『朝鮮戦争の謎と真実』(A・V・トルクノフ著、草思社、2001年11月発行)

1990年代になって公表されるようになったソ連の最高機密文書をもとに朝鮮戦争の経過を分析した本である。朝鮮戦争において、スターリンを始めとするソ連毛沢東を始めとする中国、金日成を始めとする北朝鮮がどのように連携したかがはっきり分かる。

朝鮮戦争は、金日成と中国の義勇軍が中心になっていたと理解していたのだが、そうではなく、スターリンが主導していたことがはっきり分かる。

朝鮮戦争は、まさに共産圏と資本主義圏の覇権争いの戦争だったのだ。

一番奥にいながら強力な指導力と工業生産力によって武器を提供し、また、死ぬまで休戦協定と結ばせなかったスターリンが一番腹黒いといえる。

金日成は、最初は戦争に勝てると見込んでいきんで南進した分けだが、比較的早い時期に、弱根をはいていたようだ。

朝鮮戦争は、武器と弾薬の消耗戦であり、ソ連の航空機、武器、弾薬がなければ追行できなかったのだが。

1950年6月25日にはじまり、51年7月には休戦会談の予備会談が始まったにもかかわらず、1953年3月にスターリンが死ぬまでソ連朝鮮戦争を継続する意思を示したのだが、これは朝鮮のみではなく、世界全体でアメリカの国力をそごうというスターリンの考えによる。

世界全体の和平機運がその間に高まり、スターリンが死んで比較的直ぐの1953年7月板門店での休戦協定調印にいたる。