『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』(ハワード・マークス、日本経済新聞出版社、2012年10月22日)

バリュー投資かつディフェンシブな投資家の考え方をまとめた書である。要は本質的価値を見極めろ、そして本質的価値を下回った時に買えということだ。非常に啓発的だが実践するのはなかなか難しいかもしれない。また、著者にとっては株式投資は中心ではないのではないかと思われる。

バリュー投資とグロース投資の違い:バリュー投資家は企業の現在価値に基づいて投資する。グロース投資家は事業価値が拡大するかどうかで賭ける。グロース投資の典型はニフティ・フィフティブーム。ニフティ・フィフティは40年後あまりで多くの企業が衰退、倒産した。ニフティ・フィフティは株価ピーク時にはPER80倍~90倍に達していた。しかし、わずか数年で8~9倍に低下した。バリュー投資ではぶれてはならない。目を付けた株を割安で買いまめにナンピン買いする。

投資収益が得られる可能性の中で、一番確実なのは資産が本質的価値を下回る価格で買うことである。そうすれば、市場が気が付いたら売れる。一方、本質的価値の増大は価格に織り込まれていることが多いので、本質的価値の増大で利益を得るには、コンセンサスとは異なる優れた見方が必要である。(pp. 62-63)

リスクがなくなったという思い込みが、のちに高リスクだったと判明する行動を投資家に取らせる。p.93 誰もが高リスクと考えている資産の価値はたいてい、不人気のせいでまったく危険ではない水準まで低下する。否定的な見方が広がれば、それはもっともリスクの低い資産になりうる。価格に楽観的な材料がなに一つ含まれていないからだ。p.106

群衆は誤りを犯す。優れた投資家は逆張り投資である。

掘り出し物を探す。質の高い資産は掘り出し物にもつまらない物にもなりうる。いくらで買うかが問題なのである。(p.178)掘り出し物を見つけるには、資産がどのようにして人気を失うかを理解する必要がある。(p.180)公正な価格がついた資産を見つけることでは断じてない。(p.182)

危機時の投資で買い手になれば驚異的な利益を生み出し得る。(p.203)

素晴らしい投資成績を目指して努力するよりも、損失を回避することの方が重要だ。(p.264)