1971年のニクソンショックでプレトンウッズ体制は名実ともに崩壊した。米ドルは金という実物資産の裏付けを持たなくなった代わりに、米国債を裏付けに発行される通貨になった。
★(国債本位制)という言葉は適切なんだろうか? 管理通貨制度(国債本位制)(p.044)という表現もあるが、適切のか?
管理通貨制度の下であれば、中銀は保有する国債の価値を裏付けに通貨を発行できる(p.044)
1980年代財政赤字は名目GDPの5%、経常収支赤字も3%まで拡大した(双子の赤字)。
レーガン政権はドル安を志向し、プラザ合意でドル高是正のための国際協調を迫った。(p.179)
2023年は財政赤字が名目GDPの6.5%、経常収支赤字は3%。
リーマンショック、コロナ危機で米国の財政は大幅に悪化。
この本にある「IBMの分割の結果生まれた代表的な企業がマイクロソフトだ。」(p.42)という記述は完全なデタラメだ。信じないように。 IBMのPCにMS-DOSをOEM供給したことがマイクロソフトがブレークしたきっかけであり、IBMのOS/2と競争してMSが勝ったのがWindows成功につながった。これは官僚組織対運動部精神の戦いだった。
1/3 追記(メモ)
当時のことを回想してみると、1970年代末に8ビットマイコン(当時はパソコンとは言わなかった)としてApple、PET(コモドール)などが生まれた。それをみてIBMは16ビット版IBM PCを設計・製造・販売することでPC事業に参入した。そのときにOSを自社開発せず、ベンチャーとして誕生したばかりのMicrosoftのMS-DOSを採用したのが、Microsoft発展の第一のきっかけだった。その後、他の会社からも多数のPC(多くはIBM PC互換機)が発売されて、それらにMS-DOSが供給されるようになった。結果的に、IBMは自社PC事業の競争相手を育成するだけではなく、MicrosoftのOS市場支配をもたらした。これは1980年代から1990年代初頭の話だ。
技術的にはIBMがOSを独自開発することは朝飯前だったはずだが、それをしないで外部調達したことは、今から振り返ればIBMの戦略上の最大のミスだったと思う。
1990年代初頭はIBMのOS/2対Windowsの覇権争いになったが、これはIBMの敗北に終わった。
IBMは事業再編を何度も行っているので、本書の著者のいうIBMの分割とはなにを指しているか理解しにくいが、IBMの分割(?)とMicrosoftの発展には因果関係といえるようなものはないだろう。