛かった日数(計画遅延)と費用にはびっくり。さらには、レンズの球面収差で画像がぼけてしまい、それを宇宙飛行士のミッションで修理するとは。知らなかったけどすごい…

『イスラーム 書物の歴史』(小杉泰・林佳世子編、名古屋大学出版会、2014年)

書物の歴史というと活版で印刷した本のことを思い浮かべるが、それはアラビアでは歴史的には短いようだ。アラビア文字の世界で印刷が始まったのは、キリスト教の聖書などマイノリティの分野(p.353-358)。ムスリムの支配層による印刷は18世紀、19世紀には官…

『物語 アラビアの歴史』(蔀 勇造、中公新書、2018年7月発行)

アラビア半島地域を中心に、紀元前から現代までの歴史を物語る意欲的な本だ。一読する価値はある。しかし、いろいろ似たような名前が山ほど出てきて区別が付かないので困るし、読むのに結構時間がかかってしまったが。彼らは家系を大変重視しているようだが…

『巨大ブラックホールの謎 宇宙最大の「時空の穴」に迫る』(本間 希樹著、講談社ブルーバックス、2017年4月発行)

巨大ブラックホールは、超大質量ブラックホールのこと。ブラックホールにもいろんな種類があるって、『ブラックホールをのぞいてみたら』で初めて知ったのだが、そう言う意味では超大質量ブラックホールに特化したテーマでこんな本ができるということ自体、…

『ビットコインはチグリス川を漂う マネーテクノロジーの未来史』(ディビット・バーチ著、みずず書房、2018年5月発行)

書名からして、回りクドくて意味が理解しにくいが、本文も興味深い内容なのだが、意味が理解しくにい箇所が多い。文章の表現が回りくどいのは、原文が良くないのかそれとも訳が良くないのかどっちなんだろう?本書の英文書名は、“Before Babylon, Beyond Bit…

『第二次世界大戦アメリカの敗北 米国を操ったソ連スパイ』(渡辺 惣樹著、文春新書、2018年6月)

立花隆の紹介文で本書を見たのだが、発行されたばかりだった。内容的にはなかなか面白い。フランクリン・デラノ・ルーズベルト大統領の時代に第二次世界大戦開戦となり、そしてIMFと国連の設立の準備ができたのだが、この間に、FDLの配下の重要人物がソ連ス…

『ブラックホールをのぞいてみたら』(大須賀 健著、角川書店、2017年7月発行)

ブラックホールに特化した入門編。易しく書いてあってなかなか面白い。それにしても、宇宙論の本は面白いものが多い。書き手が易しく、分かり易く書こうと工夫しているのも良いと思う。ブラックホールの面積は大きいと思っていたのだけれど、小さいというこ…

『この空のかなた』(須藤靖著、亜紀書房、2018年7月発行)

新聞連載の記事をもとにしただけあって、分かりやすくてとても面白かった。宇宙の壮大さ、美しさもさることながらびっくりすることが多い。最近の話では重力波の観測が一番ロマンティックですが、本書の著者も大学院の最初の2年間は重力波の研究を行っていた…

『バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史』(マーク・マゾワー著、中公新書、2017年6月発行)

本書は2000年に発行された本の翻訳である。オスマン帝国時代、19世紀、20世紀の第一次戦争前、第二次世界大戦後=ギリシャ以外は共産圏の時代、最後はソ連崩壊後の話(少し)である。バルカンという地域は理解するのが難しい。オスマン時代はヨーロッパより…

『平成の重大事件 日本はどこで失敗したのか』(猪瀬直樹・田原総一朗著、朝日新聞出版、2018年6月発行)

あと、11ヵ月弱で平成が終り、新しい年号となる。最近、平成を振り返る企画がちょくちょく出てきている。その1つということで、なんとなく過去を振り返ってみようかと言う気持ちになる。振り返ってみれば、会社や仕事が起動に乗り始めたのは昭和の最後の方だ…

『後醍醐天皇』(兵頭 裕己著、岩波新書、2018年4月発行)

南北朝という日本史の特異な一時期を起こした後醍醐天皇の時代について語っている。楠正成とか足利尊氏とか新田義貞とか歴史に名を残す武士のみでなく、僧侶とか地方の南朝に参加した人の名前がいろいろでてくる。立花隆の本によると、歴史の記録に残ってい…