『ウオール街のアルゴリズム戦争』(スコット・パターソン著、日経BP社、2015年11月発行)

1990年代から2010年代初頭までの、米国の株式市場が完全に電子化され、急速に変化する過程を取材したドキュメンタリーである。高速トレード(HFT)の勃興による、取引のアルゴリズム戦争化はほとんど信じられないほどである。

 動きの速いボットによるフロントランニングで長期投資家が不利益を被っている。困った長期投資家はダークプール(私設市場)を頼るが、私設市場自体もボットに依存している。

トレーディング・マシンズ社2009年12月の苦境。エキスパートシステムでは利益がでない状態となる。同社の指値注文は不正な注文形式を使うHFTに負けた。創業者ヘイム・ボディックはそのことに気が付かなかった。

ナスダックのSOES(小口注文執行システム)1985年導入:元々は一般投資家のためのもの。1988年自動化SOES起動。SOESを利用すれば、株価が動いたとき、のろまなマーケットメーカーからお金をひったくれる。ディテック社はデイトレーダーの走り。

1990年ジョシュア・レヴィンのウオッチャー完成「デイトレーダー国の誕生」。

1995年11月13日レヴィンのジャンプトレード発表。1996年2月9日アイランド。売買注文の付き合せ。

ATD、ルネッサンスがアイランドを採用、1996年7月~9月アイランドはナスダックの最優良顧客となる。

1990年代NASD(全米証券業協会)との戦い。ナスダックのマーケットメーカーの不正(価格操作)が暴かれる。デイトレーダーの勝利。

1997年1月20日SECのオーダー・ハンドリング・ルール施行。ECN事業体の指定。

1996年12月27日アーキペラゴ(シカゴ)の誕生。ECNになる。電子プールの接続。

1998年のECNではインスティネットが店頭市場の70%、アイランド20%、アーキペラゴは6%。

イカー・テイカー取引モデル 1998年6月1日試運転 @アイランド

メイク:100株で1セントの報酬。テイク:100株で2.5セントの支払い。

1990年代にレヴィンがコンピュータ化されたマッチング・エンジンに売買注文を出してもらう動機付けで考える。他の多くの電子代替取引市場にも採用された。

2000年7月 十進法による取引価格⇒利幅の低下によりNYSEでは人間のトレーダーが廃業した。

2002年6月インスティネットがアイランドを買い取り。

SECのReg NMS 2007年実施。人間が制御する市場を通さない取引を可能とする。電子トレーダーが立会場を迂回できる。

SECのRegATS(代替取引システム規制)

2005年4月 ゴールドマン・サックスアーキペラゴ⇒NSYEの電子取引部門となる。また、ナスダックがアイランド(取引エンジン)を購入。

 2010年5月6日午後2時半過ぎフラッシュ・クラッシュ

◇関連書

『フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち』(マイケル・ルイス著、文藝春秋、2014年10月10日発行) - anone200909’s diary