『国債リスク 金利が上昇するとき』(森田 長太郎著、東洋経済新報社、2014年2月13日発行)

2013年4月4日金融政策決定会合で「異次元の金融緩和」を決定。「2年程度で前年比2%の物価上昇率を達成する」ことを目的とする。

年平均利回り=((満期償還額-現在の時価)/残存年数+利率)÷現在の時価×100

日本経済の問題点は資金の需要がないこと。金余りとは、民間部門における資金需要が小さい。

1990年以降における「政府」の収支赤字は主に企業が補填してきた。企業が直接・間接に保有する国債が増えており、2012年度末で家計の保有額の6割。フローでみると1990年代後半以降の政府の財政赤字の拡大を支えてきたのは企業の資金である。

1990年代末を境に企業のキャッシュフローは設備投資を上回り、手元資金が余り気味となる。この原因は過剰なコスト削減による。人件費などが削減された。

現状、企業は余剰資金をため込むマシンである。

企業は借入金の返済を通じて、金融機関に余剰資金を発生させる。この資金は公的機関への資金提供となった。総負債に占める民間部門の割合が減り、公的部門の割合が増えた。お金の借り手が企業から政府・地方自治体と変化した。

普通預金で集まった資金で国債を買う銀行。コア預金の考え方は短期資金で長期運用を行うことを可能にする。

家計から見るとデフレであれば実質金利がプラスになる。2000年代(2012年まで)は、CPIを差し引いた実質金利は1%から2%近くあった。これはマクロ環境の変化次第では危機に陥る可能性がある。

デフレが政府債務の持続可能性を強化している。デフレ脱却は日本の財政破綻リスクを高める。

日本政府の実質的な歳出規模は諸外国と比べて課題とは言えない。負担規模が小さすぎるのだ。