『株式市場の本当の話』(前田 昌孝著、日経プレミアシリーズ、2021年3月8日発行)

経済の実態成長率と関係なく株が上がった。MCSI全世界株指数と日経平均の動きは一致している。配当も含めた日経平均(トータル・リターン・インデックス)は2020年11月25日に1989年末の最高値を超えた。2020年は外国人、投資信託、個人とも売りが買いより多かった。これを買ったのは日銀のETF

商社時価総額伊藤忠>三菱>三井>住友>丸紅

バフェット指数:米国株の時価総額計を米国GDPで割ったもの。100を超えれば割高。バークシャー・ハザウェイとS&P500の比較:2001~2010年BHが4勝6敗。2010年から2020年は5勝5敗。

バークシャー・ハザウェイは事業会社として価値を高めているのであって、運用成績は疑問がある。1998年12月から2020年12月の実績を見ると「割安株の長期投資家」という色彩は薄い。2020年12月の保有株の44.4%がアップル。2020年12月保有していた株は44銘柄。22年間で175銘柄に投資した。22%は6か月以内。平均4.5年。必ずしも長期投資家とはいえない。

株アクティブ運用型の小粒な投信は大型の投信に比べて運用成績が悪く見劣りする。外国株型は特にひどい、p.48。国内大型株型は特に分散が大きい。

東証1部企業:2020年はPBRの小さい企業の時価総額が益々小さく、大きい企業の時価総額が益々大きくなった。2020年は一部企業が大きく値上がりした。世界でも同じでテスラは1年で8.4倍となった。

投信もばらつきが大きく、成績の良いものと良くないものの差が大きい。投信選びで命運が分かれた。

債券がリターンを産まなくなって、クオンツ運用が増えた。

ベンチマーク問題。配当込み日経平均日経平均トータルリターン・インデックス)、配当込みTOPIXがある。税引前配当再投資ファンドの実績をインデックスと比較するなら配当込みインデックスと比較するべき。しかし、そうでないものがある。

インデックスかアクティブか。アクティブシェア指数がある。80%以上が真のアクティブ、60~80%がとりあえずアクティブ。

S&Pダウジョーンズ・インディシーズによるアクティブ運用とインデックスの比較によると世界的にアクティブ運用の過半がインデックスに勝てない。実際には、アクティブ運用の投信は当たり外れが大きい。

GPIF運用

2021年度の運用状況|年金積立金管理運用独立行政法人

2016~2019年度まで4年連続で複合ベンチマーク理論値を下回った。この主因は資産配分の問題だった。

79%をインデックス運用している。内外株式のみでは90%強。一部はESG指数やTOPIX以外の運用もある。ベンチマークは配当込みTOPIX

貸株停止は誤り。空売りに関する認識が誤っているのではないか。

GIPFの運用は企業年金連合会に、2001~19年で大負けしている。

日本株25%は大きすぎではないか?

日銀の上場投資信託ETF)運用は2010年から21年1月末までで35兆66百億円。GPIFは2021年2月16日で49兆余りのはず。

想定リターン

100年前のスペイン風邪の流行:世界は1918年4月から4波、1920年8月迄。日本は1918年8月から3波、21年7月まで。米ダウは1917年12月19日65.95ドルで一番底、1919年11月3日119.62ドルまであがり、1921年8月24日に63.90ドルまで急落。

連続複利収益率

債券: 収益率(利回り)

リスク商品の運用成果:平均値は中央値を下回り、最頻値は中央値を下回る。

楽天証券SBI証券は若者市場のガリバーになった。p.130

積立NISA口座は2020年9月末274.5万で1年前にくらべて61%増加。20~40代が70%を占める。

個人型確定拠出年金iDeCo)は2020年12月末で181.8万人

ESG指数は、大手に偏る。E(環境)、S(社会)、G(統治)

東証1部上場は250~500億が最頻値、100~250億が次。真の有望銘柄はESGにはない。

日銀の資金循環統計では、2010年9月から2019年9月で株を買ったのは、日銀、海外、公的年金、売ったのは家計、証券会社。含み益を増やしたのは海外、家計、事業会社。

1989年から2020年末で、継続上場している1368銘柄中で、税引前の配当を再投資していても元本割れが64%ある。43%は元本の50%以下。

市場区分変更

4月から市場区分が変更になる。

プライム上場維持基準:株主800人以上、流通株式2万(1万)以上、流通株式時価総額100億円(10億円)以上、1日平均2000万円(月平均40単位)以上、流通株式比率35%(5%)以上。()内は経過措置。

経過措置企業は、TOPIX計算割合が減少する。最初は時価総額100%、3か月ごとに(2022年10月から)10%マイナス。2025年1月末にゼロになる。

2022年8月に第2回判定があり、そこでTOPIX計算割合の適用が決まる。その判定で落ちると、2年以上に渡って機関投資家から継続的に売りが出ることになる。その結果、株価が必要以上に下落するかもしれない。