『ベネズエラ ―溶解する民主主義、破綻する経済』(坂口 安紀著、中公選書、2021年1月10日発行)

ベネズエラは、世界最大の石油の確認埋蔵量を誇る。1990年代までは比較的治安が良く、石油大国であった。2大政党制のもとで安定した民主体制が30年以上継続していた。

1998年12月大統領選でウーゴ・チャベスが当選、1999年に大統領となる。新憲法を制定。国会を縮小、軍人に参政権国民投票制度などを盛り込む。チャベス政権誕生後、経済成長率はマイナス6%、失業率13.5%になるなどで支持を失う。2002年4月11日半チャベス派による抗議デモで退陣。しかし、暫定政権が2日で崩壊して、舞い戻る。2006年再選。2012年10月4回目の大統領選に勝利するも、2013年3月5日死去。

反米主義、「ミシオン」政策で貧困層の指示を得る。国家介入型経済政策。放漫財政による対外債務拡大。

チャベスの後継は副大統領のニコラス・マドゥロチャベスの忠実な部下。ベネズエラ経済が深刻な低迷となる。支持率低下に対して、自己や支持政党への権力集中により政権を継続する。

ベネズエラ経済は、2014年以降加速的に悪化して破綻状態となる。GDPは3年で半分、インフレ率は13万%(2018年)、通貨ボリバルは紙くず同然。2019年には対外債務はほぼすべてデフォルト。治安の悪化。

国民の1割以上が国を脱出、世界で2番目に多い難民排出国。