2018-01-01から1年間の記事一覧

『日中戦争全史 下巻』(笠原 十九司著、高文研、2017年7月発行)

上巻に続く、第一次近衛声明から日本の敗戦まで。しかし、昭和の軍人の思い上がりぶりにもがっかりする。第二次世界対戦の歴史書を読むと、これは必ずしも日本だけではなく、ドイツやソ連も同じような状況だったようだが。それにしても人間が集団になるとし…

『書物の敵』(ウィリアム・ブレイズ著、八坂書房、2004年10月発行)

ヴィクトリア朝イギリスの書誌学者ウィリアム・ブレイズの著した洒脱な読み物である。書物を愛する人向け。文章がなかなかに面白いし、脚注や図版も面白い。暇なとき見るには良い。

『日中戦争全史 上巻』(笠原 十九司著、高文研、2017年7月発行)

1915年対華21箇条要求から上海事変、南京攻略までを纏めている。日本軍は上からの統制ができていない。また、現地が中央の方針を聞かずに戦争行為に走っても、これを処罰できずに追認する、ということがずっと続いている。また、報道は事実を伝えずに、都合…

『ニュートリノってナンダ? やさしく知る素粒子・ニュートリノ・重力波』(荒舩 良孝著、誠文堂新光社、2017年12月発行)

素粒子の概要について比較的分かりやすくまとめられている。原子は、原子核と電子からなる。原子核は陽子は中性子とからなる。陽子はアップクオーク2つとダウンクオークからなる。中性子は、ダウンクオーク2つとアップクオークからなる。 ダウンクオーク、…

神田〜川崎まで歩き 約4時間 23km程度

5月5日 神田 2:08発 内幸町2:45 芝園橋3:09 山手通り3:58 大森海岸4:41 環七4:56 蒲田5:24 環八5:27 川崎6:20

『ホーキング、ブラックホールを語る』(スティーヴン・W・ホーキング著、早川書房、2017年6月20日発行)

ブラックホールについてのかなり新しい話を含めた講話。 前半はホーキング以前の話で、ブラックホールがどのようにできるか、誰も信じなかったブラックホールが、1963年のクエーサーの発見によって、重力崩壊が見つかった。(クエーサーからの電波はブラック…

『日本の国難 2020年からの賃金・雇用・企業』(中原 圭介著、講談社現代新書、2018年4月発行)

全体的に真っ暗な将来の話が多くて読むのがつらい位である。日本の国民生活には大きな問題が多すぎる。一番大きな問題は、人口の高齢化と減少ということで、高齢者の介護や援助のために、社会保障費がめちゃくちゃ多くなると言う見通しにある。しかし、これ…

『B.C. 1177 古代グローバル文明の崩壊』(エリック・H・クライン著、筑摩書房、2018年3月)

B.C. 1177(頃)に後期青銅器時代に属するエジプトから、東地中海沿岸、トルコ、ギリシャ、キプロスあたりの古代文明が滅びたという。従来は、海の民に原因が着せられていたが、必ずしもそれだけではなく、さまざまな原因が重なり合っていた。特に、貿易で相…

『マッカーサーの二千日』(袖井 林二郎著、中央公論社、1974年発行)

マッカーサーの日本占領期について、主にマッカーサーという人物を中心に分析した本である。但し、マッカーサーは日本占領中はあまり表に出てこなかったし、回顧録はかなり自分の都合の良いように事実を歪めてかいているようなので、実像がなかなか分かり難…

『重力で宇宙を見る 重力波と重力レンズが明かす、宇宙はじまりの謎』(二間瀬 敏史著、河出書房新社、2017年10月発行)

重力波の本は、三冊目だが、この本はその道の専門家が書いている割には分かりやすい。好著だと思う。ブラックホールや一般相対性理論の説明もいろいろ絵があって良い。例えば、連星パルサーで重力波が発見された話は、既にシリングの本で知っていたが、より…

『重力波 発見! 新しい天文学の扉を開く黄金の力』(高橋 真理子著、新潮選書、2017年9月発行)

重力波に関する本としては、2冊目なんだかあまり面白くない。ホヴァート・シリングの本と比べると雲泥の差だ。なぜ、面白くないか考えてみるに、まず、取材が足りないのではないか? どこかの文書や本を読んでまとめたかのように見えてしまう。新鮮味、ある…

『時空のさざなみ 重力波天文学の夜明け』(ホヴァート・シリング著、化学同人、2017年12月26日発行)

重力波は、2015年9月に初めて直接観測された。電荷を加速すると電磁気が発生する。それと同じように、重力のあるものを加速すると重力波が発生するかもしれない、と考えられた。重力波が存在するかどうかは、一般相対性理論から予測できそうだが計算が難しい…

『南海トラフ地震』(山岡 耕春著、岩波新書、2016年1月発行)

南海トラフ地震は、フィリピン海プレートが沈み込んでいる南海トラフで起きる地震である。地理上の場所は、駿河湾から四国沖らしい。別の首都直下地震と比べると、一つの原因で分類しているだけに概念的に分かりやすい。(首都直下地震は首都で起きるさまざ…

『仮想通貨バブル』(日本経済新聞社、日経プレミアシリーズ、2018年3月)

2017年は仮想通貨バブル。ざっと読んで動向を理解するのには良い。さすがに新聞記者の書いた本で、本書を読めばひとおおり最新の動向がわかるのが良い。仮想通貨は役に立たないという人と、役に立つという人がいる。事実として仮想通貨の残高がかなり大きく…

『ヒッグス粒子の発見 理論的予測と探求の全記録』(イアン・サンプル著、講談社ブルーバックス、2013年2月)

ヒッグス粒子の理論が登場してからヒッグス粒子が発見(?)されるまでの過程を綴った本である。ヒッグス粒子は物質に質量を与える素粒子のようだが、具体的にどんなものかは本書を読んでも分かり難い。1964年にピーターヒッグス(実は同じ頃に別の物理学者…

『核戦争の瀬戸際で』(ウィリアム・J・ペリー著、東京堂出版、2018年1月発行)

核の脅威は冷戦後一時的に減ったようだが、最近はまた高まっているのはなんとなく感じていたが、本書を読むとそのことが具体的に分かりやすく書かれている。特に白眉は、ソ連崩壊後に、ウクライナなどにあった核弾頭やICBMを廃棄処理したプロジェクトの紹介…

『首都直下地震』(平田 直著、岩波新書、2016年2月発行)

東京をはじめとする首都圏には人口が集中しすぎている。そこにもってきて日本の場合は首都圏で大きな地震が発生する確率がかなり大きい。こうした面から日本の震災に対する脆弱性は、他の国と比べてかなり高い結果になるのは明らかである。第二次大戦後もう8…

『重臣たちの昭和史 上』(勝田 龍夫著、文藝春秋、1981年5月発行)

なかなか面白い。元老西園寺が首相を決める役割を担う時代の政変。日本では首相の任期が短いことが多いが、これは戦前の帝国憲法の時代でも同じであった。この時代に軍部・特に陸軍の発言力が大きくなっていく様子が手に取るように描かれている。陸軍の発言…

『言ってはいけない宇宙論 物理学7大タブー』(小谷 太郎著、幻冬舎新書、2018年1月30日)

物理学は20世紀後半から60年くらいで急激に進歩したようだ。新しい発見が相次いでいるが、しかし、例えば宇宙の物質の5%しかわかっていなくて、ダークマターが20%、ダークエネルギーが75%あってそれが何なのかわかっていないらしい。ここで取り上げている…

『生命の起源はどこまでわかったか 深海と宇宙から迫る』(高井 研編、岩波書店、2018年3月)

深海と宇宙という2つの一見関係なさそうな分野で生命誕生の秘密を探る研究が進んでいる。深海については深海熱水活動域が世界の海に多数あり、そこで原始生物が生まれた可能性があるという。宇宙ではNASAの土星探査惑星「カッシーニ」の観測により、土星の惑…

『地球の履歴書』(大河内 直彦著、新潮選書、2015年9月発行)

地球科学読み物である。面白かったことをいくつか挙げる。南極の氷の下に湖があるということ。言われてみれば、圧力が掛かったところで地熱により氷が溶けている可能性はありそうだが。これは本の1ページにも満たない(p.117)。大陸移動説はウェゲナーが提…

『日清・日露戦争をどう見るか 近代日本と朝鮮半島・中国』(原 朗著、NHK出版新書、2014年10月10日発行)

歴史の真実が書いた人によって異なるはずはないと思うが、いままで読んだ本とはかなり異なることが書いてある。どこまでが真実なのか、また今後の研究によって変ってくるかはなかなか分からないが。日清戦争・日露戦争とも第1の目的が朝鮮半島の権益確保ある…

『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(杉田 弘毅著、新潮選書、2017年11月25日発行)

20世紀後半からつい最近まではグローバル時代と認識している。それ以前も移動手段の進展でグローバル化が進んできたのだが、20世紀後半は航空機の発展でグローバルな移動の大衆化が進み、さらには、1990年代後半からの20年はインターネットの発達で、どこに…

『陰謀の日本中世史』(呉座 勇一著、角川新書、2018年3月10日発行)

日本市場の著名な事件を取り挙げて、その陰謀論を整理批判した書である。ちょっと細かくて面白くない。陰謀論自体がさまざまにあるので、そのさわりをリストするとリストの項目が多くなってしまい、批判のピントが定まりにくく、議論が理解し難くなってしま…

『新・日本の階級社会』(橋本 健二著、講談社現代新書、2018年1月発行)

三省堂書店の新書売上げNO.1ということで買ってみたが面白い。というか、日本の社会を社会調査データを使って鋭く分析している。特に、第5章の女たちの階級社会は、実に的確に女性の階級を描いているように感じる。昔のように皆が貧乏な状態から努力して豊か…

『朝鮮戦争の謎と真実』(A・V・トルクノフ著、草思社、2001年11月発行)

1990年代になって公表されるようになったソ連の最高機密文書をもとに朝鮮戦争の経過を分析した本である。朝鮮戦争において、スターリンを始めとするソ連、毛沢東を始めとする中国、金日成を始めとする北朝鮮がどのように連携したかがはっきり分かる。朝鮮戦…

『オリバー・ストーン オン プーチン』(オリバー・ストーン、文藝春秋、2018年1月15日)

プーチンは悪の親玉だとを持っていたが、このインタビューを読むと全く異なる世界が見えてくる。プーチンは、1999年にエリツィンによって第一副首相に任命され、2000年の大統領選挙で大統領になる。インタービューではこの間の経緯が語られているが、これ自…

『After Bitcoinアフター・ビットコイン』(中島 真志著、新潮社、2017年10月発行)

ビットコインを中心とする仮想通貨に関する記述とブロックチェーンについての記述がある。両方とも比較的事実を重視して実証的に書かれているので信頼性が高いように思う。ビットコインは、最初はほとんど遊びでだったが、キプロス危機、その後中国の元問題…

『真贋ものがたり』(三杉 隆敏著、岩波新書、1996年6月発行)

期待していなかったが、内容は面白い。 立ち読みではなかなか真価は分からないものだ。中国製の磁器は、長いこと中国でしか作ることができない貴重な輸出品であって、その偽物はペルシャなどでは国王のプロジェクトで進められて失敗したなど。こうした話は偽…

『オスマン帝国の崩壊』(ユージン・ローガン著、白水社、2017年10月10日発行)

第一次世界大戦を主にオスマン帝国とイギリス軍の戦いを中心にして記述した本である。オスマン帝国との戦いは、ガリポリ戦線、エジプトの戦い、イラクでの戦い、アラブの反乱(地中海沿岸)など中東で激しく繰り広げられたのであるが、それを細かく記述して…