『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争 ビスマルク外交を海から捉えなおす』(飯田 洋介著、NHKブックス、2021年1月25日発行)

ビスマルクは、1862年ナポレオン戦争後の国際秩序「ウィーン体制」でドイツ連邦=国際的君主同盟のプロイセン首相兼外相となる。 1852年12月皇帝ナポレオン三世となる。クリミア戦争の講和を巡りパリ講和会議の主導権、アロー戦争で清朝中国に進出、1858年日…

『大収縮 1929-1933 米国金融史第7章』(ミルトン・フリードマン他著、日経BP社、2009年9月29日発行)

金為替本位制:1929年の時点。欧米諸国の大半は通貨準備を金そのものではなく、米ドルや英ポンドなど、固定された相場で金と兌換できる他の通貨として保有した。 固定相場制だと異なる国々の物価や所得が密接に関連する。このため1929年以降世界規模で所得と…

『Y=男の悲劇』(黒岩 麻里著、朝日新聞出版、2024年5月30日発行)

Y染色体に男性の性決定遺伝子が存在する。胎児のときに性決定遺伝子のスイッチが入り男性化が始まる。ホルモンも重要。 DNAはヌクレオチド分子が二重らせん構造で数珠つなぎになっている(1953年ワトソンら)。その中に遺伝情報を持つ部分があり、これを遺伝…

『貨幣進化論』(岩村 充著、新潮選書、2010年9月25日発行)

金本位制 イングランド銀行券は請求があれば金貨を払い戻します。このルールが金本位制の本質である。銀行券を金貨に交換することを兌換という。イングランド銀行は金を準備するが、その金をまた貸ししているかもしれない。 1797年ナポリタン戦争時に金兌換…

『基軸通貨 ドルと円のゆくえを問い直す』(土田 陽介著、筑摩書房、2024年11月15日発行)

1971年のニクソンショックでプレトンウッズ体制は名実ともに崩壊した。米ドルは金という実物資産の裏付けを持たなくなった代わりに、米国債を裏付けに発行される通貨になった。 ★(国債本位制)という言葉は適切なんだろうか? 管理通貨制度(国債本位制)(…

『大暴落1929』(ジョン・K・ガルブレイス著、日経BPクラシックス、2008年9月29日初版発行)

1929年10月の大暴落について書き留めた書。筆致が面白いので人気があるのだろう。 1927年から上げ相場が始まる。 1928年大統領選挙ではフーバーが圧勝。フーバーの胸の内は投機は「人殺しよりも悪質な犯罪であり、犯人を告発し罰しなければならない」と考え…

『金融恐慌1907 米FRB創設の起源とJ・P・モルガン』(ロバート・F・ブルナー、ショーン・D・カー著、東洋経済新報社、2016年8月11日発行)

1791年議会が合衆国銀行設立に同意。期間20年。1809年に認可延長拒否で消え去る。 1816年再び第二合衆国銀行設立。1832年ジャクソン大統領の認可延長拒否で州法銀行に移行。その後廃業。 1861年南北戦争。1863年国法銀行法成立。財務省に国法銀行設立認可と…

『世界争乱2024 揺れる世界をフランスから見る』(広岡裕児著、中央公論新社、2024年4月10日発行)

2022年2月24日ロシアのウクライナ進攻前後のフランス・マクロン大統領の行動。ゼレンスキーの勇気。欧州の過去の戦争では政府は亡命することが多かったが、キーウに留まって徹底抗戦を呼びかけた。 EU正義派はバルト3国と東欧(ハンガリーを除く)、及び北欧…

『西洋の敗北』(エマニュエル・トッド著、文藝春秋、2024年11月10日発行)

前書きより 西洋の敗北とは、宗教面、産業面、道徳面における西洋自身の崩壊のプロセスである。二つの西洋。①アメリカ、イギリス、フランスの三大自由民主主義国。②それにドイツ、日本を加えた経済的近代の西洋、広義の西欧。ドイツ、日本は権威主義的傾向が…

『金利を考える』(翁 邦雄著、ちくま新書、2024年10月10日初版)

いままで読んだ金利についての本の中では一番面白くお薦め。しかし、この本を読むと経済学者というのは実際の社会経済、実社会については子供レベルの知識しかないのではないか?という印象を受けてしまう。 金利は儲ける機会の大きい経済では高くなり、成長…

『「エブリシング・バブル」リスクの深層』(エミン・ユルマス、長濱利廣著、講談社α新書、2024年9月18日発行)

世界の中央銀行が利上げするなか、日銀は金融緩和を続け、最後に利上げする。すると直後に金融危機が起きる。米国経済は日本の6倍以上だが、マネーの供給量は日銀の方がFRBより大きい。(p.19) 米国債の大きな買い手は日本しかいない。中国は買わない。FRB…

『南シナ海で何が起きているのか』(山本 秀也著、岩波ブックレット No. 956、2016年8月4日発行)

中国が九段線という条約上の根拠が不明確な境界線で南シナ海をすっぽりと囲み、「中国は南海諸島およびその周辺海域に対し、争う余地のない主権を有する」と主張した。 ハーグの国際仲介裁判は2016年7月12日中国の南シナ海での主張を全面的に退ける国際司法…

『南シナ海問題の構造 中越紛争から多国間対立へ』(庄司 智孝著、名古屋大学出版会、2022年1月15日発行)

2024/10/20読了。千代田図書館から借りた。 ベトナムとフィリピンとASEANの南シナ海問題へ対応の変遷を整理してる。中国政府の悪質さが印象的:隙あらば南シナ海の島を占拠、既成事実化する機会主義ぶり。約束を守らない嘘つきぶり。

『海の地政学 覇権をめぐる400年史』(竹田 いさみ著、中公新書、2019年11月25日発行)

米国の海洋パワーは捕鯨から。1776年独立宣言。19世紀初頭から貿易船と捕鯨船を守るために世界中に小規模な戦隊を覇権。19世紀中ごろからは太平洋での捕鯨(鯨油)が活発に、1860年代~1870年代に灯油が登場して捕鯨は衰退。ペリー来航は捕鯨船の拠点確保の…

『従属の代償 日米軍事一体化の真実』(布施祐仁著、講談社現代新書、2024年9月20日発行)

尖閣諸島防衛のため奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島に自衛隊の地対艦ミサイル部隊配置、今年4月に南西の壁が完成した。今後、米軍と一体化した指揮・統制下に入り、台湾有事への備えに変質する。 2023年3月石垣島に石垣駐屯地が開設され、我が国国防の最…

『サイバースペースの地政学』(小宮山 功一朗、小泉 悠著、ハヤカワ新書、2024年6月25日発行)

都心から1時間以上かかる、千葉ニュータウンはデータセンターのメッカ。 ・エンタープライズデータセンター ・ハイパースケールデータセンター クラウドサービス事業者が自ら設計し、運用する ・キャリアホテル 大都市の中心部にある。通信のハブ 2016年5月E…

『物語 メキシコの歴史 太陽の国の英傑たち』(大垣 貴志郎著、中公新書、2008年2月25日初版発行)

メキシコシティは標高2000メートル以上の高原地帯。可耕地面積は国土の15%。 ティオティワカン:メキシコ高原、紀元前後から7世紀、マヤ:紀元3世紀~9世紀、アステカ帝国:15世紀(室町時代)に栄えた。 1521年からスペイン帝国の支配下にはいる。 19世紀初…

『エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り』(村山 祐介著、新潮社、2020年10月15日発行)

アメリカとメキシコ国境。壁を越えるのは、メキシコ人だけではなく、中米、アフリカ、インドからの移民も。 サンティエゴの南、メキシコのティファナ。二つの都市は人口500万人の一つの経済圏だが、壁で区切られている。 16年11月米国大統領選でトランプが移…

『物語 パリの歴史 「芸術と文化の都」の2000年』(福井 武彦著、中公新書、2021年8月25日発行)

古代ローマ時代にシテ島がガリア統治の最前線となった。交通の要衝。ローマ支配時代の遺構、遺物が残っている。 パリのあたりは人間活動に恵まれた地であり。ケルト系、ラテン系、ゲルマン系諸集団が相互交流した。諸文化の出会いの地。 パリはカペ朝(987~…

『AI覇権 4つの戦場』(ポール・シャーレ著、早川書房、2024年5月25日発行)

アルゴリズム戦横断機能チーム(プロジェクト・メイブン):2017年4月設立承認。迅速に行動、テック企業を活用、無人機動画から学習用データセットを作成、2017年末にイラクとシリアで反ISIS作戦を支援していた軍の情報部隊にAI目標分析システムを実戦配備し…

『進撃のドンキ 知られざる巨大企業の深淵なる経営』(酒井 大輔著、日経BP、2024年8月5日発行)

ドンキの秘密はメイトとよぶアルバイターが頑張っているところにあるようだ。 なぜそうなるかというと権限移譲にあるらしい。大幅な自由裁量権を与える。一方で、成果を上げた場合は昇格・昇給で報いる完全実力主義。 『源流』という経営の哲学書を共有する。

『ヤバい統計 政府、政治家、世論はなぜ数字に騙されるのか』(ジョージナ・スタージ著、集英社、2024年1月31日発行)

イギリスの話。 データを重視する発想の源は17世紀から18世紀にかけてヨーロッパで興った啓蒙主義。それまでは世界は神秘的な謎と考えられていた。 ありとあらゆる物事についてデータが存在し、手に入れられると思い込む傾向がある。 英国では居住者に関して…

『チャプリンが見たファシズム 喜劇王の世界旅行 1931-1932』(大野 裕之著、中公選書、2024年7月10日発行)

1931年2月~1932年6月までのチャップリンの世界旅行の顛末記。なかなか面白い。

『オニールの成長株発掘法 第4版』(ウィリアム・J・オニール著、パンローリング発行、2022年6月5日発行)

オニールの方法は強気相場での手法のようだ。 また大化け銘柄を発掘することを強調している。 C:Current Quarterly Earnings A:Annual Earnings Increases N:Newer Companies、New Products、New Management、High off Properly Formed Bases S:Supply a…

『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(唐鎌 大輔著、日経プレミアシリーズ、2024年7月8日発行)

2023年日本の経常収支は21兆3810億円だったが、それは第一次所得収支が34兆9240億円と史上最大だったため。貿易サービス収支は大きな赤字。 第一次所得収支は大部分が投資収益である。2022年でみると第一次所得収支の受取50.0兆円で、その内訳は証券投資収益…

『王墓の謎』(河野 一隆著、講談社現代新書、2024年5月20日発行)

なかなか雄大な構想を提案する書だ。 王墓の時代の死生観は、生死=時間が循環するのに対して、王墓消滅時代には、時間が直線的に流れるという点が面白い。

『技術革新と不平等の1000年史』(ダロン・アセモグル&サイモン・ジョンソン著、早川書房、2023年12月25日発行)

「技術的失業」1930年代にケインズが作った用語。 1960年代は25-54歳のアメリカ人男性で労働市場から締め出されていたのは6%程度だったが、今日では12%程度になっている。非大卒男性が実入りの良い仕事に就くのは困難になっている。 生産性バンドワゴン。…

『50歳からのトレーダー入門』(榊原 正幸著、PHPビジネス新書、2024年5月29日発行)

かなり乱暴な文章が多い。 たとえば、「2003年4月末に日経平均株価が「7607円」を付けたところで、デフレ経済はいったん終焉を迎えているのです。」(p.96)という記述があるが、この人は平均株価をインフレ・デフレの判断基準としているように見える。これ…

『モディ化するインド』(湊一樹著、中公選書、2024年5月10日発行)

モディ首相いるインド人民党(BJP)は2014年5月に政権成立。2019年の総選挙で2期目に入った。 モディ政権2期目で民主主義の形骸化、公平な選挙が実施されない。選挙債を通じた献金。SNSによる情報操作 ヒンドゥー至上主義が進み、イスラム教徒を社会生活から…

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