『ソロスの講義録 資本主義の呪縛を超えて』(ジョージ・ソロス著、講談社、2010年6月15日発行)

第1章 人間不確実性の原理では、社会科学は自然科学とは違うこと。社会的事象は思考する存在である人間が参加するので認識と現実の間に相互のフィードバックが働く。認知機能と操作機能は逆方向であり、両者が介在すると不確定性=ずれが生じる。ソロスはこれを再帰性と呼んでいる。フィードバックループには正(発散する)と負(収束する)がある。

第2章 主流派の金融市場の仮説は「効率的市場仮説」であるが、ソロスの理論はこれに反する。

ソロスの基本原則は二つ。

一、市場価格は、その根本にあるファンダメンタルズを常に歪める。

一、金融市場は根底にある現実を反映するだけの受け身の存在ではなく、積極的な役割をも果たしている。

バブルは再帰性の正のフィードバックループの発現である。金融規制当局と金融市場にも例がある。負のフィードバックループは価格の歪みを打ち消す。

2007年のサブプライム・バブルははじけて超バブルが崩壊した。超バブルのトレンドは信用経済の膨張とレバレッジ使用の留まることない増加である。具体的には様々な危機と当局の救済がバブルを大きくした。

一、金融市場にはシステミックリスクが存在する。

多くの市場参加者が同時にポジション解消すれば、相場が急変、または崩壊する。