『バリュー投資』(クリストファー・H・ブラウン著、日経BP社、2007年12月17日発行)

株式の企業価値に比べて割り安に評価されている株を買う、バリュー投資の本。株式投資の指南書としては非常に優れていると思う。お勧め。

 

バリュー投資は、ファンドマネージャの中では少数派p.18

株を買うべき時は安売りになっているときである。人気銘柄を買うのではない。

株が下がると臆病になる。しかし、株を買うべき時は安売りになっているときである。

基準は本質的価値がどれだけあるか? 損しない(安全領域にあるか)。

本質的価値を決めるアプローチ:①理想的なバリュー株のモデルを作る。②鑑定法は公開オークションで会社が売られるとしたときの株価。

企業は自分が保有している間に価値が上がる。

一株あたり純流動資産:ベンジャミングラハムの指標。株価が一株あたり純流動資産の2/3以下で買う。マーケットが低迷しているとき買い、活況を呈しているとき売る。

安全領域の原則として分散がある。銘柄・業界の点で広範囲に分散されたポートフォリオを持つ。1ポートフォリオに10銘柄を含む。

PERの低い銘柄を選ぶ。PERの低い銘柄に注目して合理的に分析する。(PERの逆数が株式益回り。)

一株あたり純資産よりも株価が安い銘柄から調べはじめる。出発点である。時価総額がある程度大きいこと。一株あたり純資産が0.3の株は結構ある。11年間でみると株価が一株あたり純資産の30%以下の会社に対する投資の成績が一番良かった。資産価値に比べて株価が低いバーゲンの会社を見つける。

投資先をグローバルにすることで、バリュー投資の先を見つけ易くなる。原則として先進国を対象とせよ。民主主義と資本主義が確立している国が良い。

株価が暴落したときはチャンスである。但し、過大評価されている安物のナイフを掴まないこと。

データをふるいにかける。有料のブルームバークを使っている。無料でも良い。他の投資家の投資先、他に誰がその株を保有しているかをみる。探知器で探す。すべてのチェックは無理だ。投資先企業のリストを作る。

見かけ倒しはだめ。過剰な借金は有害。負債の倍の資産があること。

バランスシートのチェックから開始。流動資産をみる。次は流動負債だ。流動比率200%が目安。負債資本比率が低いこと。

利益の見通し。株価は利益によって上下する。

5年または10年を通してのトレンドが重要。

資本利益率が重要。利益÷資本(株主資本+負債)

より深い分析:製品価格の見通し、売上高が伸びるか(売上増は奨励金や景品によるものではない)、売上が伸びなくても利益が増やせないか、費用の管理、売上増で利益がどの程度増えるか、利益率は、一時経費は、切り捨て可能な不採算部門は、アナリストの利益予想に納得しているか、向こう五年間の成長は、余剰資金の使途は、競争相手は、競争相手と比べての財務状況、買収金額は、自社株の買い戻しは、インサイダーの動き

株価が大きく上昇するときにマーケットにいないことがリスク

(投資する)資金のニーズがはっきりしているかどうか。はっきりしているなら必要な資金を確保できなくなる恐れがないように(投資しない)。

株式市場は回復するがいったん大幅に下落した株価が以前の高値に戻るには3年以上の歳月を要する。

 最大のリターンを得ようとして投資信託を乗り換えたり資産を組み替えたりしていると結局は資産を減らしてしまう。

バリュー投資家は農民のようなものだ。種を蒔いて作物が生長するのを待つ。

インデックスでは、待ち時間が長すぎる。インデックスでは比較的少数の人気銘柄の過剰な動きがSP500指数のリターンを歪めた。

PBR(株価純資産倍率)、PERを割安株を選別する目安として利用している。

自分が判定した価値の半分の価格で取引されている銘柄を見つけたらそれで終わり。あとは待つのみ。

対立概念

モメンタム投資:値動きの方向性に飛びついて勝負する。下落する直前に売却するつもり。しかし、これには人知を超えた能力が必要。

グロース投資:成長企業への投資