『鉄のカーテン 東欧の壊滅1944-56下巻』(アン・アプルボーム著、白水社、2019年3月発行)

下巻は、スターリンによる東欧の支配=スターリニズムが浸透していく過程から、最終章の1953年3月6日のスターリンの死を経て6月17日のベルリンでの暴動、1956年10月のハンガリー動乱まで。

1948年には東欧諸国は選挙プロセスを通じて正当性を獲得する試みを断念。真の反対派を許容することをやめる。教会など宗教団体も国家プロパガンダの普及媒体に変更する工作を始めた。宗教団体への迫害。すべての組織、活動、催しが共産主義運動を普及する手段となる。

共産主義イデオロギーを強制する政治警察・政治体制のもとで、民衆が自分の心中を押し隠して生きていく状況では労働も重たいノルマとなる。労働にしても何にしても、自発的なものにならないとあまり活発化しないで沈滞してしまうことが分かる。

1945年10月から46年6月までの時期に、ドイツのソ連管轄地域から米英管轄地域へ逃げた人は約160万人(p.263)という数字が、自由を抑圧するスターリニズムがいかに嫌われたかを示している。

『鉄のカーテン 東欧の壊滅1944-56 上巻』(アン・アプルボーム著、白水社、2019年3月発行) - anone200909’s diary